自転車の逆走したことありますか?
そもそも逆走がわからない方はいませんか。
それは、車道の右側を走行することです。
それがどのくらい危険なんことなのかお分かりでしょうか。
今回は、自転車の逆走による自転車同士の事故がどのくらい怖いことか考えて見ましょう。
【目次】
昨日、事故になりかけた話
昨日(2020年12月6日)午後5時半頃、もう日が暮れてあたりは暗く、車もライトをつけて走っている頃、自転車で道路の左側を走っていました。当然こちらもライトをつけています。
その道は歩道がなく、いわゆる旧道という狭い道でした。
対向車のライトが眩しいなあと感じていたら、突然目の前に逆走のママチャリのライトが目に入りました。正面衝突まであと1メートル。こちらは少し右に避けて停止。向こうはそのまま走り去って行きました。
もし、後方から車が来ていたら危ないところでした。そして、向こうがこちらと同じ側に避けていたら、こちらが停止してもぶつかっていたでしょう。本当にひやりとしました。
いくら向こうがライトをつけていても、対向車のライトに幻惑されてなかなか気づけないことを身を以て体験しました。
昨年に起きた自転車同士の正面衝突による事故
昨年のニュースですが、愛知県でわたしと同じような状況の事故がありました。
CHUKYO TV NEWS 2019/12/11 17:31
“ 自転車専用レーン”で自転車同士が衝突 女性(69)が意識不明 “身近な乗り物の落とし穴” 名古屋・中区
10日夕方、名古屋市中区の自転車専用レーンで自転車同士が衝突する事故がありました。女性(69)が意識不明の重体です。
安全のために整備されたはずの自転車専用レーン。いったい何があったのでしょうか?
「自転車専用道路で、自転車とロードバイクが正面衝突したということです。現場には、印が残されています」(中島彩花 記者)
事故が起きたのは、10日午後5時半ごろ。名古屋市中区丸の内の“自転車専用レーン”で、電動自転車とロードバイクが正面衝突する事故が起きました。
警察によると、男性は自転車道の左側を走行中、前から女性が乗る自転車が逆走しているのを確認。男性はぶつかると思い、とっさに右側に移動しました。
すると、女性も反対側の車線に移動し、そのまま正面からぶつかったといいます
ロードバイクに乗っていた男性にけがはありませんでしたが、電動自転車に乗っていた女性(69)が頭を打ち、病院に運ばれましたが意識不明の重体です。
実はこうした自転車同士の事故は全国的で毎年2000件以上発生しています。
「けっこうなスピードが出ていて、道を逆走していますね。危ないですね」(中島彩花 記者)(出典:“ 自転車専用レーン”で自転車同士が衝突 女性(69)が意識不明 “身近な乗り物の落とし穴” 名古屋・中区 : 中京テレビNEWS )
愛知県内では2018年に自転車同士の人身事故が97件発生し、そのうち重傷以上の事故は約12%となっているとのことでした。(重傷以上12件、うち死亡1件)。
正面衝突事故の発生状況
先日、自転車による事故は出会い頭が多いことをブログに書きました。
その中で、気をつけることとして以下の3つをあげました。
- 出会い頭の事故
- 路外逸脱や転倒による自損事故
- 歳をわきまえる
では、出会い頭以外のこうした自転車の逆走による自転車との正面衝突の事故はどのくらいあるのでしょうか。
ITARUDA INFORMATION 交通事故分析レポートNo.112によれば、H26年の自転車事故件数は109,269件で、そのうち自転車相互の事故件数は2,865件でした。
自転車相互事故の特徴は、
1 登校・出勤時間帯の7〜8時台が特に多い。
2 出会い頭に続き、正面衝突や追い抜き追い越し時、すれ違い時の事故も多い。
以上のことが示されています。
内閣府で作成した「わが国の自転車交通を取り巻く事故概況と課題の概要 」の中で示されている「道路形状別・事故類型別自転車関連事故(平成21年)<第1当事者・第2当事者合計>」によると、
車両相互の事故件数は149,137件、そのうち正面衝突は3,273件、右左折時は36,021件、追突は2,000件、出会い頭は84,525件、追い越し時は4,149件、その他19,169件でした。
割合を示すと以下のグラフのようになります。
逆走による事故は、直進時の正面衝突だけでなく、右左折時にも起こると考えられることから、その両方を合わせると出会い頭の57%についで26%と発生割合が高いことがわかります。
少し残念なのは、新しいデータが見つからなかったことです。探しかたが悪かったのかもしれません。その点は申し訳ありません。
