Hakuto-日記

定年後を楽しく、生きたい人生を生きる!

高山植物咲き乱れ【朝日岳】

大朝日岳と中岳

梅雨間近、土日で天気が良さそうな場所を探す。

そうして決めたのが朝日岳(朝日連峰)主峰の大朝日岳登山。

ちょっと距離が長いので山頂近くの避難小屋に一泊する行程で計画を立てた。

お天気は良かったのだけれど・・・

 

夜行バス&小屋泊登山

山形駅

6月の金曜日、新宿バスタより夜行バスに乗り、翌朝6時半頃に山形駅に到着する。早朝に開いている店を探すとチェーン店の牛丼屋が近くにあった。そこで朝食を食べたあと駅にもどり歯磨きと洗面。ふたたび同じ道を通ってニコニコレンタカーへ行く。

 

8時20分ごろニコレンを出発。今回どうにか借りることができたのは商用車のエブリィワゴン。アイドリングストップもないし、ヘッドライトのオート機能もない。鍵を差し込んで、回してエンジンをかけるというちょっと昔の方式。だが、こちらの方が慣れている。

 

店(ガソリンスタンド)の人に聞くと、土日はすぐに予約でいっぱいになるとのこと。駅から少し離れているが、やはり料金が安いからのようだ。

 

9時50分頃、古寺登山口駐車場に到着。ふくらはぎサポーターを履き、手袋をすぐに取り出せるようにザックのポケットに入れる。トイレを済ませ、駐車カードに記入して料金(1回千円)をポストに入れる。ついでにその隣の登山ポストにも登山届けを入れた。コンパスアプリでの登山届も提出済みである。

向こうが古寺駐車場

こうして出発は10時20分。今後は支度時間を30分ほど考慮しておく必要がありそうだ。

 

一連の手続きを終えて歩き出そうとすると、駐車場隣の宿泊施設の方が「小屋泊りですか」と問いかけてきた。はい、そうですと答える。すると安心したような顔をした。「日帰りです」と言ったら「それは無理だよ」とでも言おうとしたのだろう。

 

「明日は山開きなので小屋は混んでるかもしれませんよ、山岳会の人たちがたくさん入るので」との情報をくれた。お礼を言って出発する。

 

沢沿いを少し進むと、今は閉館されている朝陽館が半分崩れて立っていた。もっと立派な旅館かと思ったら山小屋みたいな感じだった。

 

だが、ここでいきなり花が出迎えてくれていた。これから上りが楽しみである。

朝陽館

 

暑さと虫に参る

それにしても日差しが暑い。今の気温は25度。普段あまり汗をかかないが、今日は既に汗を拭かなければ目に入ってくるほどである。

 

朝陽館からは、尾根までジグザグに道が続く急登だが、それも僅かで尾根に出た。するとそこは木の根っこだらけだった。そばに立っている針葉樹はかなりの大木である。この辺は針葉樹と広葉樹の混合林であり、それはおもにヒメコマツとブナらしい。空では鳥がケケケと泣いている。遠くの方からも甲高い声などが響き、様々な鳴き声が飛び交っていた。

 

樹林体の中でこれだけ暑いのだから、木がなかったら悲惨だろう。事前に調べたところでは、虫が多いというので虫対策をしっかりしてきたつもりである。市販の虫除けにハッカ油の自作虫スプレー、それに刺された場合の痒み止め、おまけにポイズンリムーバーまで持ってきている。

 

そればかりではなく、百均の洗濯ネットも持ってきた。このネットを頭に被って虫除けにするのである。事前に被ってみたところ、帽子の上からも被れるので顔はガードできそうに思える。

 

なお、この尾根で虫除けスプレーをかけようとザックを下ろしたところ、手袋の片方がぽろっと落ちた。探してももう片方が見つからない。しまった、落としてしまった。帰りに絶対拾って帰るぞと思い、先へ進む。

 

登っていくにつれて針葉樹がなくなり、広葉樹のブナ林になる。

ニッコウキスゲ

ヤマオダマキ

歩き始めて50分ほど経ったので、そろそろハナヌキ峰との分岐に出るころだ。周りではあの賑やかな鳥の声が聞こえなくなり、聞こえるのは風の注ぐ音ばかりとなった。


歩き始めて1時間を過ぎた。しかし分岐に差しかからない。そこで地図を見る。するとなんと標準コースタイムは1時間50分だった。なんだ、まだ先じゃないか。

 

ここまで来る途中で赤い大きな60リットル位のザックを背負った同年輩くらいの男性を追い越す。そのとき少し言葉を交わすと、その方も避難小屋泊りだと言うことである。その方もやはり小屋はいっぱいだろうと言う話を聞いていた。


