金峰山に登り、テントサイトの雨の夜が明けた。
目覚めた朝はテントが凍り、霜柱が降りていた。
前日に続き、前日のリゾッタの袋にフリーズドライの雑炊を入れ、沸かしたお湯を注ぐ。
これでもう食べられるのである。
なんと便利なのだろう。それからインスタントコーヒーを淹れる。
最近はネスレのエクセラがお気に入りである。
今日は瑞牆山に登る。
残雪の金峰山 【南面は風、北面は雪】 - Hakuto-日記
残雪の金峰山 【南面は風、北面は雪】その2 - Hakuto-日記
テントを残して出発
今日もテントを張ったままにして、軽い荷物で出かけた。
朝は寒かったがよく晴れた。これならテントもだいぶ乾くだろう。
ついでに寒さ対策で着たレインウェアも乾いてくれるだろう。
6時40分出発。
水場に水を汲みに行ったり、朝食後コーヒーを飲んだりしていて前日よりも50分ほど遅い出発だ。
けれど、瑞牆山への往復は4時間の予定である。
今日はテントを畳んで帰るだけなので時間も心にも余裕がある。
歩き始めは標高1800mから1850mの間を上り下りする比較的楽な道だ。ここにも昨日歩いてきた瓦の割れたような石が転がっている。
すでにこの時間は下の瑞牆山荘から登ってきた人たちが大勢歩いていた。
歩き始めなので体や脚が温まるまで少しゆっくり歩いていると、アラフォーくらいの女性が後ろからやってきた。
道を譲るとその女性が背負っていたキャメル色のバックパックがカッコいい。
ウルトラライトのバックパックを調べていた時には見たことがないデザインだ。「山と道」のようでもあるがロールトップで左右のバックルで止めるところが違う。
少しすると、前を歩く4、5人の年配のパーティーが楽しそうに話しながらゆっくり歩いていて、その後についているところに追いついた。
そのパーティーのリーダーらしき人がその女性に道を譲り、ついでにぼくにも道を譲ってくれた。
その先に瑞牆山のよく見える高台があって、そこへ行くには狭い道を通らなければならない。その手前でキャメルザックの女性が写真を撮る順番を待っていた。ぼくがその次でその女性が写真を撮っている間待っていたら、さっきのパーティの中の一人が、「写真を撮ろう」と言ってその狭い道に入って行った。
その高台の一番奥は少し広くなっているようで、そこですれ違うことができて女性が戻ってきた。ぼくはその少し年上の男性が戻ってから写真を撮りに行った。
このコースの前半はこうした山腹の石がゴロゴロした道で、境は天鳥川である。登山道は沢に下っていきこの沢を渡渉して進む。
あまり慣れていない女性が渡渉できずに立ち往生していた。それを周りの人が声でサポートする。
「石の上は滑るから水の中に入って。防水の靴でしょ」などという大きな声がかかる。
まあ、それくらいの浅瀬である。ぼくなんかはそうしたところが大好きで、子どもが水たまりに入るのと同じ感覚である。年はとっても気持ちは幼いままである。
さて、ここを越えると広場があり、目の前に真ん中が裂けている丸い大岩が目を引く。まるで大きな桃のようだと思ったら、シンプルに桃太郎岩というそうだ。
そこから小さな支流に沿って道が続き、しっかりとしてはいるが簡易的な階段を登る。
ここからが瑞牆山登山の醍醐味である。まるでアスレチックのように大きな岩を積み上げて作ったような登山道になる。
岩登りまではいかないが、岩登りの要素が盛り込まれた感じで、当然登りは急である。しかしこうした所は大好きである。実に楽しい。
そうやって楽しみながら登っていくと、前方にさきほどのキャメルザックの女性がいた。なにやら年配女性と話をしているようだ。
手前で少し休んでいたが動きそうもないのでそちらへ行くと、「富士山が見えますよ」という。
言われるままにそちらを見てみると、木々の間にのぞいていた。
