前回の続きです。
前回は美ヶ原高原を端から端まで歩き、下山を始めたところ、ふと思い立って予定を変更することにしたところまでを書いた。
実はそれが予想外に素晴らしいコースだった。
予定外の茶臼山へ登ってから下山(2日目のつづき)
茶臼山への道はほとんど平坦といっていい道だ。
だが、それでももうバテバテだった。先日の入院で体力が落ちていたことが大きいが、急いで登り返したのもいけなかったと思われる。
それでも茶臼山への道は柔らかい土の道が多かったので、かなり足への負担は少なかった。
この山道から右側は岩肌が剥き出しの崖がストンと落ちている。ここが昔は岩だらけの山だったことがわかる。何やら砦のような形の崖も見えた。
遠くには松本市街がずっと見えている。
思うように足が前に出ず、1時間20分もかけて茶臼山頂上に到着。
すると、おばちゃんの集団がおしゃべりをしていた。
すぐに3人連れのおばちゃんと5、6人連れのおばちゃんの二グループであることがわかる。
休む場所がなかったので景色を眺め写真を撮る。遠くに諏訪湖が見下ろせた。
「それにしても、おばちゃんたちってどこでもよくしゃべって笑うなぁ」と思いながら、聞くとはなしに聞いていると、実に面白い話をしていて、その方々と一緒になって笑いそうになってしまった。
しばらくして人数の多い方のグループが美ヶ原の方に向かっていった。空いたただの板の上に座る。疲れた。しばらく休憩だ。
腹はまだすいていなかったが、おやきが硬くなる前に早く食べたかったので、お湯を沸かしてコーヒーを淹れる。店のおばちゃんの言ったとおり、野沢菜おやきはとてもうまかった。
しばらく休んで下山を開始する。
下山開始早々にカラマツの林に入る。昔は毎年11月初旬に上高地に行っていたので、黄葉したカラマツはよく見ているが、新緑のカラマツの葉は、とても若々しい緑で素晴らしい。
少し下るとそこにダケカンバが混じり、さらに様々な広葉樹が混じってきた。そのあと一時的にカラマツが少なくなるが、少し下ると再びカラマツが元気に空へ伸びていた。
上空では風が強いようで上に伸びているカラマツがぐらぐらと揺れている。とても曲がりそうもない太い幹がぐわんぐわん撓っている。
森はとても静かである。
そう感じるだけで、実はさっきから鳥たちの鳴き声が盛んに響いている。この森に、鳥も虫もそして動物も全てが生かされている。
youtu.be <たくさんの鳥の鳴き声が聞こえている>
登山道の周辺の石には苔がびっしりついていて、まるで原生林のような趣きである。こうした苔の中に立っていると全てが緑色で、自分まで緑色になってしまったような錯覚におちいる。
その中にヒノキらしきものが生えていた。ただヒノキにしてはずいぶんと細く小さいと思った。その葉は周りの明るい緑に比べ黒ぽく見える。県民の森のすでに廃止されたキャンプ場に名前のプレートが添えられており、そこにはニオイヒバと書かれていた。ヒノキの仲間だそうである。
この登山道は岩がゴロゴロして歩きづらいが植相の変化や鳥の鳴き声が楽しめるおすすめのコースだ。
そしてスタートした地点にちょうど午後3時に着いた。
テントサイトに戻る途中、いこいの広場へ降りる細道があったので、そちらに行ってみることにした。
いこいの広場というのは、キャンプ場の受付をしたところで、レストランや売店を開いている。そこでソフトクリームを注文。乳製品だなってわかるような一味違う味だった。
さらにここで入浴券を購入。近くに「せせらぎの湯」と言うものがあるそうだ。
お店の人が今日は開いているかどうかを確認してくれて、開いていると言うので500円を支払う。
「行って誰もいない時はこの札をボックスの中に入れてください。入口はこの裏の番号で開けてください」
言っている意味がよく飲み込めなかったが「まぁ、行ってみればわかるだろう」。
一旦テントに戻り、入浴の支度を整えてバイクで温泉に向かう。山道のカーブではみ出してくる車がいるので慎重に走る。
道が大きくカーブするところにその温泉はあった。バイクを停め、靴を脱いで鍵のナンバーを押す。なるほど、裏に書いてくれた番号はこれだった。
ところが何度やっても開けられない。説明をよく読めばつまみを反対の方向に回していた。正しい方向に回したらすぐに開いた。
扉を開けるとそこが広いロビーのようになっていた。すぐ右にカウンターがあり、その上にカードを入れるボックスが置かれていた。
そこをどんどんまっすぐ行くと突き当たりが男湯だ。誰もいない。貸しきり状態だ。露天ではないが大きな窓がはめられていて開放感がある。清潔でとても気持ちの良い温泉だった。
上がるとロビーで休憩する。なんとWi-Fiが使えた。ここでFacebookに投稿し続いてYouTubeを見る。
参院選に突入した参政党の神谷氏の動画を見た。ちょうど吹田市での演説だった。神谷氏は吹田市の市議だった。力の入れようが違った。
テント場に戻り、明るいうちに夕食。この日はアルファー米のご飯を食べる。
こうして美ヶ原の素晴らしい一日が終わった。
最後に
この翌日、美ヶ原は霧に包まれていた。
僕が登った日は、雲は多かったが時折日が差したりするいい天気で遠くの山々まで眺めることができた。
残念ながら、雲が低くてそのピークは雲に隠れていたが、それでも素晴らしい景色を眺めることができた。
こんなのどかでのんびりした一日を過ごすことができたが、今のように牧場の柵で道がつけられていなかった頃に霧が出たら、まったく下山ルートがわからなくなってしまうだろう。
ましてや雪山であればさらに危険が増す。
そうやってたくさんの遭難があったことを忘れてはならない。
さて、翌日は霧ヶ峰に向かいます。
では、このへんで
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