Hakuto-日記

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大阪から奈良へ 【大峰山(八経ヶ岳)】

弥山より八経ヶ岳を望む

先週、磐梯山に登れなかったので、今年中に50座の目標は果たせそうもなくなった。

けれどめげずに頑張ろう。

 

先日の寒波で西日本でも雪。

当然、今回目指す大峰山も雪が積もっているだろう。

いや、もうだいぶ解けたか。

ちょっと迷ったけれど、今回は4本プラス1本の簡易アイゼンを持っていくことにした。

今回はテント泊の予定なのでできるだけ荷物は軽い方がいい。

 

登山計画

大峰山は奈良県にある。山脈である。

一般には大峰山で最高峰の八経ヶ岳を指す。

 

八経ヶ岳を目指すために、弥山登山口まで車で入ることにした。

弥山に登ってから八経ヶ岳まで往復し、弥山のテント場に泊まる予定だ。

 

11月22日の水曜の夜に高速バスで横浜を出発し、大阪ヘ向かう。大阪からは今回もレンタカーを利用する。

 

この計画を立てたのは10月で、コロナで夏を棒に振ったのを取り返すために毎週出かける計画を立てたのである。

それは、10月の初旬に屋久島の宮之浦岳に登った後だ。宮之浦岳がちょうど40座目だった。

今年中にあと10座は登りたいという野望を抱いた、とはちょっと大袈裟だが、西の山に登ればなんとかなるだろうと思った。

 

ところがもう西の山は数えるほどしか残っていなかった。

そこで、北の方にも目を向けて、まだ雪は本格的に降らないだろうと言う希望的観測でまずは北方面の山に登る計画を立てたというわけである。

 

そうして、これまで北にある四阿山、巻機山をまずは目指した。

ところが四阿山では天気が悪く、雪に降られた。巻機山では曇りだった。

そのつぎに四国の剣山と石鎚山に登った。剣は霧、石鎚は冷たい雨に降られた。

 

そして先週の安達太良山で45座目となった。

ふたたび北になったのは、休みが取れたので後から追加したためだ。しかし、悪天候のため磐梯山は断念した。これで50座の目標は達成の見込みがなくなった。

 

それにしても毎週末は天気が悪い日が多かった。本当に晴天だったという日は一度もなかった。

 

 

弥山登山口

11月23日早朝、大阪の梅田に到着すると天気は曇りで肌寒かった。ひとまずトイレに行きたかったが、どこにトイレがあるのかが分からない。

コンビニに行けばあるだろうと3軒のお店に入ったが「トイレはありません」と書いてあったり言われたり。最後のところでは「この辺だと吉野家くらいかな」と言われてしまった。

 

残念ながら、朝食はバスの中で食べたところなので、牛丼は食べられない。すると斜向かいにタリーズの看板が見えた。ちょうど開店したところだった。レンタカーは8時半の予約で、店は8時からしか開かないので、一服するにはちょうどいい。

 

こうしてすべてがうまくいき、気持ちよくニコニコレンタカーのガソリンスタンドまで歩いていった。これまでニコレンを2回利用したが、どこも感じが良かった。そしていつも新車だった。

 

ところがである。応対してくれた親父さんは言葉は丁寧ではあるのだが、どうも上から目線でものを言われているように感じてなんだかげんなりした。

 

「車は禁煙です。タバコを吸ったら罰金をいただきます」

「飲食禁止ではないですが、臭いが残るようなものは食べないでください」

「駐車違反で罰金を払う場合はこちらの電話番号に連絡してください。当て逃げされたときは保険の対象外になります。この時も連絡してください。それから、時間に遅れそうになった時も必ず連絡してください。連絡がなく遅れた場合は、規定の遅延料の2倍をいただきます」

 

借りる車の点検となり、別の担当に変わりホッとする。

今回の車は以前借りたトヨタパッソと兄弟車であるダイハツのブーンである。

だが、残念なことにとても古い車なのだった。

 

