[Alexandra_KochによるPixabayからの画像]
日本でも医療従事者からコロナワクチンの接種が始まりました。
けれど、このコロナワクチンについて「よくわからなーい」という方が多いのではないでしょうか。もちろん素人の私もよくわかっていません。
けれど自分がワクチンを打てばコロナウイルスに感染しないのか。
ワクチンを打った場合の有効性と副反応(薬の副作用のこと)の程度はどうなのか。
それがわからないと自分で判断することができません。
そこで、新型コロナウイルスのワクチンについての記事を整理してみました。
あなたがコロナワクチンを接種するかどうかの判断材料になれば幸いです。
コロナワクチンあなたは接種しますか
結論から言えば、ワクチン接種による感染症発症予防効果、重症化予防効果は期待できます。
しかしながら、ワクチンによる死亡も絶対にないとはいいきれないことから、基礎疾患を有するものは予防接種を受けるかどうかは自分で判断する必要があるということになると思います。
では、その根拠を発表されたデータから見ていきましょう。
日本が輸入するコロナワクチン
まず、対象となるのは日本が輸入するワクチンです。
すでに輸入されているのは、米ファイザー社(独ビオンテックと共同開発)とのものです。
今後、英アストラゼネカ社、米モデルナ社のワクチンも輸入される予定とのことです。
ファイザー社とモデルナ社のワクチンはどちらもメッセンジャーRNA(mRNA)を人工的に作って利用するタイプの遺伝子ワクチンです。
アストラゼネカ社のワクチンは「チンパンジー由来の一般的な風邪のアデノウイルスを弱毒化し、体内で増殖しないように処理をして、そこにSARS-CoV-2ウイルス表面のスパイクタンパク質の遺伝物質を組み込んだものを使用」するそうです。(アストラゼネカのサイトより)
なお、アストラゼネカ製のワクチンに対するデータはまだはっきりとはしていませんが、ドイツでは強い副反応が出たという話もあります。ただ、短期間でおさまったとのことです。
ついでに国産のワクチンは、先日免疫の記事の中で紹介した森下竜一氏の開発するアンジェスのDNAワクチンが国内では一番早く開発が進んでいるようです。
免疫老化に対抗 【ミトコンドリアを活性化する】 - Hakuto-日記
今回まとめた記事は、データが公表されているmRNAによるワクチンで、主にファイザー社製のものになります。
ファイザー社の臨床試験データ
予防接種実施諮問委員会が公開している記事
こちらの「CDC Watch」というPDFにファイザー社の臨床試験データをまとめた記事がありましたので紹介します。
なお、専門的な言葉を置き換え、一部をとりあげているので正確な表現を知りたい方はPDFをご覧ください。
○有効性
- 43,000人を超える参加者での有効性は95%
- 年齢、性別、人種、民族のカテゴリーを越えて、「基礎疾患のある人」および「過去に新型コロナ感染したことのある人」においても、一貫した高い有効性(>92%)
- ワクチン接種者はプラセボ(偽薬)接種者に 比較して、重症化のリスクが低下
○副反応
- ワクチン接種後7日間は局所注射部位または全身性の反応が頻繁に見られたが、 ほとんどが軽度から中等度。
- 全身性副反応は、初回投与後よりも2回目の投与後に報告されることが多く、55歳を超える人よりも18~55歳の 人の方が頻度が高く、症状が強かった。
- 全身性副反応はワクチン接種後1~2日でみられ、1日で消失。
- ワクチン接種者の8.8%で副反応がみられた。頻度の多い症状は、倦怠感(4.2%)、頭痛(2.4%)、 筋肉痛(1.8%)、悪寒(1.7%)、注射部位の痛み(1.4%)であった。年齢、人種、民族、基礎疾患、過去の新型コロナ感染によるサブグループ解析では、安全上の特定の懸念は 確認されなかった。
- ワクチン接種後の潜在的な有害性に関してのエビデンスによると、重篤な有害事象については中程度の 確実性であり、免疫反応を起こす能力については高い確実性であった。
○予防効果
- ワクチンの有益性についての確実性のレベルは、感染予防では高い確実性であった。
- 入院の予防については低い確実性であり、死亡の予防については非常に低い 確実性であった。
- 現時点では、入院と死亡に関するデータは限られているが、症候性感染を効果的に予防するワクチンは、入院と 死亡も予防することが期待される。
- 無症候性感染の予防の有効性を評価するためのデータはなかった。
Yahooニュースの忽那氏の記事
「医療従事者へ接種開始 ファイザー社の新型コロナワクチンQ&A」というYahooニュースの記事からも気になるとことを拾ってみます。
以前にも紹介した忽那賢志 (Kutsuna Satoshi)氏の記事でわかりやすいので是非読んで見てください。
新型コロナウイルスによる死亡率 【医療崩壊してしまうのか】 - Hakuto-日記
- 海外ではすでにファイザー社、モデルナ社の新型コロナワクチン接種が始まっていて、すでに1億5000万回のワクチン接種が行われてる。
