公民館のスマホ講座。
その場でバージョンアップをしてもらったのは失敗だった?
何人かに迷惑はかけたけれど、結果的に自宅ではできないバージョンアップができて結果オーライ?!
そんなことをぼくが言ったら叱られるか。
そもかくそのおかげで日本百名山を制覇した方の話を聞くことができた。
瓢箪からコマ
土曜日、パソコンボランティアの活動を午前と午後に行った。
午前中はエクセル講座。ぼくが講師で、現金出納帳を作成しながらエクセルの便利な機能を紹介し、操作してもらった。
1回聞いて覚えることは難しい。ともかく体験してもらい、「ああ、これ便利」と感じてもらえたらいい。
そんなことで午前の講座を終わる。
※
午後は公民館のスマホ講座に参加する。そこではアシスタント。
受講者は10名。うち4名が簡単スマホ。2名がアンドロイド。2名がiPhone。
そして男性が3名だった(そのうちの一人がテレビはつまらない。ユーチューブが面白いと言っていた。全くその通り)。
iPhone比率が20%。これだけ高いのも珍しい。
そのうちの1名はホームボタンがついた少し前の機種を使っていた。
しかし、それならぼくのスマホと同じであるはずだが、どうもちょっと違う。
バージョンを確認させてもらうとかなり前のバージョンだった。
「人から操作を習うにも、セキュリティにおいても最新バージョンにした方がいいですよ」
そう伝えた。
話を聞くと家にWifiがないという。Wifiが繋がっていないとバージョンアップができないのだ。
自分もシステムアップデートを確認してみたら最新版ではなかったので、まず先に自分のiPhoneのバージョンアップを始めた。進行状況をみたら割と早く進んでいる。そこでその受講者にバージョンアップのやり方を指導した。
ところがこれが間違いだった。
その方のiPhoneではダウンロードがなかなか進まないのだ。これでは講座の時間が終わってしまう。
しかし終了時間まで30分以上はある、と思っていると、会の代表が終了予定よりだいぶ早い時間にわれわれボランティア活動の紹介を始めてしまった。紹介が終わると個別質問がある人はこの後受け付けると言って講座も終了してしまった。
まずいことになった。今繋いでいるWifiは会のメンバーの個人用ポケットWifiだ。
ポケットWifiの持ち主に事情を話すと、しばらく残ってもらえることになった。スマホの持ち主はとてもいい方で、逆に恐縮してくれている。
ダウンロードの残り時間の表示があと1時間になったり4時間になったりと変化していていつ終わるのかわからない。
ぼくのバージョンアップは30分かからずに終了している。受講者のダウンロードが遅いのは何世代も間隔が空いていた(おそらく一度もバージョンアップしていない)ためだろう。
その時、別のスタッフがその受講者は日本百名山を制覇した方だと言った。おそらくアシストしているときに聞いたのだろう。
「わたしも日本百名山に挑戦しようと思っていたんですよ。ところがこのコロナででかけられなくなっちゃって」と言った。
公民館の方がどうぞ図書室で待機していてくださいと言うので、
「それでは、待ちながら百名山の話を聞かせてください」と言って1階まで一緒に降りることにした。
ポケットWifiの持ち主がバッテリーを見て、残り少なくなったので、充電器をだしてきた。そして待っている間にちょっと買い物をしてくるといって出ていった。
図書館に移動し、充電させてもらいながらダウンロードが終わるのを待つ。
そうして瓢箪から駒がでたように、日本百名山を制覇した話を伺うことになった。
日本百名山を制覇するまで
その方は小柄な女性で、日本百名山を制覇するような逞しさは全く感じられなかった。
その方がどうして日本百名山に挑戦しようとしたのか。そして、いつから初めていつごろ達成したのかについてお伺いした。
まず、百名山に挑戦しだしたのは60歳になってからで、なんとしても70歳までに達成しようと計画を立てて挑戦したそうだ。
百名山に挑戦する前はハイキング程度の山に登っていて、日本百名山に含まれる山の2割くらいを歩いていたそうだ。
「そうすると、残る山は厳しい山ばかりなんですよ」
「それじゃあ、槍とか登るのは大変だったでしょう」
「それが人気のある山は標識も登山道も整備されていてそんなに大変じゃないんですよ。それより筑波山の方が大変でした」
「初めはツアーに参加していたのですが、天候が悪いときは日程調整にと一人一人に連絡をとって結局中止になったりして、そうすると年間計画を立てているのにその年は実行できなくなっちゃうんです。
それに、ツアーだとここで写真を撮りたいと思ってもできないので、休憩時に戻って撮るにしてもみんなに迷惑をかけることになっちゃうので、ツアーでは行かなくなりました。
そのあと一人で行ってみると、天気が悪ければ少し待って次の日とかに行けるし、こんなに自由なのかと思って、それからはずっと一人で行くようになりました」
そして、北海道の羅臼岳にも一人で登ったそうだ。登山口にはヒグマ目撃情報が掲示されていて「それがもうどこも目撃情報だらけで」と言いながら、それでも一人で登ったという度胸の持ち主でもあった。
その方は、「60代で是非登っておいてください。そうすると70代、80代になっても歩けますよ」と力強く励ましてくれた。
今でも娘さんと一緒に(娘さんを連れて)山に登っているそうだ。それも、もう一度行ってみたい山に。
どうして日本百名山に挑戦することにしたのか。それは、ご主人とハイキングに行っていて、いつまでも行き先が決められないということがあったからだという。日本百名山に決めてからは、年間計画を立てたのでもう迷うことがなくなったといって、晴れ晴れとした顔をしていた。
それまでに聞いた話からすると、そのご婦人は80代のようなので、ご主人は亡くなられているか、存命でも山には登れないのだろうと推測した。
スマホのダウンロードで迷惑をかけてしまったが、そのおかげで日本百名山の話を聞くことができ、とても楽しい時間を過ごすことができた。そのご婦人も話を聞いてもらえてと喜んでいた。
最後に
ポケットWifiの持ち主が、ぼくのことを日本一周したとそのご婦人に話したことで、より一層話に熱が入ったように思われる。
ダウンロードが残りわずか(あと数分)になったときに、ぼくが平塚から来ているというと、毎年平塚まで駅伝を見に自転車で行っているんですよ。平塚を通りそうな時間に合わせて家を出るんです。昔はサイクリングをしていまして・・・」そういって、全国のさまざまなサイクリングロードを走ったということを話してくれた。
いやー、驚いた。ぼくより活動的な先輩の姿は、スマホを習っていた時の姿よりもずっと輝いて見えた。
5時半少し前にダウンロードが終了する。約1時間半かかったことになる。
何十時間もかからなかったことにぼくはほっとした。
そうしてそのご婦人は、軽そうな自転車に乗って颯爽と去っていった。
では、このへんで
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