日本一周してみてよかったこと
1 達成感が得られる
当然のことながら、日本を一周したという達成感が得られます。
ただし、日本一周といってもこの道を走りなさいという決まりはありません。だから、計画の段階でこのように走ったら日本一周達成と決めておくべきだと思います。
そうでないと、「あ、このへんは走ってないね」と突っ込まれた時に困ってしまいますし、自分の中でも、「あそこが抜けてしまった」などというモヤモヤや後悔などを感じてしまっては、せっかくの楽しい旅が台無しになってしまいます。
2 新しい出会いがある
新しい出会いが旅の醍醐味ともいえるのではないでしょうか。
フェイスブックで友達になったり、あるいはその場限りの方もいますが、みんな思い出に残っています。まったく別の世界で生きてきた方と同じ場所を共有してその方の考えを聞いたりできることは、自分から出かけていかないとそうあることではありません。
「うんうん、そうそう」という場合や、「へえー、そんな考えもあるんだ」とか、とても貴重な時間です。でも、忘れないようにメモしておくといいですよ。
3 友人からの励ましがもらえる
私の場合、フェイスブックにその日の行動を載せていましたので、友達からいろいろなメッセージをもらい励みになりました。
4 その土地土地での声援がもらえる
いかにも自転車で旅してますといった恰好に加え、「自転車日本一周」のプレートを作成して後ろに付けて走っていたので、車で追い抜きざまに「ガンバッテー」という声援をたくさんいただきました(ときどきビクッとすることもあったけど)。
また、市街地を走る時などは、小学生の「日本一周、おっ、すげえ」などの声も聞くことができました。小学生だけでなく、中学生や高校生からも声援をもらいました。
あるときは、自転車で追いかけてきて、「どこからですか。重そうですね、がんばってください」と言って去っていく高校生もいました。こんな経験はなかなかできませんよね。
5 話のネタができる
今このようにブログを書くことができます。残念ながら家族はあまり関心がないようで、ちょっと寂しいですが。
6 多くの写真が撮れる
たくさん写真を撮りました。ミラーレスの一眼を持っていったのですが、もっぱらスマホのIPhoneでした。スマホは手軽で便利です。途中で自撮り棒も買いました。
7 なんでも一人でやる自信ができる
基本すべて一人で決めて一人でなんでも行うことになります。特に宿の予約は重要です。
トラブルが起きた時も自分で対処する必要があります。そんなトラブルになんとか対処できたときなどは「やったー」と、こころの中で呟きます。
8 困った時に助けを求めることが容易になる
自分一人では対処しきれないトラブルが発生した時は、素直に助けを求めます。そうしないと、ひょっとしたら山の中で夜を過ごすことにもなりかねません。病気の時も無理は禁物ですね。プライドなんか捨てましょう。だんだんそれができるようになると思います。
9 体力がつく
これは当然ですね。毎日走っているのですから。
10 自転車に詳しくなれる
自転車に詳しくなるとは2つの要素があります。
一つは自転車のメンテナンスについてです。ある程度知識がないとどうにもならなくなることが起こり得ます。最低限の知識は身につけましょう。
二つ目は、自転車の乗り方についてです。初めの頃は、手の痺れ、肩のこり、お尻痛、ひざ・腰の痛みなどが起きたりします。それらが起こらないような乗り方を覚えることができるようになります。
11 トラブルに対処する能力がつく
たった一人でだれにも頼ることができない状況にいると、今、本当に大事なことは何か、どうすれば被害を最小限に抑えることができるかを真剣に考えるようになります。だんだんあわてずに対処することができるようになります。
12 美しい景色が見られる
日本全国どこに行っても美しい景色が見られます。残念ながら都会ではあまりそういった場所はありませんが。山も海も空も雲も新緑も紅葉もどこへ行っても美しいところばかりです。
13 見聞を広めることができる
ニュースである場所のことが報道された時に、行ったことがある場所とそうでないところでは関心度合いが違ってきます。また、その土地の人や宿に泊まり合わせた人と話したり、宿のオーナーの話を聞いたりして自分の知らない世界を知ることができます。
14 芭蕉の気持ちになってみることができる(私の場合)
芭蕉の「奥の細道」をたどったときに、道に迷いそうなところや峠の大変さ、そして暑さや喉の渇きなど、芭蕉を人間として感じることができたのは大収穫でした。
自転車日本一周のデメリット
メリットばかりでなく、デメリットも考えてみました。
1 怪我のリスク
怪我はあり得ます。私は左肘を骨折しました。私の場合は完全な不注意だったのですが、疲れたり単調なところを走っていると起こり得ます。
そして、日本の道路は自転車に優しくありません。交通法規通りに走ろうとすると、かえってそれが危険な場合もあるため、常に車には注意する必要があります。
北海道では夜に走ると鹿と衝突する危険もあります。トンネル内でトラックにぶつけられたという話も聞きました。ですからなるべく夜は走らないこと、そして、後ろに目立つように反射板を取り付けたり、反射ベストを着たり、テールランプを付けたりといった安全対策が必要です。左によりすぎるのも危険です。
2 お金がかかる
ある程度のお金はかかります。これは、旅の期間、どこに泊まるか、何を食べるかによって変わってきます。キャンプをすれば宿泊代を安くすることができます。
あと、自転車がない場合は買わなきゃならないし、パニアバックという自転車に取り付けるバックも必要ですし、そのバックを取り付けるキャリアも必要となり、装備に結構お金がかかります。キャンプの場合はテントも必要ですね。