また、統計の取り方もよくわかりません。件数があまりにも違いますね。
それでも過失割合は50:50
では、相手が逆走して来た場合の自転車同士の正面衝突事故の過失割合はどうなるのでしょう。
これについては、明確なものが見つからなかったのですが、つぎのようなブログを見つけました。
この方の説明によると、
で、逆走しているママチャリと、ロードバイクが衝突した場合です。
相手は道交法違反(通行区分違反:左寄り走行義務違反)を犯しているわけですが、これが0:100になるのかというと、実はなりません。
しかも恐ろしいことに、基本は50:50からスタートなんです。
ということです。
その理由は、自転車の場合、標準化・類型化した過失割合がなく、車対車の事故の過失割合をそのまま適用したのでは、著しくバランスを欠くおそれがあるとして、「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」(赤本 下巻)を参考にして決めるためだそうです。
自転車の場合、免許制度がなく、法規制が十分浸透していないことなどから、道交法違反をしても、車と同じ過失割合で決めると公平性を欠く、ということらしいです。
この「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」(赤本 下巻)について調べると、弁護士の北野岳志氏のブログによれば
ところで,「自転車同士の事故」の過失相殺基準としては,日弁連交通事故相談センター東京支部過失相殺研究部会から第一次試案が示されています(平成26年版赤い本下巻113頁以下)。
ざっと見る限り,自動車同士の事故の場合とほぼ同様な印象を受けますが,自転車としての特性が考慮されて,若干割合が異なっている場合もあるようです。
別冊判例タイムズに比べれば,実務への影響力は小さいと思われますが,過失を算定するにあたっての参考資料として用いられる場合は十分あるでしょう。
どうも曖昧ですね。
実例として、先の「0:100にはなりません」のブログで紹介されていた法律事務所の解決事例を引用すると、
ここが一番苦労をしたポイントでした。
交通事故の過失割合は、別冊判例タイムズ38号をもとに決められることが一般的です。
しかし、残念ながら判例タイムズは全ての交通事故を網羅しているわけではありません。
今回のような自転車同士の事故の過失割合は掲載されていません。
そこで、赤い本下巻にある『自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)』をもとに過失相殺の主張を行いました。
対向方向に進行する自転車同士の事故の過失割合は、第一次試案によれば50:50が基本過失割合になるとされています。
しかしながら過失割合を50:50とした第一次試案はあくまでも生活道路上の事故を前提としたものです。
今回の交通事故は、非常に大きな幹線道路で発生したものであり、自転車の左側通行義務が強く要請されること、仮に対向車を回避しようとすれば車道上に飛び出さざるを得ず、回避は事実上不可能であったことなどを相手損保に丁寧に説明しました。
結果、過失割合は10:90(被害者側が10)で解決することに成功しました。
(出典:http://www.jikosupport.jp/case/case/whiplash/1090102.html)
と書かれているので、やはり、50:50が基本になるようです。
ロードバイクに乗っている皆さん、逆走している相手が悪いと思っていると、飛んだしっぺ返しが待っているかもしれませんよ。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
愛知での事故のように、ロードバイクに乗っている人は車道の左側を走り、ほとんどがヘルメットも被っています。これに対し、逆走する人はたいていママチャリに乗っており、ヘルメットは被っていません。
それに、ロードバイクはスピードが出ていることがほとんどです。
すると、逆走してきた方が大怪我をする可能性が高いですね。頭を打てば最悪死亡事故になります。
ここまでお読みいただいた方は、ぜったいに逆走はやめましょう。大怪我をするのはあなたです。逆に走るのなら歩道の上でゆっくりと。
わたしは逆走自転車にぶつかりそうになったとき右足を突いたのですが、その時足首をひねってしまい少し痛みがあります(ビンディングをはめていたら右にコケていた!)。
まあ、正面衝突しなくてよかったと思いましょう。
では、このへんで
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