Hakuto-日記

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天上の楽園に登る 【美ヶ原】その2

 

関東では、今回の美ヶ原・霧ヶ峰登山の最中に梅雨が明けた。

しかし、美ヶ原に向かっている時はすでに太陽が照りつけて、道路の気温計が36度を示していた。

そんな中、キャンプをした松本市の三城は標高1500メートル。近くにリスが遊びに来たりしてとても快適だった。

ここへ来る途中のビーナスラインの三峰あたりでは寒いくらいだった。

そしていよいよ美ヶ原へ登ります。

最高峰は標高2,034mの王ヶ頭。

 

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美ヶ原登山(2日目)

登山道入り口

翌26日6時10分、キャンプ場から登山道に入る。

しばらく沢沿いの道を行き、左に折れるところが県民の森キャンプ場の跡。ここは平成25年に閉鎖されたそうだ。

 

県民の森キャンプ場の跡 さらに少し上にもあった

この辺りはオシダが繁茂していて、広葉樹の森のおかげでとても涼しい。

 

オシダ

しばらくまた渓流沿いに登っていくと茶臼山と美ヶ原の塩クレ場との分岐の広場に出る。ここは広小場と言うらしい。

少しまた渓流脇を登り、そこから百曲に入る。

すると、登山道には奥秩父の富士見平辺りにあったのと同じ瓦のような石がごろごろしていた。

 

石がゴロゴロしていて足首がグラグラする

 

40分ほど登り、振り返れば向こうに景色が広がった。

 

景色が見えると心が弾む

ここまでの道のりは、初めはシダの道、続いて笹の道に変わり、この見晴らしの良いところまで登ってくるとだんだん笹が少なくなっている。

森は明るく、針葉樹は見当たらない。風は上の方では強く吹いているようだが、森の中では微風だ。

登っていくにしたがって高い樹木がなくなり、次第に風を受けるようになる。

そして強風の中、7:28にアルプス展望コースと塩クレ場との分岐に到着した。


ここから左側は崖、右側は牧場のアルプス展望コースを進み、王ヶ頭へ向かう。牧場では牛がのんびり草を食んでいた。

 

標高1950mの牧場

向こうに見えるのが王ヶ頭ホテル

この道はほぼ強風の中。場所によってはまっすぐ歩くのが難しい。

歩いていると、崖の上で風に耐えながら動画を自撮りしている女性がいた。あとでだれかに「風がすごかったんだよ」と伝えるのだろう。

 

ちょうど8時に王ヶ頭に着く。この頂上の隣には王ヶ頭ホテルがでんと構えている。ここは「雲上のリゾート」と言っていて、すぐに満室となるため予約を取るのが大変だと友人から聞いたことがある。

 

山頂には石碑に「美ヶ原頂上 王ヶ頭 2034M」と刻まれている。

強風の中で写真を撮る。今回は自撮り棒を忘れずに持ってきた。ただ、現在のiPhoneにはイヤホンジャックがないため、リモートでシャッターが切れない。よってセルフタイマーを使って撮った。

 

このあと大勢の登山客がやってくる

王ヶ頭から王ヶ鼻へ向かう。

少し下ると道が車が通れる広い道にでる。しばらくこの車道を歩く。ここは風が遮られていたのでので歩きやすい。

左側の小径に入り、少しいくと王ヶ鼻に着いた。小高い岩の上にお地蔵様がたくさん並んでいた。ここから松本市街の展望が良い。

 

王ヶ鼻

小腹が空いたので持ってきたグラノーラを少し食べる。ここから引き返し王ヶ頭ホテルの横を通って美ヶ原牧場に出る。

 

向こうから王ヶ頭ホテルのバスが走ってくる。

送迎用だが普通の大きさのバス。ただ、道が凹凸だらけなのでおそらくかなり揺れるだろう。

 

のどかな風景

塩クレ場から

塩クレ場に来ると美しの塔はもう目の前に見えている。遮るものがないので遠くまで見渡せるのだ。

美しの塔には尾崎喜八の詩が刻まれていた。読もうとしたが自筆らしく読むことができなかった。後で調べてみると次の通りで素晴らしい文章だった。

 

  美ヶ原
登リツイテ不意ニヒラケタ眼前ノ風景ニ
シバラクハ世界ノ天井ガ抜ケタカト思ウ。
ヤガテ一歩ヲ踏ミコンデ岩ニマタガリナガラ、
コノ高サニオケルコノ広ガリノ把握ニナオモクルシム。
無制限ナ、オオドカナ、荒ッポクテ、新鮮ナ、
コノ風景ノ情緒ハタダ身ニシミルヨウニ本源的デ、
尋常ノ尺度ニハマルデ桁ガ外レテイル。

