あの人と話しをしているといつもイライラさせられる。
最後はいつも口論になる。
そんな上司や部下はいませんか。
助言を求めてきたからいろいろ考えて言ってやっているのにいつも「はい、でも」といって否定する部下や同僚。
それはゲームです。
いつのまにかゲームに参加させられているのです。
このことを知るまでは、私もよく巻き込まれて嫌な思いをしていました。
今回は、なぜゲームになるのか、そもそもゲームとはどういうものか。
そういったことを交流分析という心理学から考えてみたいと思います。
今日の内容
ゲームとは
職場で上司と部下が会話しているとき、はじめは普通に話していたのに、なぜか最後はおかしな雰囲気になり、お互いが嫌な感じを味わったり、ひどい場合には言い争ったり。
そんなふうになることを意図したわけではないのに何度も繰り返してしまう。
このように、普通の会話をしていてもその裏に隠された別の感情のやりとりがあり、結末はお互いが嫌な感情を味わって終わる。そしてそれが繰り返し行われるものを交流分析では「ゲーム(または心理ゲーム)」と読んでいます。
たとえば、
- 仕事をどんどん引き受けて、仕舞いに抱えきれなくなり、途中で投げ出してしまう人
- 気持ちよく仕事を引き受けてくれたのは良いのですが、期限になっても終わらせることができない人
- 必ず相手を怒らせるようなことを言う人
- 会議などで、何にでも反論する人
- 会議に遅れてやってきて、あとから結論をひっくり返す人
- 何度注意してもトラブルを繰り返す人
以上のような人はゲームをしている可能性があります。
ゲームの特徴
ゲームには次のような特徴があります。
- 表面的には普通の社交的な会話である。
- 隠されたやりとり(裏に言葉と違う感情)がある。
- ゲームを仕掛ける人(加害者)がカモ(被害者)を選んでワナを仕掛けている。
- ゲームに参加している自覚がない。
- 最後に参加者全員がいやな気持ち、もやもやした気持ちを味わう。
- たいてい同じ人と何度も繰り返す。
なお、ゲームには3段階のレベルがあります。
レベル1は、あなたがゲームに気づけば対応可能なレベルです。
レベル2以上は専門家に任せた方が良いレベルとなります。
なぜ、ゲームをしてしまうのか
このように不快な感情を味わうことがわかっているのに、なぜ、ゲームをしてしまうのでしょうか。
それには次の理由が考えられます。
1 ストロークを得るため
ゲームでは、特にマイナスの(否定的)ストロークを得るために機能します。特に職場ではマイナスのストロークが得やすい環境にあります。
たとえば、「ぜんぜんダメだね」とか、「何回言ったらわかるんだ」「もっとちゃんとやって」などという言葉が発せられやすいことがあります。
人は無視されることが一番辛いので、プラスの(肯定的)ストロークが足りていないとマイナスであってもストロークが欲しくなるものなのです。
ストロークについてはこちらの記事もどうぞ
2 これまでに築いてきた人生態度を確認するため
人は幼い頃に両親やまわりの大人から影響を受けながら成長します。
その中で、自分と他人との接し方の考えが作られていきます。
このようにしてできた人生態度は、つぎの4つに分けることができます。
第1の立場 私にとって私はOK、あなたもOK
第2の立場 私にとって私はnot OK、あなたはOK
第3の立場 私にとって私はOK、あなたはnot OK
第4の立場 私にとって私はnot OK、あなたもnot OK
第1の立場ではゲームを行うことはありません。
3 時間つぶし
ゲームをしていれば退屈することがありません。だから、暇のある人ほどゲームをしがちです。そんな人には適切に仕事が与えられていないのかも知れません。
4 人生脚本を強化するため
人生は、役者が舞台の上で脚本を演じているように、それぞれの人生脚本を演じています。
この人生脚本の中には、幼い頃に感じた劣等感や悲しみ、怒り、不安、抑うつなどが含まれていて、だれもがこうした不快な感情を持っています。
ゲームによって不快な感情を味わうことは、人生脚本に書かれた道を進んで行くことにほかならないことであり、人生脚本を強化してくれるものなのです。
職場でのゲームの例
ゲームには様々なものがあり、それぞれ名前がつけられています。
代表的なゲームを紹介します。
(第3の立場で行うゲーム)
1 あなたのせいでこうなった
自分が失敗したのをなんでも人のせいにして、罪悪感を相手に持たせようとする。反省することをしないので周りの反感を買う。逆に自分の非を指摘されると逆上する。
ミスを咎められたときに逆上して、「言われた通りにやっただけですよ。ちゃんとわかるように指示するべきだったのではないですか」などと言ったりする。
2 さあ、とっちめてやるぞ(あらさがし)
相手の些細な問題や失敗につけ込んで、相手を徹底的にやりこめて自分が優位に立とうとする。相手が反撃することでお互いが嫌な感情を味わう。部下いびり。
3 どうしてなんだ
「どうしてなんだ」「なぜなんだ」と罵声を浴びせて相手を非難したり問い詰めたりします。自分だけが正しいという態度がかいまみえる。
