Hakuto-日記

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登るにつれて山の頂が少しずつ顔を覗かせる 【仙丈ヶ岳】その2

仙丈ヶ岳

前回は小仙丈ヶ岳の登頂を果たしたところまでだった。

いよいよ仙丈ヶ岳に登る。

天気は最高。そして見晴らしの良い天空の尾根道を歩いていく。

左手には北岳、右手には甲斐駒ヶ岳が聳え立つ。

なんとも贅沢な景色の中を進んでいく。

challe.info

 

北岳を見上げることなく天空の尾根道

富士と北岳


小仙丈ヶ岳山頂に着くと、急峻さはないが圧倒的に仙丈ヶ岳が、振り返れば昨日登った甲斐駒ヶ岳が白い岩肌をあらわにして聳え立っている。


そこから右に視線を移していくと、栗沢山、その向こうに少し霞んで鳳凰三山、富士が見え、続いて北岳が見える。

北岳は富士に続く高峰である。

それがここからほんの僅かの距離で、それも見上げることなく見えている。

 

そして、小仙丈尾根の向こうには仙丈ヶ岳がどっしりと構えていた。

大きい、というのが素直な感想だ。

写真を撮り、くるみ餅でエネルギーを補充をする。

 

天空の尾根道

そしていざ、仙丈ヶ岳に向かって小仙丈尾根へ踏み出していく。

北岳は左手からずっとこちらを見ている。

 

この天空の尾根道は、最初は小さなアップダウンを繰り返すがほぼ平坦だ。

しかし、ザレ場とガレ場が共存していて歩きづらい。さらに大きな岩場が一定の間隔で現れ、ストックが邪魔になるような2メートルくらいの段差が行手を阻む。

 

右手を見ると、馬の背と呼ばれる尾根がなだらかに続いている。

こうしていくつかのアップダウンを繰り返すといよいよ道は仙丈ヶ岳へと登っていく。
この登り始めのあたりに八合目の標識が立っていた。

 

馬の背

 

八合目

少し登ると千丈小屋につづく分岐が現れる。小屋は見えない。

 

ここから左にカーブしていくと右下に小さく小屋が見えた。そこから右手に仙丈ヶ岳の頂上が見えるが、その手前に小さなピークがある。岩だらけのそこを通過するのはいやだなと思っていたら、右に巻道がありピーク方面には通行止めのサインがあった。

 

巻道を進むと大仙丈ヶ岳と千丈小屋との分岐の標識があり、そこから最後の坂をひと登りして9時36分に仙丈ヶ岳の頂に立った。

 

雲を従えて

山頂には10名くらいが休んでいて、写真を撮ったりしていた。
大学生らしき若者3人がさまざまなポーズをとりながら写真を撮っていた。
僕が自撮り棒で写真を撮ろうとしたら、そのうちの一人が「写真を撮りましょうか」と言ってくれたのでお願いした。

 

写真を撮り終わり、他の人の邪魔にならないように向こう側へ行っていたら、さっき写真を撮ってくれた大学生が、かわいい女の子と一緒にこちらへやってきてスマホを構えた。

 

なんだ、彼女と一緒だったのか、と思ったが、様子を見ているとどうも違うようだ。
その女の子はその大学生におじいさんへのビデオレターを撮ってもらっていた。

 

誰にでも気軽に話しかけて、写真を撮ってあげている人なつこい青年なのであった。

 

朝方に見えていた北アルプスは雲がかかって頂がみえなくなっていたので、10分ほどで反対側に下山を開始した。

頭の中はどこで昼飯を食べようかということでいっぱいだ。

 

そうやって下山していたら、先ほどの3人組の大学生が駆け足で下山してきた。それもなんと70リットルくらいはあろうザックを背負ってである。山側によけて道を譲る。

甲斐駒ヶ岳では若いUL登山者を多く見かけたが、大きな荷物の若者は珍しい。

 

下山中は眼下に千丈小屋がずっと見えている。

それは丸く削られた谷の中心に建っていた。

そこでここがカール(圏谷)であることにようやく気がついた。

 

藪沢カールと千丈小屋

若者たちは千丈小屋に向かっていき、そこで荷物を下ろしていた。

後で調べるとそこは<藪沢カール>で、さらに反対側にも2つのカールをもっていた。仙丈ヶ岳は3つの氷河に削られた山だったのである。

 

 

馬の背を途中から下る

イワギキョウ

千丈小屋に着くと、地面にロープで編んだ網が広げられていた。

ははーん、これを使ってヘリで荷物を運ぶのだな。その時は漠然と考えていた。

そこからの下りは、登山道の両脇にネットが張られていて、高山植物を保護していた。
これも人が入らないようにするものだと思っていた。

 

下ってきた道

 

藪沢カール

 

千丈小屋

しばらく下ると説明板があり、どうやら昔のこの辺りは高山植物がたくさん咲いていたらしい。それが鹿の食害で少なくなったそうだ。確かにここまであまり多くの高山植物を見かけなかった。