- 有効性は95%。言いかえると「発症リスクが、20分の1になる」。
- 接種は2回、3週間空けて行われるが1回目の接種から2週間で効果が現れてくる。
- ワクチンは発症を抑える効果だけでなく、重症化を防ぐ効果も期待できる。
- ワクチンの効果の持続時間は現在では不明。
副反応は先ほどの「CDC Watch」に載っているデータとは違っていてとても多くなっています。どれも1回目より2回目の方が多くなっています。
- 接種部位の痛み 67.7% / 74.8%
- 倦怠感(だるさ)28.6% / 50.0%
- 頭痛 25.6% / 41.9%
- 筋肉痛 17.2% / 41.6%
- 寒気 7.0% / 26.7%
- 発熱 7.4% / 25.2%
- 接種部位の腫れ 6.8% / 26.7%
- 関節痛 7.1% / 21.2%
- 吐き気 7.0% / 13.9%
アナフィラキシー(重大なアレルギー反応)の頻度
- RNAワクチン 20万分の1
- 一般的なワクチン 100万分の1
- ペニシリン 5千分の1
注意すべき点として、ポリソルベート(注)によるアレルギーを持っている人、心筋梗塞等の急性疾患(中〜重症)の人が挙げられています。
(注)ポリソルベートとは
「ポリソルベートは、ノニオン(非イオン)性界面活性剤で、食品添加物以外に乳液や洗顔料などの化粧品や軟膏クリーム、注射剤、ドリンク剤など医薬品などさまざまな分野で使用されています」とのことで、使用されている食品では「アイスクリーム、チョコレート、ドレッシング、ココア、インスタントラーメンの調味料、マヨネーズ、洋菓子、飴、野菜の漬物、チーズ、ショートニングなど」ということです。
また、「食品以外では薬用のクリームや化粧品などに使用されて」いるとのことです。
ワクチン接種による死亡例
「アメリカの高齢者施設では2021年1月18日までにワクチン接種後に129人の高齢者が亡くなられたと報告されています。」
しかし、ワクチン接種との因果関係は特定できず、関係はないだろうと結論付けられているとのことです。
ちなみに、モデルナ製ワクチンについて他のサイトから調べたところでは、有効性は 94.1%、接種回数は2回で、間隔を28日間空けることになっているようです。
ファイザー社製ワクチンについての論文の翻訳と解説
ファイザー社製のワクチンBNT162b2について、ワクチンの効用についての論文が12月10日号のNEJMの臨床研究論文が発表されたとのことで、これを翻訳して解説してくれているサイトがありましたので、その内容について紹介します。
それによれば、今回のようなmRNAによる遺伝子ワクチンの作成は史上初ということです。
臨床データは次のとおりです。
治験者を2つに分け、ワクチン接種者 21,720人と偽薬(生理食塩水)投与者 21,728人に対して21日間隔で2回の注射を受けた。接種後、ワクチン接種群は8人、偽薬群は162人、合わせて170人が感染した。
もし、偽薬グループがワクチンを接種していたら8人で済んでいた。つまり154人は感染しなくて済んだことになる。
ということは、162人中154人は発症が抑えられたはず(154/162×100=95.06%)ということのようだ。
参加者は肥満やその他の併存疾患を持つものが多く、参加者の40%以上が55歳以上であった。
なお、1回の接種後に感染したのはワクチン接種群で39名、偽薬群で82名あった。ワクチン接種1回の有効率は52%となる。
ワクチン1回目の投与から12日頃から発症率に差が出てくる。
厚労省のサイトから
厚生労働省のサイトを見てみます。
まずは、コロナワクチンの接種を受けることができない人です。
- 明らかに発熱している人(※1)
- 重い急性疾患にかかっている人
- 本ワクチンの成分に対し過敏症(※2)の既往歴のある人
- 上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
(※1)明らかな発熱とは通常37.5℃以上を指します。ただし、37.5℃を下回る場合も平時の体温を鑑みて発熱と判断される場合はこの限りではありません。
(※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。
注意が必要なのはつぎの人です。
- 抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
- 過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
- 心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
- 過去に予防接種を受けて、接種2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
- 過去にけいれんを起こしたことがある人
- 本ワクチンの成分に対して、アレルギーが起こるおそれがある人
国内における臨床試験結果
なんだか全体的にファイザーのデータより高めですね。
