吾妻山と名前のつく山はたくさんある。
日本百名山となっているのは福島県にある吾妻山。
ほかには群馬県、島根県、広島県にもあるそうだ。
ぼくの住む神奈川県にも吾妻山はある。
それは二宮と秦野にある。
いずれも低山である。
そしてどちらも山頂から相模湾が見渡せる。
今回この両方の吾妻山を歩いてみた。
菜の花ウォッチング
2月最初の日曜日、体力維持のためにウォーキングに出かけた。
近場でいいコースなないかとヤマップで調べると、二宮から秦野まで歩いた人がいたのを見つけた。よし、これなら最後に鶴巻温泉にある「弘法の里湯」に浸かって帰ることができる。この前渋沢丘陵を歩いた時は月曜で休館日だったのでそのリベンジだ。
朝方は雨模様だったが、それほどでもない。レインウェアの上着だけを着て傘を差してバスに乗る。そしてJR平塚駅から二宮駅へ。10時到着。
改札を出ると目の前にポスターが貼ってあり、「吾妻山 菜の花ウォッチング2024」が開催中だった。スタンプラリーもやっているようだ。それを目当てなのか、数人がいかにもこれから歩くぞという格好で集まっていた。ぼくは近くに置かれていた「二宮町ガイドマップ」というのを手にとって吾妻山公園に向かった。
線路に沿って国府津方面にしばらく歩く。吾妻神社に直接向かう梅沢口に向かっている。
そこからはいきなり急な坂道が続いていた。入り口には梅沢登山口と書かれてあった。
登り切るとそこには吾妻神社の鳥居が見えた。参拝。
神社を背にして右側に道が見えた。そっちが吾妻山山頂らしい。
行ってみると満開の菜の花が目の前に広がった。
小雨の薄明かりの中で、満遍なく光が回っている。きっと雨で埃も洗われたのだろう、色も鮮やかである。しばし眺める。
少し先へ進んでいくと、後方左手に小田原から真鶴の海岸線と相模湾の海が望めた。菜の花と海。これも絵になる。
晴れている時は、きっと菜の花と富士なのだろう。それもいい。
吾妻山、登頂。標高132メートル。
吾妻山公園の園内を歩くと、樹々に名前の札がかけられていて、ちょっとした植物園である。なかなか樹木の名前が覚えられないので、図鑑のように写真を撮った。
菜の花を楽しんだ後は、山を下って北にあるせせらぎ公園を目指す。
蝋梅の香を閉じこめて小糠雨
雨に濡れた舗装路を滑らないように気をつけながら、その先の中里口に向かって下る。
雨はもう止んだようだ。
反対から登ってくるのはやはりお年寄りの集団。公園散策ツアーだろうか。
やがて住宅街を抜けて通りに出る。昔からの道らしく趣がある道だ。
この通りを抜けると大通りに突き当たる。そこを左に曲がって進んでいった先がせせらぎ公園だ。そこまで歩道を歩いていく。
今日はこれから秦野の弘法山公園を抜けて吾妻山まで歩く予定だ。吾妻山から吾妻山である。だからまだまだほんの序盤、序の口である。
せせらぎ公園の入り口には大きな看板が立てられていてすぐにわかった。そこを入っていくと水仙の群生が優しく迎えてくれた。
ここまでにいいお店があったら昼食を食べようとしていたが、考えているうちに店がなくなってしまった。コンビニもない。しかたがない。秦野駅の近くまで行くこととするか。
せせらぎ公園は園内に小川があり、そこでは菖蒲や紫陽花が楽しめるらしいが、今は冬、水辺には何も咲いていなかった。
その代わり、蝋梅が見事だった。
この公園は谷間にあり、その斜面に沿って蝋梅の木が植えられていた。行き止まりとなっているその上にも何本かの木があった。
帰りは川に沿った木道を歩いて下る。濡れていて滑りそうなので気をつけていたが、やはり少し滑ってひやっとした。
秦野に向かう途中ちょっと寄り道
公園を出ると、秦野までの幹線道路の歩道を歩いていく。山の中にあとから車道を作ったと思われる。里を這うようにしてつけられている道を見下ろすように、ほとんどが高架となっている。車ばかりでほとんど人は通らないのではないだろうか。
そんなだあれも通らないようなところに面白いものを見つけた。まずはトーマスの公園。こんなところで遊ぶ子がいるのだろうか。そしてそのすぐ先には、鉄道の記念碑が。
昔、このあたりに蒸気機関車が走っていたのだという。さっきのトーマスもそれにちなんだもの?
