9月の疲れが残っているため10月はゆっくりと始動。
それで思いついたのが電車で行ける日帰り登山。
週間予報は雨の日が多い中で10月19日は晴れ。
そしてこの日の仕事は休み。
筑波山。
調べてみると十分日帰り登山ができることがわかる。
日本百名山の中でも珍しく千メートルにも満たない低山。
深田久弥はどうして筑波山を百名山の一つに入れたのだろう?
公共交通機関を使って筑波山にやって来た
つくばエクスプレスに乗って午前9時、つくば駅に到着する。駅前のつくばセンターバス乗り場から筑波山神社入口に行くバスに乗る。
発車時刻は9時30分。それまで少し時間がある。
家を出る前にはいつものように米粉パンを食べてきたのだが、もうお腹が空いた。
近くのコンビニでおにぎりを買って食べた。
バスが発車するとテープによるアナウンスがあり、いろいろと筑波山について案内をしてくれている。
見る時間帯によって山肌の色が違って見え、「朝は藍(あい)、日中は緑、夕方になると紫色へ変化することから「紫峰(しほう)」とも呼ばれる」
とか、
「筑波山をご神体と仰ぐ筑波山神社は、約3000年の歴史を誇る古社。境内は山頂を含み約370ヘクタールと広大。本殿は男体山と女体山の山頂に鎮座する祠。男体山は男の神・伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、女体山は女の神・伊弉冊尊(いざなみのみこと)を祀り、縁結びや夫婦和合に霊験あらたか」(以上、茨城県観光情報「たびらい」より)
などということが語られる。
アナウンスが止んでしばらくすると右前方に筑波山が見えてくる。その姿は両手を広げてぼくを迎え入れてくれているように見えた。
筑波山神社入り口でバスを降りると、目の前の観光センターでトイレを借り、ついでに観光地図を一部いただく。
20分ほどで筑波山神社に到着。まずは歴史ある神社に参拝。本殿の横からケーブルカーの駅に行くことができ、駅の横から登山道が続いている。
今日は平日なので登山者は少ない。そのおかげで静かな山登り楽しめる(静かなのはこの表参道だけだったが)。
鳥居を潜って表参道(御幸ヶ原コース)を登り始めると神の体内に入っていくような厳かな気持ちになる。
登山道には木の根がたくさん張り出していた。しかし根と根の間隔が開いているのでそれほど歩きづらいことはない。
しかし、朝方まで降っていた雨で登山道が濡れていた。所々に水たまりがある。また、石の上はとても滑りやすい。そして今日履いているのは濡れた場所でよく滑るサロモンだ。
登山道はケーブルカーのすぐ脇を通っている。時々、赤と緑のケーブルカーが横を通り過ぎた。
登り始めるとたちまち暑くなって、中に来ていたベストを脱いだ。そしてそれほど歩かないうちにまた暑くなった。
ちょっと広くてベンチが置かれているところで上着を脱いでいたら、そこに上りと下りのケーブルーがやってきてすれ違った。ここが中間地点なのだろうか。
結構急な坂を登っていくと途中で左への巻道になった。地図を見るとケーブルカーのトンネルの上を通過している。下を見るとケーブルカーの線路が見えた。数メートル先へ行ったところでガラガラとケーブルが動く音がし始めた。
「ケーブルカーが来る」そう思って線路の見える位置へ再び引き返した。そしてケーブルカーを見ることができが、とても小さくてそれも木の枝の向こうにチラリと見えただけだった。
さらに先へ進む。地図では男女川(みなのがわ)を横切るようになっている。そこへ行ってみると、源流といった趣で沢の水がちょろちょろと流れている程度だった。
けれど、そこもなんだか霊験が溢れているように感じた。
12時5分前に御幸ヶ原到着。
男体山と女体山
筑波山は標高871メートルの男体山と877メートルの女体山の二つの頂をもつ双耳峰である。
その頂と頂の鞍部が御幸ヶ原でかなり広くて平らな場所だ。そこにケーブルカーの山頂駅があり、また、茶屋などが立ち並んでいてにぎやかである。
登ってきたのと反対の方へ行くとすぐ下にどこまでも平らな田んぼが見渡せる。いわゆる関東平野である。そちらを向いて座れるベンチが横に並んでいた。水溜りのないベンチに座って昼食にする。今日は玄米のおにぎりを作って持ってきた。