 

馬の背に出るとなだらかで見通しの良い道がしばらく続く。登山道は意外に狭くのんびり休憩できそうな場所がなかなかない。ようやく開けた場所に出たが、もうちょっと先で昼にしようと思っていたら馬の背ヒュッテに降りる分岐にきてしまい、尾根で昼を食べそこねた。それではヒュッテで食べることにしようと下っていく。

 

馬の背ヒュッテには10時40分頃についた。

 

だいぶ降りてきた

 

ニホンジカが原因だそう

登山道から離れた小屋の向こうにベンチが見えたのでそちらへ行ってみると、千丈小屋でみたあの縄の網に荷物をまとめていた。

いや、あれは荷物がヘリで届けられたばかりだったのだろうか。

 

小屋の営業開始と終了時に荷物を上げて下ろすのはわかるが、営業期間中にどのくらいの頻度でヘリを飛ばすのだろうか。

 

馬の背ヒュッテ

 

作業中

ヒュッテの周りをながめ、昼食を食べるのにちょうど良い場所を探す。遠い山々には雲がかかっていたが、ここはじりじりと太陽が照っている。

 

少し斜めだが大きな岩の隅が小屋の陰になっていた。ここでザックを降ろし湯沸かしセットを取り出す。するとアブが一斉に群がってきた。やたらと何にでも止まる。虫除けを塗ってもあまり効果がない。面倒な奴らだ。

 

鍋に水を注いではすぐに蓋をして、顔の前を払いながらお湯を沸かす。

 

そうこうしているうちに太陽が移動して腰掛けている場所が日向になった。結局日陰に移動して立ったまま(アブを払いながら)食事。

この間、2人のソロ登山者と2人組の若者が通り過ぎていった。

 

11時半、下山開始。小屋の下はさまざまな花が咲いていた。さらに下ると藪沢が現れ、霧が出てきた。それは小さな沢でここを越えていくと今朝通った5合目の分かれ道だったところにつながっている。

 

沢を渡らずに左岸を沢沿いに下っていく。霧の中でナナカマドの実が一際赤く浮き上がって見える。

やはりこの辺りも高山植物がたくさん咲いていた。

 

トリカブト

 

ミヤマセンキュウ

 

クジャクチョウ

 

赤く色づいたナナカマドの実

 

オトギリソウ

 

カワラナデシコ

 

クモマベニヒカゲ

 

沢にはあちこちから滝が流れ込んでいる。ところが途中から沢の水が無くなった。しばらく歩くと再び水が流れ出している。

 

半分ほど下ると右岸に渡り、藪沢を見下ろすようになる。さらに半分下ると沢から遠くなり、斜面も急になってくる。

この急斜面を下っていると突然平らな道になり、それがずっと大平山荘まで続いていた。

 

大平山荘は閉まっていた。もう小屋仕舞いしたのだろうか。

 

大平山荘は開いていなかった

 

本当に近道なのかと疑ってしまった

そこから北沢峠への近道を行ったのだが、どんどん山の中に入っていって不安になったので、戻って林道を進むことにした。

 

林道を歩いていたら、道路に座って電話をしている人がいて驚いた。北沢峠のこもれび山荘の人がここまで歩いてきたのだろうと思っていたが、実は長衛小屋のスタッフだったことがわかり尚更驚いてしまった。

 

長衛小屋についたのは午後2時を少し回っていた。

長衛小屋で3日目のテント場利用料を支払い、ウイスキーの水割り缶を買った。表のテーブルで昨日からの登山を振り返りながら、のんびりといっぱいやっていたら、あれだけ晴れていたのに雨が降り出した。

 

山の天気は変わりやすいものである。

 

 

最後に

おつかれさま

最終日、朝7時20分発のバスに乗るため、長衛小屋前の炊事場で朝食を食べ、6時40分に小屋を後にした。

 

一緒に夫婦連れが腰掛けていて、昨日はどこに登ったのかと聞かれた。仙丈ヶ岳だと答えると同じだという。

 

甲斐駒ヶ岳に登るつもりだったが、今日は天気が悪そうなので止めることにしたそうだ。しかし、それでも少し迷っている様子だった。

 

結局、仙流荘駐車場まで同じバスに揺られることになった。

空は時折青空が見え、雲の切間に甲斐駒ヶ岳を見ることができた。

 

写真はタイミングが悪く

残念ながら仙流荘に着くと再び曇りだし、今にも降りそうな天気になった。

案の定、すぐに雨が降り出す。城址公園の休館日の資料館か何かの駐車場でカッパを着る。

 

そこから茅野までの152号線は適度なカーブとスーパーカブでも速度を落とさずに登れる坂で気持ちがよかった。

その後雨が上がりいい天気となる。

甲府で温泉に浸かり、のんびりとして外に出ると雨が降り出した。その後も雨は降ったり止んだりでカッパを着たり脱いだりと忙しかった。

 

おわり

 

 

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