大晦日。
コンビニにお金を下ろしに行った。
近場だけど自転車で行く。
ルイガノMTBに乗ると、ハンドルがスムーズに動かない。
タイヤを見るとだいぶ空気が抜けていた。
今日は晴れているけどとても寒い。
コンビニに行ったら少しMTBの練習でもしてみようかなんて気持ちはもうなくなっていた。
それでも家の前ですこしスタンディングの練習をする。
おや、前よりも安定していられる。
力を入れてバランスを取っていた。それが、力を入れなくてもバランスは取れることに気づく。
わりと上手くできたのは、空気圧が低かったためだろう。
それでもうれしい。
なんの役に立つわけでもないけれど、できなかったことが、少しでもできるようになるというのはただ単純にうれしい。
田所さん
年末に読んだ吉本ばななの短編小説『田所さん』(文春文庫『体は全部知っている』所収)の田所さんが、大晦日にぼくのそばにもいてくれた。
田所さんは特にこれといった仕事もしていないのに、みなの心の片隅にいつのまにか棲んでいる。
ときにはストレスのはけ口になることもあるけれど、それでもこころの拠り所となっている。
田所さんはどこにでもいる。
田所さんに向かって悪口を言うと、なぜか自分のこころが傷つけられる。
だから再び仲良くなろうとする。
でも、あやまらない。
あやまればもっと幸せになれると思うのにそれができない。
ただ、田所さんのご機嫌を伺うだけだ。
今日はそんな田所さんがぼくのそばにもいた。
ぼくは田所さんのご機嫌を伺っていた。
この1年、やろうと思っていたことがほとんどできずにいた。本当はすべて自分のせいなのにそれを田所さんのせいにしていた。
できなかったことを嘆いても始まらない。
でも、その代わりに違うことはやってきた。ねえ、田所さん。そうでしょ。
田所さんは何も話さないが、ぼくにはわかっている。こころの中では「そうだね」といってくれている。
できなかったことじゃなく、できたことに目を向けたらいい。
きっと、そうも思っている。
ただ、それを口に出しては言わない。
人から教えてもらったって自分のこころがそのことを理解できなきゃ意味がない。
頭でわかることと腑に落ちることとは別なのだ。
田所さんはみんなのそばにもいる。
「田所さんって、何なのですか?」
そうやって他の人に聞いてみても、だれも本当は何なのかよくわかっていない。
けれど田所さんは、ただそこにいるだけでいいのである。
なにもしなくてもただそこにいることが、一人ひとりのこころの支えになってくれているのである。
今年の目標は
年頭に当たり、今年の目標は・・・
毎年それを繰り返してきた。
そうして毎年、目標が達成されなかったことで自分を責めることになる。
ただ、目標は目的のためにある。
目標は目標、達成されなくたってかまわない。
目的に沿って生きているかが大事なのだ。
令和4年の目標は、いや今日からはずっと1日1日を悔いのないように過ごしたい。
皆さま、今年もよろしくお願いいたします。
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