だから、これまでの車と比較することができない。比較対象外である。

走行距離が14万キロを超えていて、サスがへたっていた。これでは怖くてカーブではずっと減速せざるを得ず加速も悪かった。それにタイヤも随分と減っていた。

 

ヘッドライトはオート機能がついておらず、トンネルが多いところを走ったので、まめに操作をしなければならなかった。

 

まあ、こんな具合で、昔に乗っていた車の運転を思い出したりした。そして最近の車はよくできているなあと感心したのである。

 

余談ではあるが、最近ライトをアッパービームにしている車とよく出くわすが、きっとオートにしていて勝手にアッパーに切り替わっているのではないか。これだけはいただけない。対向車は眩しくて前が見えなくなるので危険である。

 

 

さて、前置きが長くなったが、大阪から奈良の行者還トンネル西口にある弥山登山口に向かう。これが道が混んでいて結構時間がかかった。距離にして104キロ程なので、2時間もあれば着くだろうと思っていたのだが、結局、4時間もかかってしまった。

 

これは、渋滞ばかりでなく、渓谷の狭い道に入ってからスピードが出せなかったことも原因である。

 

駐車場に停めると、係の人が料金を取りにやって来た。当然のことながら「これから登るのか」と尋ねられる。上で泊まる予定なんですと答えると、2泊なので2千円になりますという。

 

「山小屋はもう閉じているのはご存知ですか? 水も持っていかないとないですよ」

小屋が閉じていることは知らなかったが、「テントなので大丈夫です。水も持って来てます」と答える。

実は途中で水場があったかと心配になった。地図を見てそれがないことに気づき、コンビニで2リットルのペットボトルを買って来ていた。買っておいて良かったと思った。

 

「上の方は雪がだいぶ残っているらしいですよ」と情報をくれた。

「一応、アイゼンも持って来てます」

ただ、万一のための簡易アイゼンだけどと心の中でつぶやいた。

 

こうして2時間遅れで登山を開始する。

 

 

登山開始

登山口近く

始めは沢沿いの平らな道だ。当然だがすぐに下って来た人に出会う。その後も次々とやって来た。登りに入っても下の方に雪はほとんどなかった。だが、チェーンスパイクを手にした人が結構多かった。

 

「雪はどうですか?」

「上へ行くと雪がありますよ。アイゼンがあった方が歩きやすい感じです」

そう聞いて、それならアイゼンなしでもいけるかなと思う。

 

始めの登りは尾根道ではあるがかなりの急登だ。50分程歩くと稜線に出た。ここは奥駈道出合(おくがけみちであい)である。ここからはなだらかな稜線になる。なだらかではあるが、雪が解け出して、ぐじょぐじょになっているところを何度も通過した。

 

稜線の尾根は広いので、道は一本だけではなく、また、雪のため通れる場所も増えていた。できるだけ、ぬかるんでいない場所、そして雪が深くない場所を選んで歩いていった。

 

この感じならアイゼンは使わなくても行けそうだと思った。

広い稜線

前方左手に見えた山。たぶんあれが目指す山だろう

14時20分、聖宝の宿(しょうぼうのしゅく)跡を通過する。そこには行者だろうか、銅像が建っていた。あとで調べてみると、それは聖宝理源大師の像だそうだ。大師は大峰山中興の祖と言われているらしい。

 

大峰山中興の祖

 

この少し先までがなだらかな起伏の稜線で、その先からだんだん急な登りになる。

ジグザグになった道の先には青空が広がっていた。

急な登りに入ったところ

いったんなだらかになった後、さらに傾斜がキツくなる。やがて道は北側斜面に回り込み、聖宝八丁といわれるところになる。

 

そこで、ローカットシューズで下りてくる人に出会う。その中年の男性に雪の状況を尋ねた。

 

「このすぐ上のところが一番雪があります。そのさきの木道はそれほどでもありません。私はアイゼンなしで来ましたけれど、行ってみれば付けたくなりますよ」

 