いずれにせよ注射は痛いみたいです。
ワクチンを提供しているファイザーの添付文書を見てみます。
2. 接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)
2.1 明らかな発熱を呈している者
2.2 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
2.3 本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある者[8.4、9.1.6、 11.1参照]
2.4 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態 にある者8.4 ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるため、接種 前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行い、接種後一定時間、 被接種者の状態を観察することが望ましい。[2.3、9.1.6、11.1参照]
9.1.6 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある者 [2.3、8.4、11.1参照]
11.1 重大な副反応 ショック、アナフィラキシー(頻度不明) 本剤の初回接種時にショック、アナフィラキシーが認められた被接種 者に対しては、本剤2回目の接種を行わないこと。[2.3、8.4、9.1.6参照]
今後のワクチン接種の予定です。
厚生労働省のお知らせサイトに詳しく書かれていますが、ここでは簡潔にまとめました。
接種が受けられる時期
接種を行う期間は、令和3年2月17日から令和4年2月末まで(予定)
高齢者への接種の開始は、早くても4月1日以降になる見込み。
接種回数と接種の間隔
2回の接種が必要です。
ファイザー社のワクチンでは、通常、1回目の接種から3週間後に2回目の接種を受けます。1回目から3週間を超えた場合には、できるだけ早く2回目の接種を受ける。
接種の対象や、受ける際の接種順位
新型コロナワクチンの接種対象は16歳以上。
ワクチンを受ける順は次の通りです。
(1)医療従事者等
(2)高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
(3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方
(4)それ以外の方
対象者の範囲は厚労省のサイトこちらを確認してください。
妊娠中の方、授乳中の方、新型コロナウイルスに感染したことがある方もは厚労省サイトのQ&Aを見てください。
接種が受けられる場所
原則として、住民票所在地の市町村(住所地)の医療機関や接種会場
入院・入所中の場合、基礎疾患で治療中の医療機関でワクチンを受ける場合、あるいは住まいが住所地と異なる場合は住所地以外でワクチンを受けることができるようにするとのことです。
接種を受けるための手続き接種の時期より前に、市町村から「接種券」と「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が届くようになるそうです。
なお、私の住む自治体では、市長が陣頭指揮を執る「ワクチン接種特別本部」を設置したと広報に書かれていました。
mRNAワクチンの総評
mRNAワクチンの有効性はこれまでのワクチンに比べても高い。
また、副反応は他のワクチンに比べ多いが、症状は軽く数日でおさまる。
アナフィラキシーについては、一般的なワクチンよりも少し多いが、その原因は「両方のワクチンに含まれているポリエチレングリコール(PEG)と呼ばれる物質(上記忽那氏の記事)」とのことなので、この物質にアレルギーのない人はもっと確率が低くなるはずです。
また、接種後の死亡例については因果関係が不明のようです。
まとめ
もう一度まとめると、ワクチン接種による発症予防効果、重症化予防効果も抗体が作られることから期待できる。
しかし、ワクチンによる死亡もゼロとはいえないことから、特に基礎疾患を持っているものは、予防接種を受けるかどうかを慎重に判断(自分で)する必要がある。
ということになると思います。
つまりはワクチン接種しない場合の感染および重症化リスクとワクチン接種後のアナフィラキシーとを比較することになるのかなと思います。
わたしは国産DNAワクチンの有効性等を見極めてから判断しようと考えています。
なお、無症状の感染予防に効果があるかどうかは実証が難しいとのことです。
いやー、それにしても専門的な言葉が多くて調べれば調べるほど難しくてわからなくなってきます。
頭が痛くなってきてもうやめようかと思っちゃいました。
最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
では、このへんで
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