秋ガ雲ノ砲煙ヲドンドン上ゲテ、
空ハ青ト白トノ眼モサメルダンダラ。
物見石ノ準平原カラ和田峠ノホウヘ
一羽ノ鷲ガ流レ矢ノヨウニ落チテ行ッタ。

この詩の元は美ガ原熔岩台地というタイトルで漢字とひらがなで書かれたものだと言う。

  美ガ原熔岩台地

登りついて不意にひらけた眼前の風景に

しばらくは世界の天井が抜けたかと思ふ。

やがて一歩を踏みこんで岩にまたがりながら、

此の高さにおける此の広がりの把握に尚もくるしむ。

無制限な、おほどかな、荒っぽくて、新鮮な

この風景の情緒はただ身に沁みるやうに本源的で、

尋常の尺度にはまるで桁が外れてゐる。

 

秋が雲の砲煙をどんどん上げて、

空は青と白との眼もさめるだんだら。

物見石の準平原から和田峠の方へ

一羽の鷲が流れ矢のやうに落ちて行った。

 

この塔は霧のため多くの方が遭難したため、避難塔として建てられたそうだ。そういえばあちこちに慰霊碑が建てられていた。

 

塩クレ場の慰霊碑

美しの塔

ミツバフウロ

少し行くと山本小屋があり、そこでキノコ汁や五平餅が売られていた。食指が動いたが美ヶ原高原道の駅で昼を食べることにしていたので、ここは我慢をした。

少し行くと山本小屋ふるさと館があり、入口前の池に山本俊一氏の銅像が置かれていた。山本氏はこの美ヶ原の山小屋、登山道の整備を行った方である。

 

このふるさと館から牛臥山へと上る道が分かれている。時計を見なかったが、10分位で牛臥山に着く。

ここからの展望も素晴らしかった。ここで写真を撮ってほしいとひとりの男性に頼まれる。それは団体さんで方位石盤の台座の周りに集まっていた。

 

牛臥山山頂

いざ写真を撮ろうとすると、皆人差し指を上に向けてポーズをとった。一度シャッターを切って確認してもらったところ、ポーズがいまいちだと言うことでもう一度取り直す。

カメラ(スマホ)の持ち主が全員に斜め45度を見るように指示を出していた。再び確認してもらったところ、今度はオーケーが出た。立ち去る時に人数を数えたら9人の団体だった。


牛臥山から美ヶ原高原美術館方面に向かって歩いていたら途中から木道になる。そこを下っていくと左手に子供の遊ぶ遊具のようなものが見えてきた。

 

美ヶ原高原美術館へ下る木道

一体なんだろう。下に降りてみてそれがわかった。これが美ヶ原高原美術館だったんだ。それは箱根彫刻の森美術館と同じような美術館なのだった。

そして、道を挟んだ向かい側に美術館の土産物などを売る店に道の駅が併設されていた。

 

ここのレストランで地元のものを食べようと思ったが、蕎麦やうどんの他にはカレーライスなどしか置いてなかった。仕方がないので山小屋カレーというものを食べる。

さっきの山本小屋で五平餅とかおやきとかきのこ汁を食べればよかったなぁと後悔する。

 

美ヶ原高原道の駅のテラスから

景色を満喫し、来た道を戻る。あ、そういえばさっきの山本小屋の前も通るんだった。

山本小屋にやってくるときのこ汁を頼む。ついでにおやきも買った。お腹はいっぱいだったがどうしても食べたかった。キノコ汁は売店のおばちゃんのお手製だ。おやきを買うとき中身は何にすると聞かれた。

 

「オススメはなんですか」

「やっぱり野沢菜がおいしいんじゃない」

「じゃぁ野沢菜ください」


野沢菜おやきは後で食べることにしてザックにくくりつけた。

 

きのこ汁には生七味を入れて食べた

 

ここからすぐに塩クレ場に到着。そこを左折すると牛に塩をやる(くれる)ところを探したが見つからなかった。

 

少し行くとアルプス展望コースの分かれ道に戻ってきた。いざ下山開始。

しかし10分ほど下ったところでふと、「ひょっとしてまだこの時間なら茶臼山に登れたんじゃない」と思いたち、時間を計算したら十分明るいうちに下山できると思われたので、そこからまた登り返した。

 

12時ちょうどに再び分岐地点に戻る。

しかし、この登りで体力をほとんど使い果たした感がする。

 

つづく

 

challe.info

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