4 大騒ぎ
ささいな失敗でも注意されると、私ばかりを責めると言って大騒ぎをする。その割には解決の努力をしない。
5 あなたはひどい人だ
「あの人にこんなことをされた」「あの人はひどい人だ」と相手の不都合を必要以上に誹謗中傷してそれを宣伝する。
(第2、第4の立場で行うゲーム)
6 はい、でも
相談を持ちかけておいて、相手が意見を言うと「はい、でも…」といって反論する。何を言っても聞く耳を持たず、反射的にうまくいかない理由を探し出す。相談を受けた方は勝手にしろと言う気持ちにさせられ、お互いが嫌な感情で終わる。
上司は部下に仕事をきちんとやってもらいたいため、この被害に遭いやすいといえる。
7 私はばかもの
自分は愚かであるという結論があり、相手にそんなことはないと言わせておいて自分が愚かであることを相手に認めさせようとする。相手は徒労感を感じ、最後には叱責に変わる。
8 私をいじめて
たとえば部下が上司に向かってきちんと経緯などを報告しないで、悪かった結果だけしか報告しないなど、わざと叱られるようなことをする。
9 もうれつ
仕事を抱え込んで頑張りすぎ、結局は過労で倒れるなどして未達成に終わるなど、大風呂敷や計画倒れの人。
10 かわいそうな私
「私なんか生まれてこなかった方がよかったんです」「私には父親がいませんから」などと相手の同情を買うように陰気な言葉を使う。ところが内心はプライドや自信を持っていて虚勢を張りたがる。
11 特別扱い
自分の心身の弱点を利用して、責任回避したり失敗の弁明をする。気をつけないとすぐに「いじめ」と受け取られてしまうので注意が必要。
12 私を嫌ってくれ(キックミー)
相手から非難されるような行為を行なって、わざと否定的ストロークをもらおうとする。遅刻を繰り返したり、何度言ってもやらない、何度も同じミスを繰り返すなど。
13 これが最後
口癖は「これが最後だから」。けれど本当の最後にはならない。職場でもお金を借りまくっている人がいたりするが、これが常套句。
14 すみません(言い逃れ上手)
約束を破ったり失敗を重ねて相手を苛立たせるが、うまく謝罪して言い逃れてしまう。相手の怒りを謝罪により制してしまう。
15 ひどいもんだ
自分を悲劇の主人公に仕立て上げ、他人の同情や特別扱いを期待している。
(第3、第4の立場で行うゲーム)
16 おせっかい(世話焼き)
親身になって助言を行うが、自分の考えのとおりにさせようとし、相手の意見を聞かない。そうやって相手の望まない援助を繰り返すことにより、相手から疎まれ拒絶される。
17 君をなんとかしてあげたいとおもっているだけなんだ(恩着せ)
相手に強い罪悪感を抱かせて、相手に責任をかぶせる。病気をおして出勤して職場で倒れる人や「お前は俺が救ってやった」などという人。
18 暗黙の了解
談合など問題のあることでも「なあなあ」の関係ですまそうとする。この「なあなあ」の関係を崩さないように無言の圧力をかけ合う。
そんなとき上司のあなたはどうしますか?
大切なことは、ゲームに気づくこと。
これまで誰と話しをしているときに最後に嫌な感情を味わっていたかをリストアップしてみましょう。
そしていつもの口癖を思い出してください。
これで、心の準備が整うと思います。
その上で取るべき行動は、ゲームをしないこと。
話しをするときは、相手と冷静に対話するように心がけましょう。
相手がゲームを仕掛けてきたのがわかったら、ゲームに乗らないことです。単純に話を切り上げるのも良い方法です。
話を聞くときには感情的にならないように冷静に言葉を選ぶことが大切です。
たとえば、助言を求めてきたなら、「あなたはどう思うの?」とか「あなたの考えは?」と聞いてあげましょう。
もし、ゲームをしていることに途中で気づいたら、とにかくゲームをやめること。
この場合も、「次の予定があるから」などと話を中断させるのも良い方法です。感情的にならずに冷静に対応して相手の誘いに乗らないよう感情をコントロールしましょう。
相手を注意をするときは、あくまでもその行為について行い、人格を否定するような言葉は決して使わないことです。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
大切なことはゲームを知り、ゲームに気づくことです。
そして自分がゲームに巻き込まれないように対策をとること。
そのとき、相手に「君がやっているのはゲームだよ」などとは決して言わないこと。逆上するのがオチです。
残念ながら、人は聞く耳を持っていなければどんな言葉も通り過ぎるだけです。
逆に反感を買う恐れがあります。
だからまずは、自分が気をつけること。
相手に自分の意見を聞いてもらおうと思ったらお互いの信頼関係を築くことが先決です。
それでも相手が自分から変わろうと思わなければ変わることはありません。
期待はしないことです。
自分にできること。それは自分を変えること。
では、このへんで
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