読んでみると、明治39年この道の旧道部分に馬車鉄道が走り、大正2年にそれが蒸気機関車に変わる。そしてそれも昭和12年に役目を終えたとのこと。意外な発見だった。
実は高架の車道を歩いていても面白くないので下にある里の道に出られるところを探していて見つけたのである。
そしてそこを下って高架をくぐると、少し戻ることにはなったが、生活感のある道に降りることができた。するとお寺で法事の集まりがあったりしてなんだかホッとした。やはり車しか見えない道路脇を歩くのは楽しくない。
そんな道を歩きていたら、ふと気がついた。そうだ、我が家の墓はこの近くだった。そこで予定を変更して墓地に寄っていくことにした。
再び雨が降り出す。
観音という案内を見つけて斜面の小径を登っていく。すると車が一台通れるくらいの舗装路に出た。観音は見つからない。その車道に沿って少し歩くと右の斜面に小径の入り口があり、そこに「中井のむかし話」というプレートが置かれていた。ひょっとしてこの道からその上に抜けられるのでは? よしいってみよう。
行ってみると墓のようなものがあり、そこでその細道は終わっていた。しかし、よく見るとその先に踏み跡のようなものが見える。まあいってみよう。
それは、獣道のようにも見えたが、少し進むとジュースの缶が落ちていた。やはり人が入っている。けれどその先に踏み跡は見当たらなくなってしまった。
そんなとき、ちょっと上で車が走る音が聞こえた。すぐ上に道路があるらしい。少し登ってみるとガードレールが見えた。そこまであと2メートルくらいだ。その間だけ藪漕ぎをすると道路に出ることができた。ほんのわずかの冒険であった。
ヤマップの地図を見ると、我が家の墓地に通じる道であることがわかった。めでたし。
そこは峠道で、道路に飛び出したところからさらに上に登っていく。ここは車で何度も通ったことがある。自転車でも一度通っている。
知らない道を歩くのはドキドキして楽しい。だからこうして今日も歩いている。それなのに、知らない道から急に知っている道に出るとなんだかホッとして気持ちが休まる。不思議なものである。
幸い墓地手前にある石屋が開いていて、花と線香を買うことができた。マッチはおまけでつけてくれた。
墓参りが済んで、ふたたびウォーキングに戻る。といってもちょっと寄り道をしただけなのだが、そこから秦野駅に向かうと少し遠回りになる。だから、弘法山公園ハイキングコースの端からではなくて、展望台のある権現山から入る最短コースを歩くことにした。
そしてそこまでの道も初めて通る道。ワクワクドキドキである。
弘法山公園ハイキングコースに合流
墓地から出ると再び坂道を登る。すると花籠の台というところにでて、その地名の由来が書かれたプレートが立てられていた。
この丘の上を歩いて東名に出る。東名を越えて道に沿っていく。すると左手に目指す権現山の展望台が見えた。
金目川を渡り、左手に進んでから右手の住宅街の急斜面を登っていく。なんだか変な言い回しだが、本当に急斜面に住宅がたくさん建っている。ここに住むには足腰が丈夫でないと大変だ。そうでなければ車を使う必要がありそうだ。しかし雪の日には車は使えないだろう。
そんな住宅街を登っていくと、まだ家はあるのに弘法山公園の看板が立っていた。
もうここから上が公園なのだろうか。
やがて道は小径となり、そのまま登山道となるのかと思いきや、なんと車道に出た。予想外だった。けれど、その道をハイキングをする格好をした女性が上から降りてきたのを見て安心する。
その車道を歩いていくと、見覚えのある場所についた。そこは浅間山を下って権現山に登り返すところの駐車場がある場所だった。なんだここに繋がっているのか。断片だった道が繋がって嬉しい。
そこからはつい最近も通った道。もう地図なしで歩ける。
このあと権現山、弘法山を通って吾妻山に行く。これで吾妻山から吾妻山を制覇だ。そしてこの後は弘法の里湯が待っている。
15時40分、吾妻山到着。今日の目的達成。
そしてここから25分後には弘法の里湯に到着。ゆっくりと疲れを癒す。
ここまでの距離およそ19キロ。所要時間6時間。
最後に
温泉に入った後、2階の休憩室に上がり、自販機のビールを買う。
この自販機、なんと運転免許証を差し込まなければ買うことができない。それを知らないで悩んでいたら、たまたまいたスタッフが教えてくれた。
よかった、免許証を持ってきていて。
でも、ビールを買うのに運転免許証だなんてなんだかおかしいね。飲酒運転を推奨しているみたい。
この施設、入り口を入ったところに売店がある。
地元の品が置いてある。お酒などの製品もあるが地元で採れた野菜や果物も置いてある。
そこでさつまいもと金柑を買う。
金柑はどうやって食べたらいいかわからなかったが、ともかく安かったので買ってきた(スーパーの半額ちかい)。
結局一番簡単そうなジャムにすることにした。
こうして初めてジャム作りに挑戦。
レモン汁を入れすぎたのか、ちょっと硬めのジャムとなった。
米粉パンを焼いてそこに乗せて食べている。我ながらよくできた。おいしい。
では、このへんで
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