今年最後となるであろう百名山。
鳥取の大山に登りにきた。
予想に反して今年は雪が早い。
雪山はやらないつもりであったが・・・
神奈川の自宅から米子に向かう
毎週登山を計画したのが十月で、その時にいっきに交通機関の予約もとった。
鳥取の大山にはどうやって行くか。
一日休暇を取ることにして金曜から2泊3日で予定を組む。
できるだけ疲れず、そして安く行って来たい。こうした条件で調べたところ、飛行機を使うのがよいと判断した。
1日目と3日目は移動日とし、2日目に日帰り登山をする。これなら疲れない。
そうして2023年12月1日(金)の早朝、羽田に向かった。
いつもなら、横浜YCATから羽田空港直通のバスに乗る。だが今回は、空港行きの京浜急行に乗って行くことにした。到着は羽田空港から出発する時刻の40分前の予定だ。
ところがである。この日は平日でしかも通勤時間帯。相鉄線を横浜で降りて京浜急行まで歩くのに大混雑で予定の電車に間に合わなかった。さらにうっかりして特急ではなく普通電車に乗ってしまった。
こうして羽田駅に到着したのは20分前。慌てて第2ターミナルに向かい、荷物を預けようとしたところ、受付時刻を過ぎているとのメッセージ。保安検査場も通過しておらず、結局予定の便に乗ることができなかった。
しかし、ありがたいことに次の空席がある便に振り替えてくれるという。
この日はとても混んでいて、保安検査を受けるために並ぶ人の行列が、ベルトで作られた通路からあふれてさらに列が続いていた。
係の人に聞くと、「3番カウンターで振替手続きをしてください」という。
行ってみると、そこは大型荷物を預ける場所だった。そしてそこもかなり多くの人が並んでいた。念の為係の人に確認して列の最後尾に並ぶ。
こうして12時30分の便に振替をしてもらった。予定の便は9時10分だったので3時間20分遅れとなる。
ああ、今日は移動のみでよかったと思う。慌てることはない。
到着したら昼食を取る予定だったので、ここで先に食べておこう。だがいまは10時半、少し早い。今回はクレジットカードのゴールドカードを持ってきた。ラウンジに行ってコーヒーでも飲もう。そう考えてラウンジのある場所を探す。2階だ。
ラウンジは建物の隅にあった。
「このカードで入れますか」
受付でカードを提示する。
「お調べいたします」
そう言って受付の女性がカードを端末に読み込ませる。
「お客様、このカードは期限が切れています」
「えっ」
カードを見ると期限は11月末、昨日で期限が切れていた。
新しいカードが届いた記憶がないなあと思いつつ、すごすごと引きさがった。
しかたがない、少し早いが昼食を食べることにしよう。
だいぶ早い昼食をとり、すぐに保安検査場の列に並ぶ。
あとは出発ロビーでのんびり過ごした。
米子空港から大山寺の宿まで
米子空港には14時過ぎに到着。出発が10分遅れたので到着も10分遅れだった。
乗換案内アプリで調べると、JRで大山口駅まで行き、バスに乗り換えて行くのが早いらしい。
ただ、早いと言っても、米子での乗り換えで37分、大山口発のバスが出るのに31分と待ち時間が長い。
それでもまだバスがあるだけマシだ。タクシーで行くとなるといくらかかるのだろう。
当初の計画では、15時頃に大山寺バス停に到着予定だった。着いたらまず宿に行って荷物を置き、近くの温泉に入ってからそこの食堂で夕食を食べるつもりだった。
バスの到着は17時20分の予定。すでに食堂のラストオーダーの時間は過ぎている。せめて温泉だけには入りたい。調べると平日は最終受付が17時半となっていた。間に合うか。
予定時刻の16時19分に電車が大山口駅に到着すると、かなり冷え込んでいた。だが、出発までまだ30分もあるというのにすでにバスは駅前に停まっていて、中で待つことができた。
幸いバスは定刻より少し前に到着した。ありがたい。凍った道を急いで日帰り温泉「豪円湯院」に向かう。間に合った。ここで490円を支払って階段で2階に上がる。左手を戻るように進むと自動ドアがあり、ボタンを押すと、なんと手前のドアの向こうのドアも一緒に開いた。2重のドアになっている。これは寒さ対策なのだろうか。
脱衣場から中に入ると洗い場になっている。寒い。ガラス戸一枚向こうに露天風呂が見える。ひとまず外の露天に向かう。寒さでぞくっとする。しかし、湯船に入れば天国だ。外は雪景色。最高である。
