Hakuto-日記

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フェリーの湯船にゆられて 【北海道バイクツーリングの思い出7】

 

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(ネガをアプリで反転)

 

とうとう初めての北海道バイクツーリングは最終日を迎える。

痛めた指はまだ痛むが走れないことはない。

残りあと80キロ足らずだ。

その残りわずかの距離をじっくり味わいながら、といきたかったのだが生憎の雨と寒さに震える。

そして強烈な思い出は、太平洋の波に揺られるフェリーの風呂場で、湯船の波に揺られる自分であった。

最終日、苫小牧フェリー乗り場へ向かう

8月24日金曜日の朝は5時半に起床した。

 

昨夜の同宿者2名。ひとりはすこし頭がへんな麦わら帽子を被った人、もう一人は歩き旅の人でほとんど会話を交わすことはなく、そして駅に泊まるのをとがめる人も現れなかった。

 

こうして初めてのステーションホテル泊はとくに何ごともなく朝を迎えた。

 

けれど駅の朝は早く、そんなことを考えている暇はなかった。6時には町の高校生が駅に集まって来た。あわてて荷物を片付ける。ずいぶん朝早くから登校しているものだと、遅刻の多かった自分と比べて感心する。

 

汽車が出発すると静かになった。6時10分、食事をせずに出発し、苫小牧のフェリー乗り場を目指す。北海道の旅もいよいよ今日が最終日だ。

 

雨は降っていなかったがとても寒い。少ししてから寒さしのぎに雨具の上着を着た。そうして走っているとまたぽつぽつと雨が降り出した。


始めは小雨だったので雨具のズポンは履かずにいたが、だんだん雨脚が強くなってくる。結局だいぶ濡れてからズボンも履いた。もっと早くから履けばよかった。けど濡れてからでも暖かく感じる。


少し先へ行くと、道脇のバスの停留所にコンテナの箱のようながぽつんと置かれてあった。その中に入らせてもらいガスストーブをつけ湯を沸かす。パックの赤飯を温めて朝食。そしてインスタントコーヒーが旨い。体が温まる。

 

フェリーの出航時刻(正確な時刻覚えていない)まではたっぷり時間がある。それにフェリー乗り場までもう大した距離ではない。


苫小牧に近づいていくと、勇払原野の荒涼とした風景が広がっていた。それも何もかにもがグレー一色になっている。北海道らしいといえばその通りだが、バイクでは雨と寒さは大敵である。

 

8時40分、苫小牧フェリー乗り場に着く。待合所の土産売場で土産を買い、バイクを拭いて荷物の中身を詰め替える。出港したらバイク置き場には入れなくなる。だから船内で必要なものをまとめておく必要があるのだ。

 

10時頃乗船。乗ってすぐに2等切符を差額3千円を払ってB寝台に変更してもらう。行ってみるとベッドは8つ。同室人は自分を含めて4人だった。

 

フェリーに乗って湯船に揺られる

出航後、しばらくして波が高くなり船の揺れが激しくなる。これでは船酔いしそうなのでベッドに横になった。そのうちに少し眠ってしまう。

 

目が覚めるとそれから風呂に入りに行った。

 

船内の風呂は、船が揺れるととうぜん浴槽の湯も揺れる。その揺れは船と少しずれていて遅れてゆったりと波打ち、ざぶんと湯船の外に溢れ出る。その湯船の中にいると漂流する筏のように波に弄ばれて端から端へと移動する。これにはたまらなかった。だんだん気持ちが悪くなって来る。急いで部屋に戻り再びベッドに横になった。

 

その後、ようやく揺れはおさまった。夜は昼間眠ったせいで眠くない。同室の人たちと飲みながら深夜までおしゃべりをしていた。

 

翌朝の25日は少しゆっくり起きた。なにもすることがなく、昼間は外の甲板の上でごろごろと横になっていた。


夕方、東京港まであと3時間となったころ、ラジオのニッポン放送が聞けるようになる。「帰ってきた」という思いがこみ上げてきた。

 

自転車日本一周で重なったコース

この日に走ったコースは自転車日本一周でも走ったコースになる。

 

自転車で走ったときにこの時の景色を思い出そうとしたけれど、ほとんど覚えていなかった。

 

この道は、海の近くなのに海が見えるところは少なくて、普通の町の中を走っている感じで特に印象に残らなかった。

 

ただ、日高本線だけは違った。

 

現在の日高本線は、苫小牧駅から鵡川駅までの30キロちょっとなのだが、昔はその先の様似まで鉄道が伸びていて、総距離146.5キロだった。いまはほとんどが廃線となってしまっているにもかかわらず、レールがそのまま残っていていまにも列車が走ってきそうなのだ(注)。

 

しかし、ところどころ列車が通れなくなっている。それがどうにも不思議な感じがした。まるで幽霊列車でも走っているような、現実とあの世の世界が交差しているような錯覚に陥った。

また、昼食を鵡川の道の駅で食べようとしていたのに見過ごして通り過ぎてしまった。すると行けども行けども店屋がない。さすがにスマホで調べると、かなり道を外れたところにしか見つけられなかった。それでもそこが一番近い。

 

横道に逸れてその店に行ってみると、前にテレビで紹介された、そしてその番組を自分が見ていたお店だった。名物は山高く乗せられた海老の天丼だったが、残念ながらそれは予約が必要だったので、普通の天丼を食べることにしたがとても美味しかった。

 

この時の旅日記はこちらです。

challe.info

 

どうも景色よりも食べ物の記憶の方が強く残っているようだ。

 

なお、道の駅で食べようとしていたのは鵡川のししゃもで、ちょうど旬だったので残念である。

 

そうして苫小牧に近づいていくと大型のコンテナを積んだトラックが目立ち始め、道は原野の中をまっすぐ走っていて、このはじめての北海道バイクツーリングで見たときと同じ景色が広がっていたのだった。

 

(注)自転車で走った2019年は、鉄道の運行はなかったが正式には廃線となっていなかった。正式な廃線は2021年4月1日とのことである(ウィキペディアより)。

 

今回の旅の記録

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(苫前のキャンプ場で ネガをアプリで反転)

 

24日の走行距離は76キロ。6日間で1,394.8キロ走行した。ガソリン代は8,573円、燃費はリッターあたり26キロだった。

 

総費用はクーポンを合わせて68,290円。超格安旅行だった。当時お金がないのだから当たり前といえば当たり前。

 

フェリーの乗船日から数えると9日間の旅だった。

 

北海道バイクツーリングを終えて

当時、旅を終えての感想を次の通り書いた。

 

長い旅行、しかも一人旅では初めてだった。

もうひとつおまけにバイクの旅も。無事に帰ってこれてよかった。なんだかアッという間の1週間だった。

今回の旅でわかったのは、海より山の方が自分には向いているようだ。山が見えないとどうも不安でしかたがない。そして今回の旅行でもいろんな人とめぐり逢えて話ができてよかった。おまけに今回は泊めてまでいただいたのだから。

さて、来年も行くか!

 

ということで、翌年も行きました。

1回目は北海道の西半分を回ったので、つぎは道東を回ります。

 

えー、まだ続くの?

 

まあ、そうおっしゃらずに。何卒お付き合いの程よろしくお願い申し上げます。

読んでくれたら嬉しいでーす。

 

では、このへんで(翌年の旅につづく)

 

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