Hakuto-日記

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免疫老化に対抗 【ミトコンドリアを活性化する】

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[OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像]

 

先日、「日本でのワクチン接種はまだなのか」という質問が記者から菅首相に投げかけられていました。かなりきつい調子で。

輸入ワクチンだけでなく、日本でもワクチン開発が進められています。

そんな国産の新型コロナワクチン開発の第一人者で医師の森下竜一という方が最近(2020年12月)出版したのが『防げ!免疫老化』(エスクリエート)

早速読んでみました。その中から高齢者にとって重要な情報についてまとめました。

といってもほとんどが高齢者に役立つ内容でしたが。

以前の記事に書いたように、60歳くらいから重症化リスクは高まり、基礎疾患があるとさらにリスクが増すことを紹介しました。

新型コロナウイルスによる死亡率 【医療崩壊してしまうのか】 - Hakuto-日記


また、病原菌から体を守る免疫の仕組みについても紹介しました。

免疫システムを知って新型コロナウイルス感染に備えよう - Hakuto-日記


直接新型コロナウイルスについてではありませんが、人のエネルギーは細胞の呼吸で、それが細胞の中にいるミトコンドリアが行なっていることも紹介しました。

サイクリストに必要なのはIAP呼吸法 - Hakuto-日記


今回は、これらがどのように関連していて、ひいてはどのような対策を取ることが良いのかということが、森下氏の著書に書かれていましたので紹介したいと思います。

 

感染経路について

新型コロナウイルスの主な感染経路は、次の3つです。

  1. 飛沫感染(咳やくしゃみ)
  2. 接触感染(感染者が付着させたものに触る)
  3. エアロゾル感染

以上の通りです。

このうちのエアロゾル感染は、空気感染とは違います。いまのところ空気中に撒き散らす空気感染は確認されていないとのことです。

エアロゾル感染とは、飛沫核と呼ばれる飛沫の中にあったウイルスだけが残るもので、乾燥して粒子も小さいのことから浮遊しています。これを吸引してしまうタイプの感染のことです。

ライブハウスなどでのクラスター感染は、このエアロゾル感染と見られています。

エアロゾル染を防ぐには、マスクと換気が大切で3蜜(密集、密閉、密接)は避けることです。また、接触感染には手洗いが有効とのことです。

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[Alexandra_KochによるPixabayからの画像]

 

ワクチンの種類

ワクチンについての基礎的な知識としてワクチンの種類について説明されています。

ワクチンには約6種類あるそうですが、そのうちの3種類についての説明がありました。

  1. 生ワクチン・・・病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱めたものを原材料とする。発症リスクが残るため、妊婦や免疫不全の患者には使えない。(例)はしか、水痘、おたふくかぜ
  2. 不活化ワクチン・・・感染能力を失わせたものを原材料とする。発症リスクはないが効き目が弱いため複数回の接種が必要。(例)ジフテリア、ポリオ、破傷風
  3. DNAワクチン・・・ウイルスの遺伝子を使ってワクチンを作る。短期間で生産でき、病原性でないため安全。

著者が開発しているのがDNAワクチンということです。

 

免疫の仕組み

ワクチンには限界があり、まだわかっていない細菌やウイルス、突然変異した「種」の誕生に対応できません。

そこで、もう一つの防御のためのに、免疫という生体防御反応を一定のレベルでキープすることとアップさせることが重要だということです。

第一の防御

体の外から体の中への病原体の侵入を防ぐもの。

皮膚の防御・・・角質層、常在菌、感染・皮脂腺からの汗や粘液などの分泌物

鼻や口の防御・・・くしゃみ、咳、鼻水、唾液

胃(生物学的には体の外)・・・胃液

腸(生物学的には体の外)・・・腸内フローラと呼ばれる腸内細菌

 

免疫システムによる防御

免疫とは体内に入ってきた病原体を攻撃するシステムで、自然免疫と獲得免疫があります。

自然免疫は初期段階の防衛線で、強みはすぐに機能できること。しかし、個々の病原体に対する免疫記憶を持ちません。弱点は長期間にわたり防御できないことや抵抗力が比較的弱いことがあげられます。

自然免疫の攻撃チームは、次のような働きをします。

  1. マクロファージ・・・体の中のパトロールチームで攻撃も行う。
  2. 樹状細胞・・・主に皮膚、鼻、肺、胃、腸にいて、T細胞の活動を助け、自然免疫と獲得免疫の橋渡しをする。入ってきた異物の詳細な情報を伝えるなど攻撃の司令官的役割を担う重要な細胞。
  3. 好中球(顆粒球)・・・病原菌を飲み込んで殺す。好中球は顆粒球の中の一つで細菌や真菌などの病原体を攻撃する。

