久しぶりに大山阿夫利神社に初詣に行った。
家内と息子たちに声をかけたら、家内と息子の一人がこれに応じた。
子供たちが小さい頃はよく一緒に行ったものだ。
それがだんだんついてこなくなり、しばらく間が空いてこんどはゴールデンウィークに運動のための大山登山(といっても下社まで)に数年続けて出かけた。しかしそれも途切れている。
大山登山の楽しみは、下山してからとうふ料理を食べることだ。
江戸の時代から大山とうふは名物となっているのである。
今回は初詣をして大山とうふを堪能したという話。
バスの車内放送で落語家の大山案内
車で行っても駐車するのに苦労することはわかっているし、それに車は日本一周するときにやめてしまっている。
それでバスに乗っていったのだが、なんと車内放送で地元出身の落語家[金原亭馬玉(きんげんていばぎょく)]さんが案内をしてくれた。
神奈中バスも粋なことをやるものである。
金原亭馬玉さんというのはこの放送で初めて知った。
車内放送で「地元出身の噺家」というので、えっと思った。実は、伊勢原出身の噺家は他にもいて、それが中学の同級生なのである。
いちおう宣伝させてもらうと、三遊亭遊吉といって真打である。
それはともかく、大山直行のバスが増発されていて、その車内放送で料金の支払い方法や所要時間などの説明があり、それに加えて行きのバスでは落語『大山詣り』を聞かせてくれ、帰りのバスでは小噺を3つだったかやってくれた。
小噺を思い出してみると、父親が子供にダイビングの写真を見せる話、注文した冷蔵庫がカタログと違っている話、奥さんが旦那に週に一回外食に行こうという話、というのが記憶にある。
あとは観光案内で、大山ケーブルや大山コマ、大山とうふの紹介、近くの日向薬師の案内などがあった。
伊勢原駅から大山ケーブル(終点)までの約20分間、通常のバス料金で楽しませてくれた。
男坂で阿夫利神社下社まで、下りは女坂
バスは終点の大山ケーブルに近づくと、車の長い列ができている。バスは対向車線を通って渋滞している車の横を登っていく。
バス停は大山ケーブルなのだが、大山ケーブルの駅まではコマ参道をかなり登っていかなければならない。
そしてその大半がケーブルカーに乗る。
我々はその横をすり抜けて登山道をまっすぐ進んでいく。
男坂と女坂が分かれるところ(追分)に神社がある。今回初めて気がついたのは、その神社に「追分社 八意思兼神社」と書かれていることだ。
それは古事記を読んだから気がついたということなのだが、思金神(日本書紀では思兼神)とはあの天照大御神(同、天照大神)に天岩戸から外に出てもらう算段をつけた知恵ものだ。
なお、八意はヤゴコロと読むそうである。
そうして男坂の急な階段を登っていくと、なにやら読経の声がする。ときどき太鼓の音も混じる。するとこんどは法螺貝を吹く音まで聞こえてきた。おそらく護摩祈祷とその太鼓の音だろう。
それに加え、ケーブルカーのうなる音が大きくなってきた。
どうやら近くに大山寺があるようだ。ケーブルカーは大山寺の近くに駅があり、ここで登りと下りの車両がすれ違うのでしばらく停車するのである(という説明を金原亭馬玉さんがしていた)。
阿夫利神社下社の下の広場に着くと茶店が並んで建っている。それがオシャレな店に変身していて、ソーセージとビールを売っていた。店の前でソーセージを焼いているのでつい惹きつけられてしまう。
しかし、ここでビールを飲んだら下りが危ないし、トイレも近くなるのでパスをする。
そこからさらに石段を登ってようやく下社に到着する。
境内の中心には大きな薪を焚べた焚き火台があって、小さい火で燃やされていた。
本道に続く石畳の途中には茅の輪が立てられていて、参拝するのにそこをくぐっていく。
参拝した後、ぼく以外はおみくじを引く。二人とも大吉だった。
境内の端から下の方を見ると、江ノ島から三浦半島、そして遠く房総半島まではっきりと見ることができた。
さて、下りである。
女坂といってもけっこう急である。真っ直ぐに降りられずにゆっくりと下っているひとが恐縮し、脇に退いて我々を通してくれる。
その人は仲間に向かって足が痛いわけではないといっていたので、山に慣れていないということなのだろう。せっかくなのでお言葉に甘えてお礼を言いながら横を通り過ぎた。
そうやって急坂を下ると、大山七不思議の一つの赤い橋に着く。すぐその下は大山寺だ。
大山寺で目についたのは、犬の形のそして犬の顔が描かれた絵馬である。
みな上手に顔が描かれている。よくみるとそのなかに猫も混じっていた。
裏にはペットの名前を書き入れる欄がある。そういや犬を連れた登山者が多かったなあ。
奥の池に行ってみると、何とツララが。池も氷が張っていた。
大山寺の急な石段を下ると、そこからはなだらかな道になる。
とうふ料理
コマ山道を登るときにいろいろと店を眺めて歩いていた。そこの看板を見ながら昼はどこで何を食べようか。
冬でもあるし、猪鍋もいいなあ。
ところが今日は、家内のお腹の調子が悪いらしい。昨夜美味しい肉をたくさん食べたとのこと。
それじゃあやっぱりとうふだね、ということでお気に入りの豆腐料理の店にいく。そこは大山ケーブル駅の少し下にある「小川家」というとうふ会席の店である。
ここはだいぶ昔、初めて大山のとうふ料理を食べにきたところで、ここまで車で入ることができる。
その後、他の店にもいくつか行ってみたが、やっぱり小川家がいいということになった。
店にいた若い仲居さんに予約はしていないが入れるかと聞くと、通りかかった年嵩の仲居さんが「入れますよ」とのこと。
ちょっと贅沢ではあったが、久しぶりのとうふ会席はやっぱり美味しい。とうふづくしなのにまったく飽きない。それにもう腹いっぱいだ。もちろんビールも飲み上機嫌でバス停に向かった。
最後に
定年前は正月は酒を飲んでぐだぐだしていることが多かった。
それが、日本一周をしてみて元旦から運動をしている人や暗いうちから初詣に行く人、あるいはしっかり観光している人などをたくさん見かけた。
正月は酒を飲んでゴロゴロするのが当たり前のように思っていたのはどうやら怠け癖がついていたようだ。
今年は家族で登山をし、ついでに初詣も行えたことに感謝しよう。
では、このへんで
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