こうしたことが2、3度あってその度にひとこと二言話をした。
瑞牆山山頂直下を北側に回り込むと、ここが最大の難所で大きな岩の一面が凍っていた。その先の岩の下には何本もの氷柱が垂れ下がっている。
そこに張ってあるロープのおかげでなんとか上に登り、今度はその岩を横にへつる。氷の上に足を置くとツルッと滑っていく。岩と岩が積み重なったその隙間に足を入れて少しずつ横に移動し、再び次の岩を一段上がるとようやく氷のない場所に出る。
そこから数メートル上がると一気に視界が広がる。
こうしていつのまにか一緒に登っていた3人組は山頂にほぼ同時に登頂した。
瑞牆山の大岩の上で車座になる
瑞牆山山頂の標柱とともに登頂記念写真を(次は自撮り棒を持ってこようと思いながら)撮っていると、キャメルザックの女性が「撮りましょうか」といって撮ってくれた。つづいて年配のご婦人の写真を撮ってあげていた。最後に撮ってもらったご婦人がキャメルの人を取ってあげた。
山頂はいくつかの大きな岩でできていて、晴天のためそこから遥か遠くまで見渡せた。
岩の上に立つと、足が震えそうなくらいに高度感を感じる。高所に弱い人は立っていられないだろう。実際、まっすぐに歩けず腰をかがめて歩いている人もいた。
頂上でぐるっと見渡せる山々の写真を撮っていたら、キャメルの女性がお茶でも飲みませんかという。
思わず「えっ」と聞き返したら、「こんな山の上で飲んだら気持ちがいいだろうと思って」と言った。
するとそこに先ほどのご婦人がやってきて話を始める。
そのご婦人からは、スマホでかざすと山名が出てくるというアプリや山の天気がリアルタイムでわかるというアプリを教えてもらった。
そのうち3人は、大きな岩の上に車座になって少しずつ登った山やこれから登りたい山の話などを始める。ぼくが小腹が空いたので行動食を食べながら聞いていたら、同じように女性陣も行動食を出して食べ始めた。
宮ノ浦岳の話がでて、兵庫の女性はまさにこのゴールデンウィークに行くつもりで飛行機などの予約を入れていたが、天気が悪いのでキャンセルしたということだった。
これに対し、大阪のおばちゃんはぎりぎりになっても安く飛行機が取れるという話をして、そうやって行ってきたという話をしていた。
百名山初心者のぼくは宮ノ浦岳について知らなかったので聞いてみると、屋久島の最高峰だそうだ。
キャメル女性はなんと兵庫から車で来たとかで、瑞垣山荘の駐車場で車中泊をして登ってきたそうである。
日本全国たいていは車で移動するという。車中泊をするようになって大きなワゴン車にしたそうだ。
ご婦人の方は大阪のおばちゃんで、瑞牆山荘の予約が取れなかったので近くの増富温泉に泊まってきたということだった。こちらも車だ。「そちらは?」と訊かれたのでバイクだと答える。
二人とも日本全国の山に登っていて活動的だ。おばちゃんは、最初はツアーに参加したり友人と登っていたが、ツアーの日程や友人の都合に合わせていると、天気に合わせた登山ができないので、だんだん一人で登るようになったと言っていた。
以前知り合った日本百名山を制覇したご婦人と一緒だ。
日本百名山制覇者に出会う 【スマホ講座受講者】 - Hakuto-日記
深田久弥は瑞牆山の大きな岩でトカゲをきめこんで仲間と小一時間ペチャクチャしゃべりあったそうだが、こちらも小一時間女性との会話に現を抜かしていた。
少し冷えてきたので下山を開始した。ここで登頂した時間を見るのを忘れていたことに気づく。下山開始が9時40分頃だったので、おそらく8時半頃に登頂したのではないかと思った。だとすると、1時間50分で登ったことになる。コースタイムが2時間10分なので20分も早い。
あとから頂上で撮った写真の時間を調べたら、8時19分だった。すると1時間40分で登ったことになる。