森林限界を抜けると、遠くの山々が見渡せて気持ちもぱっと広がった。そこは稜線のすぐ下を行くような感じで反対側は見通せない。

 

しかし、樹林帯ではあまり花を見かけなかったのに、ここでは高山植物が咲き乱れていた。もう写真を撮るのが大変である。何度立ち止まったことか。とくにピンクのヒメサユリが可愛らしく、おなじピンクのタニウツギと交互に現れて楽しませてくれた。

ヤマツツジ

シロバナニガナ

タニウツギ

マイヅルソウ

スダヤクシュ

サンカヨウ

ショウジョウバカマ

ツマトリソウ

ミツバオウレン

オオヤマレンゲ

ミツバツツジ

ツクバネウツギ

コミヤマカタバミ

ヒメサユリ

 

そこを進んでいくと古寺山(1501メートル)である。山頂の標柱に来ると、目の前に小朝日岳、その右手に大朝日岳が。さらにその右手には中岳や西旭岳が完全な姿で目に飛び込んできた。「ああ、これからあそこへ行くのだな」と思う。そして、今日泊まる大朝日避難小屋もポツンと見えた。

小朝日岳と大朝日岳

ハクサンチドリ

シラネアオイ

ウラジロヨウラク

アオノツガザクラ

雪は所々まだ残っている。雪形と言うやつだ。縞馬のような模様がなんだか面白い。古寺山を過ぎると下りとなり雪渓があった。そこを通り過ぎるとその先は道がないザレ場の急斜面。ずるずると滑りながら下って登山道に降り立った。

 

そこから再び登り直す。進行方向に見える小朝日岳はとても急峻だ。その上りはかなり体力が削られるだろう。

大朝日岳、中岳、西朝日岳と続く稜線と雪形

さらに天気は最高だが暑い。気温は25度で変わっていない。ただ稜線上なので風がさわやかで心地よい。そこに鳥の鳴き声がうるさいくらいに響いた。鶯の谷渡りである。

 

3時40分ごろ、銀玉水という水場に到着。ここで今晩と明日の朝の食事用の水を水筒に入れ、顔を洗う。

 

そのすぐ上は、きれいに石が積まれた階段状の登山道となる。だがその先は雪渓に埋もれていた。この雪渓は急斜面で滑落の危険があったため、できるだけの端の雪のないところを登っていった。そうしていると枯れ草だらけの急斜面になり、とんでもないところに来てしまったかなという思いが心をよぎった。ところが、同じようなに考えた人が何人もいたらしく、踏み跡が所々に見つかった。

この雪渓通過に少し緊張する

こうして無事に雪渓を終えようとしたそのとき、下山するソロの登山者に声をかけられた。

「近くに水場はありますか?」

「この雪渓の下に銀玉水がありますよ」と答えると、その人はするすると雪渓の上を軽快に下って行った。

 

その人は靴は登山靴だったが、ストックを持っておらずアイゼンもつけていなかった。大丈夫なのかなと思い、しばらく見守っていた。

 

そして次に頭に浮かんだのが、『この時間に降りて行ったら、下に降りた時はもう真っ暗じゃん』ということだった。特にトレランシューズとかではなかく、トレラン用のリュックでもなかった。ちょっと心配になる。

 

雪渓の上の稜線に出ると、背の低いハイマツ帯で道は石がゴロゴロとしていた。

ハイマツの向こうに大朝日避難小屋が見える

朝日嶽神社奥宮

チングルマ

 

山小屋で夕陽を眺める

午後4時20分ごろ大朝日避難小屋に到着。管理人さんが常駐していて受付をしてくれた。料金は2千円。翌日の行動予定などを聞かれた。

 

宿泊は2階で、さらに2メートル四方くらいの棚がぶら下がっており、空いているスペースはその棚の上だけで、あと6人くらいで満杯という状況だった。

 

寝場所を確保してから大朝日岳(1870m)に向かった。身軽だったせいもあり、おおよそ10分ほどで山頂に到着した。山頂には誰もおらず、一人で景色を満喫した。

イワカガミの群生

ミヤマウスユキソウ

ムシトリスミレ

大朝日岳山頂にて

 

小屋に帰って夕食をとり、その後に西朝日岳に日が沈むまで眺めていた。日の入りは7時ごろだった。

 

賑やかだった小屋も7時半頃には静かになった。ここはマナーをわきまえた登山者ばかりだなあと感じ、ふと屋久島のあの賑やかだった小屋を思い出した。

西旭岳に沈む夕陽

 

