自転車旅をしていると、さまざまな危険をいつも身近に感じます。
誰にとってもトラブルは避けたいものです。
気をつけていても、ちょっとした気の緩みから事故を起こすこともあります。
こちらになんの落ち度もないのに事故をもらってしまうおそれもあります。
今回は、想定できるトラブルを避ける方法、そして、それでも起こってしまったトラブルにどう対処すればよいかについてお話ししていきたいと思います。
第1回目は、自転車トラブルとその備えについてです。
【目次】
どんなトラブルが考えられるか
病気になれば辛いし苦しいし、怪我をすれば痛いし、そして自転車に不具合が起こると直すのが大変だし面倒だし。
そもそもメカは苦手という方もいるでしょう。
では、病気や怪我をしないために、自転車のトラブルを起こさないためにはどうすればよいのでしょう。
今回は、自転車に起こり得るトラブルについて、その対処方法を考えてみたいと思います。
自転車に起こるトラブルと対策
パンク
一番多いと思われるのがパンクです。どんなときにパンクするのでしょうか。
そのまえに、自分の自転車のタイヤがどんな構造になっているのかを知っておく必要があります。
大きく分けると、タイヤとは別にチューブが必要なものと、チューブを用意する必要がないものがあります。チューブがないものはチューブレスといって自動車で使われているものと同じタイプです。このほか、最近では少ないですが、チューブラーというタイヤとチューブが一体となっているものもあります。これは、接着剤でリムに貼り付けるタイプです。
旅する自転車では、ほとんどがタイヤの中にチューブが入っていると思います。ここでは、チューブの入っているクリンチャータイヤによるパンクについてお話しします。
パンクの原因で多いのは、車道から歩道に乗り上げたときに起こす、いわゆるリム撃ちパンク。これは、自転車のリム(車輪の輪っか)と縁石にタイヤが挟まれて薄いチューブに穴が開くというもので、大抵2箇所に穴が開きます。これは空気圧が少ないために起こります。
では、空気をパンパンに入れたらいいんじゃない?
いやいや、空気を入れすぎると縁石に乗り上げたときの圧力にチューブが耐えきれなくなってバーストするおそれがあります。私はこれを北海道の山中で経験しました。こうなると修理はできません。
そして、タイヤに尖った何かが突き刺さり、チューブに穴が空いてしまうこともあります。私の場合、上の写真のような、タイヤの厚みくらいの短い金属のピンのようなものが突き刺さって、本当に小さな穴が空きました。スローパンクと言われるやつです。
「あれ、なんだか空気が減ってるな」って感じではじめはパンクだとは思いませんでした。
チューブを交換し、そのときにタイヤに触っても尖っているものは何も感じられませんでした。しばらくすると、また空気が減ってきます。おかしいなと思いながら、1ヶ月以上も旅をつづけました。
チューブ交換するときにこんどは明るいところでタイヤをよーく点検してみました。すると、小さく光るものがチラッとみえました。さわっても感じません。これを針金の先で押し込み、先がちょっと出たところをペンチでつまんでようやく取り除くことができました。
ホテルの洗面台でチューブの穴の箇所を確認したら、パッチを貼ったすぐ傍に穴が空いていました。
そういえば、空気をちょっと多めに入れた翌日にぺしゃんこになっていたことに気づきました。
パンク対策は、適正な空気圧にすること。まあ、あたりまえのことです。パンクしたときのために予備のチューブは必要です。最低2本あると安心だと思います。
そしてチューブ交換の際は、タイヤに何か突き刺さっていないかよく点検しましょう(自戒を込めて)。
交換したチューブは時間のあるときにタイヤパッチで修理します。タイヤパッチは100均で買えます。もし、どこでも買えるチューブなら買い換えもいいですね。
ただ、どこでも売っているのは英国式のバルブが多く、フレンチバルブや米国式バルブは地方に行くと手に入りづらいですね。
そうそう、携帯型の空気入れも忘れずに。CO2ボンベはまだ使ったことがありませんが、やはり空気入れはあったほうが安心だと思います。
チューブ交換の方法は、この動画が参考になります。