食べながら賑やかな方を見ると、小学生の遠足の団体が来ていて先生が大声で昼食の説明をしたりトイレに行かせたりと奮闘していた。
昼食後、男体山へ登る。山頂へは10分ほど。手を使って登るような岩場があって面白い。山頂からはつくば駅方面の関東平野が見渡せた。
男体山を下る時、高校生?あるいは大学生?も2、30人で来ておりソフトクリームを食べながら登っている女子が5、6人いて驚いた。
再び御幸ヶ原に戻ってくると今度は幼稚園生の団体がありの行列のように長い列を作っていた。先頭はケーブルカー乗り場の中に消えていった。
御幸ヶ原から女体山へはなだらかな登り。ただ濡れているので滑りやすい。
筑波山のピークは女体山山頂になる。数メートルだけ男体山より高い。そのピークは大きな岩がいくつか積み重なっていてとても狭い。5、6人も立てばもういっぱいだ。
山頂からの眺めは素晴らしかった。この山がそれほど標高が高いわけでもないのに百名山に選ばれたのは、この眺めのせいだろうと思った。
周りの山が低く、筑波山だけが単独で平地から突き出ている。そしてその平野の向こうに霞ヶ浦がこれも大きく横に広がって見える。
ようするに下から眺めてもよし上から眺めてもよし。その存在感が百名山たらしめているのだろう。
家に帰ってから『日本百名山』(深田久弥著、新潮文庫)を読んでみると、百名山の一つに数えたその理由を「その歴史の古いこと」だと述べていた。しかし、最後の方で姿のよさも褒めている。
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女体山からはつつじヶ丘に下る。このルートは弁慶茶屋跡まで女体山の名にふさわしくない急な岩場が続く。その岩が濡れていてつるつる滑る。
ここで女性3人のグループとすれ違った。リーダーが後ろに声をかけながら先頭を登っていた。下山するこちらの動きもよく見ており、道を譲ったらすぐのそれに応えて登ってきた。最後の子が滑りながら登ってきてお礼を言い、「頂上まではもうすぐですか」と訊かれたので「ええ、すぐそこですよ」と答えた。
少し下ると再び同じような3人の女性グループにもすれ違う。こちらもリーダーが後ろを気にしながら登り、最後の子がやはり滑りながら登ってきて、頂上までとは訊かなかったがお礼を言って通り過ぎたのは同じだった。そのことがとても印象的だった。
急な下りでなくとも岩はよく滑る。そして何度か転びそうになり、そのうちの1回を後ろに転ぶ。
いったいどういう時にズルっと滑るのだろうか。そう考えているうちにそれがわかった。
この山には平べったい石が数多くあり、それが平らに置かれている箇所も結構あることに気がついた。どの石も滑るがそれが斜めに置かれているところに足を乗せるとズルっと滑るのだ。
なんだ、当たり前だと思うだろう。そう当たり前のことなのだ。しかし、そうわかってもできないこともある。
登りでは前と後ろに1回ずつ転び、合計3回転んだことになる。幸い手をつくだけでズボンのお尻や膝などは汚さずに済んだ。
こうして神経を使いながら下ったのでかなり時間を食われた。途中の弁慶茶屋跡まで30分のところ50分もかかっている。
下の方へ降りてくると岩が少なくなってくる。もう転ばないだろうと思って軍手をとったらたちまち土の斜面ですべって手をついた。
御神体は雨をしっかり蓄えているありがたい山であった。
最後に
筑波山にはパワースポットが沢山ある。
せきれい石
がま石
天浮橋(あめのうきはし)
屏風岩
国割り石
陰陽石
母の胎内くぐり
高天原(たかまがはら)
弁慶七戻り(べんけいななもどり)「 古くから、神々の世界と現生を分かつ場所とされてきた石門。」 とある。
たくさんのパワースポットに立ち寄っているうち、次第に元気が出てきたように感じた。
ロープウェイのつつじヶ丘駅到着は午後2時20分、そこからのバスは2時30分発だった。料金は880円。つくばセンターには15時30分着(少し遅れる)、つくばエクスプレス15時41分発に乗って帰る。
では、このへんで
筑波山の写真は上で紹介したホームページの方がよくわかります。
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