このほか、別働隊としてナチュラルキラー細胞(NK細胞)がいます。リンパ球のひとつで、攻撃力には劣るが、異物に対して素早く反応します。

 

獲得免疫(適応免疫ともいう)は、自然免疫の攻撃を逃れた病原体を攻撃する最後の砦で、特定の病原体に対して抗体を作って防衛します。

獲得免疫のシステムは次のようになっています。

樹状細胞から報告を受けたヘルパーT細胞は、B細胞とキラーT細胞に攻撃指令を出します。指令を受けたB細胞は抗体を作って攻撃に参加。このシステムは、病原体を排除した後も免疫記憶として残ります。

獲得免疫の攻撃チームの働きは、

  1. B細胞・・・T細胞の助けを借りて抗体を産生し攻撃する。また、無毒化した病原体を分解してマクロファージが食べやすくする。一度侵入した異物の特徴を記憶する。ワクチンはこの仕組みを利用。
  2. T細胞・・・胸腺で分化・成熟する。樹状細胞から受け取った情報により、攻撃・排除する。病原体以外のがん細胞も攻撃する。T細胞のなかのキラーT細胞は、特にウイルスの増殖を防ぐのに効果がある。

 

免疫のバランス

免疫力が弱いと病原体から身を守れませんが、過剰に強くなりすぎてもアレルギーなどの病的な症状が発生します。

また、免疫バランスが乱れると、免疫系全体を調節したり、体内の移動を助けたり、ウイルスや細胞の増殖を抑えるなど免疫細胞の働きに重要なサイトカインが過剰に産生するサイトカインストームを引き起こし、場合によっては死に至ることもあります。

 

免疫老化

加齢による体の老化は免疫力にもおよび、これを免疫老化といいます。特に獲得免疫が影響を受け、中でもT細胞が大きな影響を受けます。一説では20代がピークで40代では半減してしまうとのことです。

T細胞の劣化

免疫細胞のほとんどは骨髄で造血幹細胞から分化し成熟します。

これに対し、T細胞はその状態になる前の前駆体と呼ばれる状態で骨髄から胸腺に移動し、胸腺にとどまって成熟して様々なT細胞に分化します。

ところが胸腺は思春期にはもう萎縮が始まります。

ということは、T細胞に十分に成熟できない場合や質が劣化して機能が落ちるという免疫老化をしていることが考えられます。

B細胞の劣化

また、老化により造血幹細胞が劣化すると、B細胞も劣化し作られる抗体も弱いものになってしまいます。

ということは、ワクチンの効果も弱まるということです。

なお、がんの発症率の上昇に免疫老化が関係している可能性もあると考えられます。

また、炎症は獲得免疫が出動するスイッチとなりますが、これが慢性化するリスクも高まります。

こうした免疫老化を防ぐにはどうすれば良いのかということが問題となってきます。

 

ミトコンドリア

これまで見てきたように免疫とは細胞のことです。

つまり、細胞を元気にすることが免疫老化に対抗することになります。

そこでキーとなるのがミトコンドリアです。

ミトコンドリアが細胞を元気にする

ミトコンドリアとは、細胞の中にいる小器官でATP(アデノシリン3リン酸)を合成しています。ATPは細胞の活動エネルギーで、ヒトに必要なエネルギーの90%以上を生産しています。

1つの細胞に数百から数千のミトコンドリアがいます。細胞が分裂しなくてもミトコンドリアは独自に分裂して増殖することができます。

ミトコンドリアが減少すると、エネルギー生産が減少します。すると、免疫細胞の機能低下を招くことになります。

ミトコンドリアは、エネルギーを生産する以外にも様々な働きがあります。

細胞の増殖やアポトーシス(感染によって傷ついた細胞が他の細胞に影響を与えないように自然死させること)、分化などを決めるシグナルの伝達、細胞の暴走を抑える、サイトカインストームを抑えるなどです。

つまり、ミトコンドリアを元気にすることが免疫力を高めることになるということです。

ミトコンドリア活性術

免疫力が低いのは、高齢者ばかりではありません。低年齢層も同じように低いのです。免疫力は病原体にさらされながら強くなっていくものです。

妊婦も同様に免疫力が下がります。それは、母体にとって異物である胎児を排除しないようにしているためです。

では、ミトコンドリアを活性化させるのにはどうしたら良いのでしょうか。

食事

食べ過ぎは禁物ですが、タンパク質不足は問題となります。

タンパク質は免疫力向上に大切な栄養素です。そのほかには、ビタミン類ミネラル類、青魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸ポリフェノールなどが免疫と関係していることがわかっています。