内湯は洗い場の向こう側にあった。薄暗い洞穴のようなところで、なんだか神秘的な風息が漂う。
ここは490円というとてもリーズナブルな価格だ。それでシャンプー、コンディショナー、ボディソープが置いてある。それだけでも良心的で素晴らしいのに、さらにとても気持ちのいい温泉だった。ぜひ、みなさんにおすすめしたい。
豪円湯院 - 大山の霊水で温泉事業と豆腐豆乳の製造をしています。
さて、温泉から上がると18時少し前。温泉の並びの2つ先に売店があったので今夜の飲み物とおつまみを買う。そこはモンベルの直営店でここで買ったもののポイントを加算してくれる。
なお、この店の閉店は18時、ギリギリ間に合ったのだった。
ここから歩いて1分のところにモンベル大山店がある。ここは19時閉店なのでまだ時間がある。ちょっと寄ってみることにした。
店に入るとすぐのところに置いてある手拭いに目が止まった。大山限定デザインだという。もうひとつ手拭いが欲しいと思っていたのでこれを手に取ってレジに行く。
レジで手拭いを渡し、店員さんにちょっと聞いてみた。
「大山の雪はどうですか」
「この前どかっと雪が降っていったん解けたのですが、上の方では解けずにまたそのうえに雪が積もっているようです。」
「本格的なアイゼンは必要ですか」
「6合目まではアイゼンなしでも登れるようですが、その上は急になってアイゼンなどが必要になるようです。チェーンで登られている方もいるようですが、わたしなら12本爪アイゼンを持っていきますね」
今度12本アイゼンを買おうと思っているところだったので、聞いてみた。
「持ってきたのは6本爪の軽アイゼンなんですよ。ここで12本アイゼンって置いてありますか」
置いてあるというので、それじゃここで買うといったら在庫を出してきてくれた。
何種類かを手にして来て、実際に登山靴に合わせてくれた。するとこのまえ海老名のモンベルで合わせたサイズではギリギリで、逆にちょっときついくらいだった。
しかし、ワンサイズ上にするとゆる過ぎて使えない。いろいろ試して最終的にSMサイズのワイドがいいということになった。登山靴はワイドではないため、その分靴が前に出るのでゆとりが生まれたのである。そのかわり、前の爪の出っ張りがちょっと短くなってしまった。
閉店の音楽が流れる中、モンベルを後にして今夜の宿に向かう。ここから宿までは5分ほど。凍った坂道を滑らないように気をつけながら歩いて行く。
今日から2日間お世話になる宿は「寿庵」という変わった名前のゲストハウス。オーナーは女性。これまでいろいろと近くの店の情報をくれたり、素泊まりなので食事の準備などの心配をしてくれるメールを送ってくれていた。
実際にお会いしてもやはりとてもこちらを気遣ってくれて、それがとても自然で気さくな方だった。遅くなったことを詫びて、空港からどうやって来たとかアイゼンを買っていたという話をした。
受付票に記入して代金を支払い、施設を案内してもらう。宿泊する部屋は2階だという。建物は古いが宿泊客のことをよく考えて内装が整えられていた。つまり、必要な部分に絞って新しいものに交換されているといった感じで、それがよく考えらえて過不足がないというような印象を受けた。
それから夕食にしようと、もってきたレトルト牛丼のパックとアルファー米を取り出す。するとオーナーは、鍋にお湯を沸かしてくれた。とてもよく気がきくのである。
そして、もう一人千葉の男性が同じ部屋で、この日は客は二人だけだが、翌日は山つながりの人たちが大勢集まって宴会を開くので賑やかになるのだという。
明日は何時に出発するのかとオーナーに聞かれた。7時頃に出ようと思うと答えた。計画では6時に出発することにしていたが、日の出の時刻が7時頃であることが分かり、出発を遅らせることにした。また、予想に反して雪が多いので、弥山への往復だけにして三鈷峰まで足を伸ばすことをやめることにした。
残念ながら明日の天気予報は曇り。しかも朝のうちは雪。ただ、午後は晴れるかもしれないという。ぼくは初めての本格アイゼンでの雪山なので、どのくらいの時間で歩けるのかわからないため、日の出とともに出発しようと考えた。
同宿の男性は大山は3回目だった。明日は午後の方が天気が回復しそうなのでゆっくりと9時頃に登る予定だという。
こうして夜10時に消灯してベッドに横になった。
つづく
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