ネジの緩み
意外と危険なのがこのネジの緩みです。
私の自転車は様々なサイズのレンチやドライバーが必要でした。それが当たり前だと思っていたら、いまのロードバイクは六角レンチが数種類あれば済んでしまうんですね。驚くとともに便利だなーと感心してしまいます。
はじめに予防策です。それは、時々点検し、緩んでいたら増し締めすることです。自分でキャリアなどを取り付けるときは、ネジの緩みどめかグリースを塗っておきましょう。
では、ネジ緩みによって起こるトラブルとはどんなことがあるでしょう。
一番危険なのはブレーキです。激坂を下っているときにブレーキワイヤーが外れたら命に関わります。
出会った自転車旅の人に聞いたら、キャリアのトラブルも多いようです。
キャリアは振動で緩みやすいのかもしれません。
キャリアのトラブルの多くは、留めているネジが折れてしまうことです。その原因は、ネジが緩んでいることで力に耐えきれずに折れるということが大きいと思われます。そして、折れたネジを取るのは自分では難しいですし、自転車屋に行ってもたいていは断られるようです。それから、転倒などでキャリア自体が折れてしまうこともあり得ます。
もし、走っている最中にキャリアが外れてその先がスポークの間に挟まると、自転車は大破し、運転者は空高く舞い上がることになるでしょう。
これは、冗談ではなく、実際に起こった話です。同じ日本一周中の方が別れた後にそのことをブログに書いていました。
私は、フロントのシフトワイヤーが外れたことがあります。このときにワイヤーがほつれて、直すときに手に刺さりました。
他にはフェンダーを停めているネジが緩んできてカラカラと音がしてきました。ネジがなくなると厄介なので、すぐに締め直しました。
それからスタンド。これは、センターに二本足が出てくるスイス製のもので結構いいお値段でした。
耐荷重は25キロ。ところがこちらは45キロくらいはあります。なんども立てたり上げたりを繰り返しているうちにネジが緩んでグラグラになりました。締め直してもしばらくするとまた緩む。
緩み出すと位置がずれてペダルのクランクに当たったりして厄介でした。けれど、スタンドはあると便利。とくにスーパーなどでは助かりました。だからなんどもなんども締め直し。
スポーク折れ、リム割れなんかも起こるようです。ロードバイクなどはスポークの本数が少ないので段差があるところでは特にスピードを落とすなどしたほうがよいと思います。
スポーク交換の修理については、そのホイール(車輪)の損傷状況(リムが曲がるなど)により、ホイール自体を交換したほうがいい場合もあります。
リム割れはもう即交換でしょうが、どちらにしても、旅の途中では、とりあえず自転車屋まで行かなければなりません。
そのため、折れたスポークは他のスポークに挟むとか、テープや紐でくくるとかして、冷静に応急修理しましょう。
最後に、ハンドルについてです。こちらも緩んでいたら怖いですね。
これは、緩む以外にも問題が起こります。
それは、たいていスタンドを使っているときに起こります。
重さのバランスが悪いとき、風が強いときなどに、倒れます。本当によく倒れます。
すると、荷物の重さのせいでハンドルの向きが曲がってしまうことがあります。
そんなときは、力づくで直さず、ちゃんとネジを緩めて直しましょう。
まあ、だいたいこんなところでしょうか。
消耗品の消耗または劣化
消耗品で旅の間に交換が想定されるのは、先ほどのチューブ以外に何があるでしょう。
まっさきに考えつくのがタイヤでしょう。
つるつるになったりして磨り減れば、濡れた路面でのスリップなどの危険がありますし、パンクのリスクも高まります。
一般に丈夫で1万数千キロは大丈夫と言われているのが、シュワルベのマラソンというタイヤです。
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けれどへそ曲がりな私は、パナレーサーのリブモPTというタイヤを選びました。このタイヤは中心部分が肉厚になっていて接地面積が少なくなるように三角形の断面をしています。自転車をほとんど立てて走る旅なので減りに強いだろうと考えたわけです。