下りは大阪のおばちゃんのペースに合わせてゆっくり下った。それでも11時に富士見平に着いたので、コースタイム1時間45分のところを1時間20分で下ったことになる。
この下りでは、たくさんの登ってくる登山者に出くわした。ひいひい言っているのはたいてい太った人だ。そして若者が颯爽と元気に登っていくのは見ていて気持ちがよかった。
さすがにゆっくりすぎたので、兵庫の女性は先に下って行った。このあと富士の芝桜を見にいくと言っていた。
富士見平で大阪のおばちゃんと別れ、テントを撤収する。山頂で飲めなかったコーヒーを淹れて気持ちを帰りのモードに入れ替えた。
スーパーカブで家路に着く
30分ほどで瑞牆山荘駐車場に着く。ヘルメットにはザックカバーをかけていたが、29日の雨ですっかり中まで水浸しだった。
ポカポカ陽気で最高に気持ちがいい。そこで薄着で走り出したが、やはり高原の風は冷たい。すぐにバイクを止めてレインウェアを羽織る。
そして何はともあれ給油だ。メーターの針を見ながら「まだいける、大丈夫」と自分に言い聞かせながら下っていく。
すると行きには気づかなかった給油所が見つかったが、なんとそこは定休日。やはりあのエネオスがたよりだ。
みずがき湖の橋を越えて少し走るとようやくエネオスの看板が見えた。これでようやく安心できる。
給油してもらうと(セルフ以外の給油は久しぶり)、奥の方にホンダのハンターカブCT110が置いてある。それがなんと白色で見たところとても綺麗なのである。
「白いCTって珍しいですね」というと、「あれは110で今のとは違うんでね」ということだった。それにしても白は珍しいと思うのだが。ただ、残念なことに写真を撮り忘れてしまった。
帰りの道は迷うこともなく、急ぐ必要もないのでたっぷりツーリングが楽しめる。
とくに給油後は本当にワインディングロードを楽しめた。ちょうど良い速度で前のジムニーが走ってくれたおかげで実に楽しかった。
20号に入り、だんだん混み始めたのはやはり甲府に近づいてからだ。ここは鬼門である。
そこをようやく抜けて御坂みちに入ったところで休憩。すこし腹に入れる。
そこのコンビニをでると日が翳り、急に寒くなった。
少しずつ高度が上がっていくとますます冷える。しばらく我慢して御坂トンネル手前の休憩場所でダウンジャケットを着る。
トンネルを抜け河口湖に下る道も渋滞する。寒いので早く下に降りたいが、車はゆっくりと進んでいる。
そこから山中湖までGoogleマップのナビは今まで通ったことのない道を案内してくれた。そのため、なんどが止まって道を確認しながら進んでいった。
一瞬高速に入るのかと思えば、なんとそこは側道でこんな道があったのかと感心する。
山中湖から須走に抜ける籠坂峠も寒かった。行きのときより冷え込んでいる。
こうして寒さに震えながら須走に下り、さらに小山へと下ってくるとようやくひどい寒さからは解放された。
帰りも約5時間で帰ってきたが、夕食を作る元気はなく、近くの店でカツ丼を食べる。
家に帰るとまずは汚れたダナーライトをサドルソープで洗って綺麗にした。今回の山行でかなり傷んでしまった。その話はまた。
最後に
山から持ち帰った湧水のペットボトルは、ザックから出してみるとベコっと凹んでいた。やっぱり空気は薄かったのだ。
そして兵庫の女性が使っていたバックパックはどこのものだろうと検索してみた。ところが色々検索してみてもなかなか見つからない。
そしてようやく探し当てたのが次のCAYLというブランドのものである。
なお、大阪のおばちゃんもオスプレイという軽量ザックを使っていた。
ちなみにぼくのザックもウルトラライト。
では、このへんで
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