 

下山と温泉

ゆ〜チェリー

翌朝、4時50分頃に1階に降りる。すると管理人さんから下山時に遭難が起きやすいので気をつけるようにとの事。ただちょっと話が長くて出発は5時5分だった。

 

朝焼けを眺めて昨日来た道を戻る。あの雪渓の上まで来るとその下に人が立っていた。

 

そういえば、あの埼玉のおっちゃんはどうしたのだろう。昨日ぼくの後から小屋に来た人はいたのだろうか。気が付かなかったけれど。そんなことを考えながら、慎重に雪渓を下っていく。

 

下の方に来たところでそこにいたのはあの埼玉のおっちゃんであることがわかった。昨日はとうとう登れずにここでビバークしたとのこと。

 

「アイゼンは持ってきたけどつけるのが面倒で、そこまで登ったけど諦めてここまで降りてきてビバークしたんですよ」

 

やはり小屋には来なかったのだ。65リットルのザックも伊達じゃない。ちゃんとツェルトを用意していたのだ。これから大朝日岳に登って、高校時代山岳部の先輩が遭難した中ツル尾根から下山するとのこと、聞けば捜索が中止となってしまったのでともかく見にいくということだった。


銀玉水で顔を洗う。上の登山道の岩場で羊羹とソイジョイの朝食。少し風があったのでオンリーフードをかぶる。

下山時は小朝日岳の巻道を通った。すでに残雪はなかったが、雪があったら危険なトラバースである。草が生い茂る場所で雪を踏み抜けば滑落しかねない。

 

さっき軽く腹に入れたが、逆に胃を刺激したようで腹が減ってきた。巻道との分岐にでたらしっかり朝食を摂ろうと思いながら頑張って歩く。

 

登りではむこうの分岐の雪渓で一服している若者に出会った。あの辺りなら虫も少なそうだ。

 

そういえば虫対策の結果をお話ししておこう。実は登りで3箇所喰われた。あれはブヨのような気がする。全て左で耳の後ろと腕の上と下である。虫除けでは防ぎきれなかったということである。そして下山時に左足のふくらはぎ上部をやられた。

 

耳を除けばいずれも肌を露出した際(きわ)のところだった。腕にはアームカバーをつけていて、あまりの暑さに手首まで下げた時にその上、刺されてからカバーを再び上にあげたが、ずり落ちてきたその上のところ。

 

耳の後ろは帽子を目深に被っていたその隙間に入り込んできてやられた。下山時は、ズボンが暑いので膝下まで折り返していたところ、ふくらはぎサポーターをつけているその上のところをやられてしまった。

 

7時、分岐に到着。お湯を沸かしモンベルリゾットの朝食。ここで25分間の休憩。この後日焼けと虫対策を兼ねて手拭いを被ってから帽子を被ったところ、これが意外に良かった。日焼け対策として首の後ろにかかるようにして、あとは耳の両側に垂れていると、動きと風によって揺れ動くので虫除けの効果があった。あまり虫が多い時にはダメだと思われるので、そのときは例の洗濯ネットを被ればいい。

月山の姿を見ながら下山する

こうして10時5分、古寺駐車場に戻ってきた。残念ながら手袋の片方は見つからなかった。

 

さて、汗をかいた。レンタカーを返す前に温泉に入ろう。

 

今回は事前に調べておいた寒河江の日帰り入浴施設「ゆ〜チェリー」に立ち寄った。

ここはなんと350円で入浴でき、シャンプーやボディーソープまで備え付けてある。

開放的で広々としていて気持ちが良い温泉施設だった。おすすめである。

www.yu-cherry.com

 

 

最後に

今回は、ひとつ試したことがある。

それは、ストックをバランスを取るためでなく、楽に早く歩くために積極的に利用してみようとしたのである。

 

それは、とあるユーチューバーの方が紹介していた方法で、ストックを短くして頭のところを持って体を持ち上げる時の補助として使うという方法である。

 

実際に試してみたところ、確かに足の負担は少ないように感じた。けれども当方は上半身の筋力が驚くほどないため、その効果は限定的であった。

スピードについては、暑さのためもあったかもしれないが、ほぼコースタイム通り、逆にそれより若干遅いくらいだった。

 

良かったと思うのは、ストックが短いと取り回しが楽で、どこかにぶつけたりひっかけたりすることが少なかったことである。それもあって最近は1本ポールにしていたのであるけれど、短くしていれば(所持しているのは95〜115センチ)2本でもあまり邪魔に感じなかったことである。

 

また次回も試してみたい思う。

 

では、このへんで

 

 

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