自転車統計要覧(第51版 平成29年6月)に自転車交通事故統計が載っていたので、じっくり見てみました。
とくに死亡事故の原因について読み取ってみました。
そこから何がわかると思いますか?
その結果はつぎの3つのことに気をつけること。
- 出会い頭の事故
- 路外逸脱や転倒による自損事故
- 歳をわきまえる
では、少しずつ統計を見ながら考えていきましょう。
【目次】
自転車統計要覧を読む
自転車統計要覧(第51版 平成29年6月)に自転車交通事故統計のもとの統計は次のように書かれています。
公益財団法人交通事故総合分析センター発行「交通事故統計年報」平成27年版 より,全国で発生した年間の交通事故のうち,自転車に関するものを掲載した。
「交通 事故統 計年報」 にお け る用語の定義 は, 次のとお りで ある。
また、言葉の定義が次のように書かれています。
1「交通事故」とは,道路交通法第2条第1項第1号に規定 する 道路におい て, 車両等 及び列車の交通によって起こされた事故で,人の死亡又は負傷を伴うもの(人身事故)並びに物損事故をいう。
2「死亡」(「死者」)とは,交通事故によって,発生から24時間以内に亡くなった場 合(人)をいう。
3「負傷 」(「負傷者」)とは,重傷(「重傷者」)と軽傷(「軽傷者」)の合計をいう。
4「第1当事者」とは,最初に交通事故に関与した中:両等( 列車を含む。)の運転者又は歩行者のうち,当該交通事故における過失が重い者をいい,また過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者をいう。
5 「事故類型」とは,事故をまず当事者の種類(人または車両)によって分類 し,次いで当事者の事故時の行動等(動き。位置,衝突物等)によって更に細かく分類したものである。
6 「状態」とは,当事者の事故当時の状態(自動車運転中,自動車同乗中,歩行中等)をいう。また,「乗車(用)中」とは、 運転中と同乗中の合計をいう。
なお、以下の表はすべて、筆者が加工していること、また、自転車には「駆動補助機付自転車」(電動アシスト自転車)を含めています。
交通事故件数
自転車に関する交通事故件数 101,219件のうち、第1当事者(過失が重いもの)から受けてしまう第2当事者の事故件数は 85,290件で、その割合は84%と非常に高い。
また、そのうちの死亡事故発生件数は 578件で、そのうち第2当事者の場合は 323件です。これに対し、第1当事者の死亡事故件数は255件であり、第1当事者の場合も第2当事者の場合も死亡事故件数に大きな違いがない。
つまり、第1当事者(自転車側に過失がある場合)でも死亡事故となる場合が多いということがいえる。
人身損傷程度別・死傷者数
全死傷者数 97,805件うち、死亡または重傷者を出した事故は 9,080件(死者数572件、重傷者数8,508件)で、軽症者を含めた死傷者数の約1割であることがわかる。
年齢層別の死傷者数
年齢が55歳を超えるとそれまでの倍の確率で死者数が増えていることがわかる。
それ以降年齢が上がるにしたがって死者数が増加していく。
また、ティーンエイジャーの16〜19歳については、死亡に至らない負傷者数が飛び抜けて多い。
自転車の通行目的別 全事故・死亡事故件数
この統計によると、通勤・通学などの業務上よりも私用で自転車に乗っている時に事故を起こす割合が高いことがわかる。
つまり、発生した交通事故の大半は私用で使っている最中に、事故をもらってしまったということ。
そして、死亡事故の件数をみても自転車に関する交通事故全体のほとんどがこの私用中に起きている。
自転車の事故類型別 全事故・死亡件数(第1当事者)
出会い頭衝突による事故が、全事故の5割強を占める。そして死亡事故の半数近くがこの出会い頭に起きている。
また、路外逸脱や転倒による自転車自身が起こす事故は、合わせて1割程度ではあるが、死亡事故に占める割合は38%もある。
当事者別・行動類型別全事故・死亡事故件数
この表を見ればどのような状態で死傷事故が起こるのかが見えてくる。
第1当事者の場合も第2当事者の場合も全事故の約6〜7割が直進等速の場合に起きている。
つまり、普通に走っている時に事故が起こっている。
さらに、死亡事故をみると、全死亡事故のうち63%がこの直進等速で起きている。
統計から見えてくること
この統計から、出会い頭のもらい事故が死亡事故につながりやすいということが言えます。それに加え、はっきりとはわかりませんが、第1当事者での死亡事故も多いことから、信号無視などの自転車側の過失による出会い頭の事故も十分考えられます。
また、単独事故では路外逸脱や転倒による死亡事故も多いということもわかりました。
路外逸脱による事故とは、道路からの転落や道路を外れての衝突などでしょう。原因はスピードの出し過ぎや車の幅寄せなどによる影響が考えられます。
転倒による事故は、衝突を避けようとする場合もあるでしょう。
でも、わたしが日本を一周して感じたのは、路面状況の悪さ、特に道路に沿って縦の溝がやたらに多い。タイヤがはまって怖い思いをしたことが何度かあります。
そして自慢にはなりませんが、骨折したのはまさに転倒によるものでした。
よろしければ転倒した日の旅日記もご覧ください。
さらに、55歳を過ぎたらこれらの事故により死亡する確率が上がり、それは年齢を重ねるごとに危険度は増していくということがわかりました。
歳をとったらますます慎重に走らなくてはいけない、ということですね。気をつけます。
もう一度まとめます。
死なないために気をつける3つのこと
- 出会い頭の事故に気をつけること
- 路外逸脱による転落や衝突、そして転倒による事故に気をつけること
- 歳をわきまえ、歳をとったら無理をしないこと
自転車乗りのみなさん。特にこれらのことに気をつけて自転車を楽しみましょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
自転車に乗っていると、車の無理な割り込みが多く気になりますが、これはまだ見えているからいいのかも。
出会い頭衝突は、車も自転車も一時停止をしなかったことにより起こります。弱い自転車側が気をつけないとならないところが辛いところ。
いずれにしても、車との事故は、車と自転車が同じ道路を走ることから起こるのだということ。もっと自転車専用道路がほしいですね。
なお、各国の状態別死者数の比較表も載っていて、ドイツ10.6%、フランス4.5%、オランダ23.5%、イギリス6.4%、アメリカ2.3%、韓国5.5%となっており、日本は15.8%でした(いずれも2013年のデータ。国際道路交通事故データベース(IRTAD)による)。
オランダについで日本の割合が高いですね。
さて、このデータあなたはどう見ますか?
では、このへんで
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