具体的に免疫力を高める食物は、玄米や胚芽米、魚、野菜、発酵食品、食物繊維などで、白米はそのほとんどがでんぷん質のためバランスが良くありません。

魚はタンパク質が豊富な上にオメガ3系脂肪酸を含んでいます。

野菜はポリフェノールなどの抗酸化物質や食物繊維、ビタミン、ミネラルを多く含んでいます。

納豆、味噌、醤油、漬物、ヨーグルトなどの発酵食品には善玉菌が多く含まれています。

昆布、ひじき、わかめなどの海藻は食物繊維を多く含み、マグネシウムや亜鉛などのミネラルを含んでいます。

このほか、しいたけ、しめじ、なめこ、まいたけなどのキノコ類も食物繊維やビタミンDなどのビタミン類、ミネラル類が豊富に含まれています。

免疫調整を行う還元型コエンザイムQ10

ミトコンドリアのエネルギー生産に欠かすことができない食品成分のひとつが還元型コエンザイムQ10です。

コエンザイムQ10は、 加齢に伴い減少します。

運動

適度な運動は免疫力を高めます。それは血流が良くなり免疫細胞が作られる骨髄への血液量が増えるため、免疫細胞の生産能力がアップします。

ただし、激しい運動はかえって免疫力を低下させてしまいます。 

ストレス

ストレスは免疫力を低下させます。ストレスは慢性的な疲労にもつながり、不眠の原因ともなります。このストレスや疲労をいかに溜めないでしっかりと睡眠をとることが重要になります。

ストレスにさらされると細胞内のミトコンドリアはストレスに対抗してエネルギーを過剰に生産します。すると活性酸素も過剰生産してしまい、ミトコンドリア自身も損傷してしまいます。

ストレスは自律神経のバランスも崩してしまいます。

このほか、睡眠不足とならないことや質の良い睡眠をとること、笑うこと、日光に当たること、体を温めることが免疫力を高めることになります。

なお、喫煙や飲酒は免疫力を下げるという報告もあるということです。

 

還元型コエンザイムQ10

ミトコンドリアがATPを生産する際に必要なのが還元型コエンザイムQ10です。

還元型コエンザイムQ10には抗酸化作用があり、酸化した、酸化型コエンザイムQ10やビタミンEを再生したり、ほかにも様々な機能があり、とても重要です。

ところが、食物からはあまり摂取できないとのことで、サプリメントが有効だと著者は述べています。

ちなみにコエンザイムQ10を多く含む食品は次の通りです。

青背魚
肉類(牛、豚など)
大豆
ナッツ類(くるみ、アーモンド、ピーナッツ)
ごま など

 

なお、このヒトの心臓では、20代のコエンザイムQ10量を100%とすると、40代で70%、80代では50%以下であると報告されているとのことです。

  

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

年寄りの感染対策をまとめると

  1. 3密は避ける
  2. 食事(玄米、魚、野菜、海藻類、キノコ類、発酵食品)、運動、睡眠
  3. 免疫細胞のエネルギーを高めるようコエンザイムQ10の入った食物やサプリメントをとる

ということになりそうです。

ワクチンについても、免疫老化しているからこそ接種すべきだと著者は述べています。

今回は書籍の要約みたいになっちゃいましたが、収穫としてはワクチンの種類についてと還元型コエンザイムQ10についてでした。

ワクチンについては、海外から輸入しているようですが、あまり関心を持っていいなかったので少し調べてみようと思いました。

また、還元型コエンザイムQ10については、今様々なデータをとっているところらしいのですが、確かに免疫が活性化しているというデータが集まっているようです。

現在、ビオフェルミンを服用中なので、それが無くなったら試してみようかなと考えています。

 

 

それにしても体の中への異物の侵入に対して、一時防衛線としての皮膚、二時防衛線としての自然免疫、最終防衛線の獲得免疫とよくできています。

このことは、過去から何度も病原体に侵入されたことを表しているものだと考えられます。

そうした人類の歴史が現在の私たちの体に刻まれているのです。

なんだかそれぞれの細胞が意思を持って私たちの体を生きながらせようと必死で戦ってくれているようです。ますますヒトの体について知ることが面白くなってきました。

 

では、このへんで

 

今回紹介した書籍は

防げ!免疫老化~免疫の鍵はミトコンドリア~ | 竜一, 森下 |本 | 通販 | Amazon

 

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