登山て山頂(ピーク)を目指すもの?
いえいえピークを目指すばかりが登山ではありません。
とかいいながらこれまではずっとピークを目指してきた。
丹沢のなかでも東丹沢と言われる山域は歩いたことのないルートの方が少なくなった。
もうこうなると、荒れた登山道を除いて全てを歩いてみたくなる。
今回はピークを目指さずそうした未踏ルートを登ってきた。
秦野戸川公園をスタート&ゴールに
本日12月7日は、仕事もなくボランティアもない。
そこで、丹沢の地図を眺めてまだルートに色が付けられていない短いルートを歩いてみようと思った。
予報では夕方から雨。
まあ、それまでには下山できるだろう。
秦野戸川公園にスーパーカブを止めて、水無川沿いの林道を登っていって反対側斜面の尾根を登ることにする。
目的はこの天神尾根を歩くこと。
地図を見れば急な斜面であることがわかる。この尾根道は大倉から塔ノ岳につづく大倉尾根の横腹に通じている。
4、5年前、丹沢面尾根を歩き、あまりに調子が良かったのでこの大倉尾根(通称バカ尾根)を走るようにぴょんぴょんと下っていった。すると中間地点くらいで膝が痛みだす。その痛みに耐えながら、どうにかこうにか休み休み下山した。
あのときは本当にもう歩けないと、こころが挫けそうになった。
あの経験で、もう若くはないということを痛切に感じ肝に銘じた。
大倉というのは秦野戸川公園の水無川の右岸あたりになる。この大倉の駐車場にスーパーカブを駐車したのでスタートとゴールは一緒である。
登山準備を済ませ、10時半に歩き始めた。途中、昼食を買いにコンビニに寄ったのと渋滞していたので到着が予定より20分ほど遅くなった。しかしまあ明るいうちには降りて来られるだろう。
まず、公園内の風の吊り橋を渡る。
そこから下に降りて水無川左岸沿いの林道を登っていく。
公園内の紅葉が赤く染まっていて見事である。そしてこの林道脇に何度も見事な紅葉が現れる。
葉の色が黄緑から黄色、黄色から赤へと変化する様が一本の木で見ることができる。それがなんとも言えず美しい。
11時10分、竜神の泉に到着。山腹に竜の形をした岩があり、そこから清水がコンコンと湧き出ているそうである。日照りが続くと竜神に「大雨たった、まきたった・・・」と歌って雨乞いをしたともいわれている。
11時45分、烏尾山登山口到着。それから15分で戸沢の作治小屋に着く。ネットで調べると「通年」となっていたが、今日は閉まっていた。予約がある日だけ開けるのかもしれない。
天神尾根
作治小屋の表のテーブルとベンチを借りてここで昼食とした。ゆっくりしている時間はないので飲み物は水だけ。コーヒーは時間があったら淹れることにする。
明るい開けた戸沢の河原を横目に見ながら登っていくと、左側に休憩所があった。ここでトイレを借りる。
表に出ると標識があり、ここで昔遭難しそうになったときに下ってきた政次郎尾根と天神尾根のある塔ノ岳・花立とに分かれる。
その先で水無川を渡渉。とはいっても登山靴が防水なら問題なく渡ることができる。
つぎは小さな鉄橋を渡る。
そこから少し登ったところに天神尾根入口の標識があった。行き先を人差し指と中指の2本で指し示しているような標識だった。
そしてそこからが本格的な登りの始まりだ。
急斜面をジグザクに登っていく。足元は大きな石がゴロゴロしている。ガレ場と呼ぶには石がまばらだが、十分に歩きづらい。
そうやって登っていくと、木々が間引かれていた。ここから木材を切り出していくのも大変なので、森の再生のための伐採なのかもしれない。
けれど、そのあたりはスギとヒノキの混合だったが、伐採された木はヒノキばかりだったような気がする。
そのうちに石は少なくなり、木の根が剥き出しになる。その間を抜けていく。
テンポ良く登っていくのだが、途中途中で呼吸を整えなければならない。心拍数が上がり呼吸が苦しくなってくるのだ。
もうあと少しのところで少し谷側に寄った道になった。するとバランスを崩してしまいそうになるくらいの強い風が吹いている。
立ち止まり、登り始める時に脱いでいたL.L.Beanのフルジップパーカーを飛ばされないようにしっかり握って着る。さらにフードを被る。
ふたたび谷から離れると風は弱くなった。
もうそろそろ大倉尾根というところで、二人の下山者と出会った。「少し下は風が強いところがありますよ」と伝えると、やはり上でも風が相当強く吹いているとのことだった。
その二人と別れるとすぐに大倉尾根に出た。
大倉尾根
そこから少しだけ上に向かって登ってみた。そこには木道が敷かれ、登山道が保護されている。
昔はこのバカ尾根は赤土でよく滑ったものである。そこへ登山者が大勢歩くので草が生えずに雨が降ると土砂が流れていく。するとまた良く滑る道になる。
こうした悪循環を断ち切るべくこうした対策がとられているものと思われる。また、植林なども行われているという話も聞く。
ぼくが本格的な登山をしたのは中学生の時で、雨の中、表尾根を歩いてこの大倉尾根を下った。もうお尻で滑った方が早いくらいの状況だった。
ここを歩くと当然そんなことを思いだす。もうあれから50年も経つんだなあ。一緒に登った同級生もあの時のことを覚えているだろうか。
木道を少し登っていくと、また二人連れの登山者と出会った。早くから立ち止まって道を譲ってくれている。
申し訳ないと思いながら同じ調子で登っていく。そしてお礼を言うと、
「今日は尊仏小屋ですか」と訊かれた。もう午後なので心配してくれているのだと思い、
「このちょっと先までいって戻ります」といったら安心した様子だった。
そうしてちょうど2時になったところで引き返して大倉方面に下っていった。
下りながら、膝が痛み出したのはこの辺りだったかなとか、ああ、ここで休んだっけ、などと思い出しながら下る。
それにしても、この尾根には小屋がたくさんある。皆閉まっているのでまだ営業しているのかどうかはわからない。けれど小屋があると気持ちも一息ついたような気になるのが不思議だ。
一息ついたと言えば、暖かい明かりがついた家があった。より一層こころが落ち着く。見れば窯元だった。
途中一人の登山者の追い抜かれながら、膝が痛み出すようなことはなく(軽い違和感はあったが)、15時50分、無事に大倉に着いた。
そこでコーヒーを淹れて一息ついてからスーパーカブで帰宅した。
最後に
スーパーカブのおかげで行動範囲が広がった。
同じところに戻って来なければならないと言う制約はあるけれど、まだまだ行けるところはある。
それに駐車場のこともあまり問題にならないところが良い。
東丹沢はほとんど歩いたので、こんどは西丹沢まで足を伸ばしていこうと思う。
俳句ではこの季節の紅葉を冬紅葉というが、今日は初めから終わりまで素晴らしい紅葉だった。
では、このへんで
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