3 事前に行う様々な手続き等の煩雑さ
これは、たとえば失業保険の受給期間延長の手続きなどです。健康保険から国民健康保険に変えるのならばその手続きも必要です。
私の場合は、失業保険の受給期間延長のほかに、スマホを大手通信会社から格安の通信事業者に変更し、旅の間必要となる通信量と通話料を考え、必要なプランに入り直しました。しばらく車にも乗らないのでまたもう古いこともあり、車を売却しました。
また、これは直接旅に関係するものですが、傷害保険への加入も大切です。装備のリスト作成や購入にもちょっと時間がかかります。
4 事前にできなかった手続きの対応が面倒
年会費や税金の支払い時期も考える必要があります。クレジットカードの更新年月も確認しておく必要があります。全部確認したつもりでしたが、忘れていたものもあり、後から延滞税を合わせて支払ったものもありました。
お金で買えない経験ができる
旅に出かけて起こる様々な経験はお金で買うことはできません。
もちろんお金がなければ旅を続けられませんが、経験そのものを買うことはできません。
行動があってはじめていろいろなことを考え、そして感じることができるのです。
人は死ぬ時に後悔するのは、あのときあれをやっておけばよかったということが多いそうです。
途中で挫折したっていいのです。それでも経験することができます。行動することに意義があるのです。
サントリーの創業者鳥井信治郎氏がいっています。
「やってみなはれ、やらなわからしまへんで」
HONDA(本田技研工業)の創業者の本田宗一郎氏は
「チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐ろ」
といっていますし、氏の著書に『やりたいことをやれ』というタイトルの本もあります。
もうひとつだけ加えさせてもらうと、池井戸潤原作の『陸王』のドラマを見ていた時に、主役のこはぜ屋宮澤社長役の役所広司が言った言葉が私には刺さりました。こういうのです。
「挑戦しなけりゃ負けも勝ちもない。何一つ成長せずに、ただ生き延びたって、そんなのは意味がない」
さらにこうもいいます。
「本当の負けってのは、挑戦することをやめたときだ」
どうです。刺さりませんか?
仕事を辞めたら生活できない?
「でも、60歳で仕事を辞めてしまったら収入がなくなって生活できなくなっちゃうよ」という方、どうやったら仕事を辞めずに日本一周ができるかを考えましょう。
もし、定年まで時間があるのなら、仕事を辞めても生活できる手段をいまのうちに作っておきましょう。
いま、60歳で仕事を辞めたら収入はゼロ。けれど、とりあえず失業保険がでます。そして失業保険は受給期間の延長ができます。私も1年間延長しました。だから旅を終えてから申請して受給することができています。
ただ、年金が支給されるのは65歳からですよね(私の場合は63歳から一部支給されますが)。すくなくともそれまでの期間の生活を考える必要があります。
もし、再雇用が引き続きでなく、しばらく休んでからでも行えるのなら、チャンスです。その期間に行けばいいのです。日本一周は細切れでも行うことができます。
それでもどうしても長期の休みが取れないようなら、日本一周にこだわらずに短期間の自転車ツーリングでもお金で買えない経験はできます。
私の場合は、引き続いてでないと再雇用できない制度だったため、完全に退職したというわけです。しかしながら、十数年前は再雇用制度がなかったため、50歳の時に通信制の大学に入って心理学を学び始めました。現在は心理カウンセラーなどの資格をもっています。けれど、残念ながら実務経験がないため、今後働いて経験を積もうと考えているところです。
それから、やらなくちゃと思いながら先延ばししてしまったのは、資産形成です。資産の運用益が毎月入ってくるようにしておけば、老後の心配がなくなる(あるいは減る)のになんでやらなかったのでしょう。これは早めに始めることが大切だと思います。このへんは詳しい専門家に相談してみてください。
参考までに私が読者になっている方のブログをご覧ください。
私がサラリーマンだったために、サラリーマン向けの内容になってしまいましたね。ただ、ビジネスをされている方でも個人でやられている方は、働くのを辞めたら収入が無くなってしまうので、準備は大切だと思います。
定年はチャンス
あなたが、自転車で日本一周をしてみたいと思っているなら、定年はチャンスです。
周りの同意も得やすいでしょう。そして、あなたのためになることばかりが待っています。
人生を見つめなおす機会にもなります。
気持ちの切り替えができて新しいスタートを切ることができます。
そして、『定年後- 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書) 』(楠木新著)に書かれていることですが、多くの人は75歳頃から気力・体力が落ちてくるのだそうです。だから60歳から74歳までが黄金の15年だということです(借りて読んだ本なので少し違っているかも)。
私はこの言葉に背中を押されました。
おわりに
ここまでお読みくださりありがとうございます。
いかがでしたか。日本一周をしたいけどむずかしそうだなぁと思っているあなたの背中をちょっとでも押すことができましたか。
「いや、でもやっぱり不安もあるし」
そうですよね。
今後、不安解消となる記事もアップして行きたいと思っていますので、どうぞお付き合いください。
では、このへんで。
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