こちらがアイゼンを付けようかどうしようかと思っていることを察して教えてくれたのだ。

 

 

軽アイゼン

その方の言った言葉の意味はすぐにわかった。斜面をトラバースしていくので、滑って右側の谷に落ちていってしまう危険を感じたのである。

 

安全な場所に少し戻ってアイゼンを付ける。今回は4本プラス1本爪の簡易アイゼンなので、少々心許ない気がした。しかし、実際に歩いてみると、これがあるのとないのでは大違いだった。

 

アイゼンの爪がしっかり雪面に刺さるように足を降ろして歩いていく。土踏まずあたりにしか爪がないため、つま先で蹴るように歩いては滑ってしまう。

アイゼンをつけたところ

こうして難所を過ぎると木の階段になった。先ほどの男性が言った通り、ここは雪があまりついていない。しかし、隅の方には踏み固められた雪があるので油断はできない。けれど、アイゼンをつけている場合は、雪の上の方が歩きやすい。

 

そこを登ると左にトラバースし稜線に出る。この少し手前で、女性を先頭にした3人連れと出会ったのが最後だった。そこをまっすぐに進んで山頂を目指す。

 

稜線に出たところ

弥山小屋

15時10分、山頂近くの弥山小屋に到着。小屋は割と大きかった。その小屋の向こう側にテントが一つ張ってあった。おそらく日が当たって解けたのだろう。小屋の前のそのあたりだけ雪がなく、芝が見えていた。

 

急いでぼくも隣にテントを張った。そして15時半、自転車用の上着を来ていたので、背中のポケットに水や行動食を入れて、ザックを置いて小屋を出発。最初、弥山山頂に行こうとしたが、思い直してまずは八経ヶ岳を往復することにする。

 

弥山小屋

右側の芝の上にテントを張る

八経ヶ岳に向かう

ゆっくりと下り始めると、南斜面のため雪はあまりついていかったのでアイゼンを外す。コルに下り、登り始めたところでふたたび付ける。

 

最後の登り

山頂にある錫杖

なだらかな弥山山頂。赤い屋根の小屋が見える

15時53分、八経ヶ岳に登頂。久しぶりにみる眺望の良さに感激する。

5分ほど滞在し、同じ道を戻る。オオヤマレンゲ自生地といわれる道を今度はのんびりと歩く。

トウヒ?

枯れ木と月

16時20分、小屋に戻り今度は弥山山頂を目指す。7分ほどで山頂に到着。ここには立派な弥山神社が建てられていた。

鳥居をくぐって山頂を目指す

山頂の弥山神社

弥山山頂から八経ヶ岳を望む

テントに戻るとお湯を沸かし夕食。早々に寝袋にくるまる。

夜になって風が出て来た。風に煽られたテントが体に触れる。

それほど寒いというわけはなかったが、なんだか底冷えしている感じがしたのでカイロを腰に貼る。

翌朝まで風は止まず、テントを片付けるときに飛ばされないように慎重に畳んだ。

6時10分、朝食は食べずにともかく急いで下山した。

外はもうライトなしでも歩けるくらいだった。

下山するまで風は止まず、特にあのなだらかな稜線では風が強かった。

 

 

最後に

4本プラス1本爪の簡易アイゼンはもうかなり昔に買ったものだ。

プラス1とは、この1本だけが横向きになっているのである。あと4本が縦方向になっている。まあ、5本爪ということである。

 

ゴムのバンドも古いので何度も引っ張って確認したが、ヒビなどは一切なかった。

そういえば、使うのは今回が初めてだった。これまではお守りとして持っていただけだった。

 

使ってみて、雪があったりなかったりの今回のような場合では、軽アイゼンがピッタリだったと思う。それに危険度もかなり下がったと思う。使ったことはないが、ほとんどの人はチェーンスパイクを使っていた。こちらも同じだろう。

 

今回も頑張って歩いたつもりだったが、歩行時間はほぼ標準タイム。やはり雪道では時間がかかることがよくわかった。

 

では、このへんで

 

 

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