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結果は、1万1千キロはぎりぎり大丈夫でした。当然、脇の溝は残っていました。ただし、けっこうひび割れがありました。
それから、私はドロップハンドルのバーテープを1回交換しています。バーエンドがボトルに当たり、エンドキャップがとれてほつれてきたことが原因でした。
ほかには、荷物があって重いことや、雨の中を走ると制動距離は伸びて、ブレーキシューの消耗も普段より早いと思われます。
私は、カンチブレーキのブレーキシューを交換しました。かなり減ったのと、ゴムが硬くなってブレーキの効きが悪くなったためです。新品のブレーキシューは柔らかいタッチで止まってくれて気持ちよかったです。
ブレーキシューの交換については、自分の自転車に合ったものを事前に用意しておくことが必要です。ディスクブレーキは減り具合がわかりづらいのである程度の距離を走ったら、明るい時にのぞいて厚みを見ておいたほうがいいと思います。
チェーン・トラブル
私の旅行中、自転車に関わるトラブルでいちばん大きなものは、チェーンが切れたことです。
なぜ、チェーンが切れたのか。
古くなったチェーンでもそう簡単に切れるものではありません。
チェーンが切れるといっても金属が断裂するわけではありません。チェーンは駒と駒をピンで留めているのですが、そのピンが駒から外れてしまったのです。
原因は、坂を登っている途中でフロントのシフトチェンジをして、それがなかなかうまく変わらず、それでもガラガラ言わせながら踏ん張ってペダルを漕いでいたのが原因でした。そのせいでチェーンがよじれて駒が広がってしまったわけです。
このときは、持っていたペンチで抑えたら、ピンの頭が少しだけ入ったので、次の町(一関市)の自転車屋まで変速をしないで、そしてなるべく力をかけないように気をつけたら、なんとか走ることができました。その町で自転車屋を探しチェーン交換してもらって旅を続けました。
注油に関しては、油が切れてくると抵抗が大きくなりますので、こまめに注油していました。雨の中を走ると一発で飛び散ってしまいます。放っておくとすぐに錆が出てきます。
だから、後半は粘度の高いチェーングリースを使いました。こちらは1日くらい雨の中を走っても大丈夫でした。けれど、こちらはこちらで汚れが固まってしまい、清掃が面倒でした。ただ、チェーンが錆びるよりはましかなと私は思います。
清掃は雑巾で拭くだけでした。一度雑巾で汚れを拭き取り、軽く油を差してまた拭き取ると結構綺麗になります。最後にきっちり注油して、翌朝走り始める前に余計な油を拭き取れば完了です。
軍手をはめて作業をしていましたが、それでも手は汚れます。手の汚れがひどいときは、私は持って行ったベビーオイルで油汚れを浮かしティッシュで拭き取っていました。結構綺麗になります。
なお、チェーンはそれほど高価なものではありませんので、途中で交換してしまうのも一つの手だと思います。
以上が自転車に関するトラブルとその対策です。
まとめ
1 パンク対策については、適正な空気圧を保ち、歩道への乗り上げの際はスピードを落とすこと。チューブ交換の際は、タイヤに何か刺さっていないかを点検しましょう。
2 ネジの緩みは、事故の原因にもなるので、点検して緩んでいたら増し締めすること。点検箇所は、ブレーキ・シフトワイヤーを留めているネジ、キャリアのネジ、フェンダーのネジ、ハンドルのネジ、スタンドのネジ。最低限これらは時々チェック。なんとなく、いつもと違うと思ったらぜひ点検してください。
3 手に入りにくい消耗品は予備を用意しておくこと。
4 上り坂の途中ではフロントのシフトチェンジは行わず、定期的(特に雨の中を走ったあと)にチェーンに油を差すこと。
自転車のトラブル対策については、以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。この記事がこれからのあなたの旅のお役に立てたらうれしいです。
一度に書ききれなかったので、引き続き事故や怪我対策、そして体に関するトラブルについての記事をお届けする予定です。
では、このへんで。
チェーンはこちらで交換していただきました。その節は大変お世話になりました。