Hakuto-日記

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中高年のUL(ウルトラライト)登山について (その2)

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前回は、中高年の場合、軽量化するために機能をどこまで落とせるか、妥協点をどのあたりに置いたらよいか、というところで終わった。
 
そこで今回は、これに対する個人的な見解とその考えに基づいて選んだ用具について説明したい。
 
前回の記事はこちらから。

中高年にとってのUL

 
最近になって再び登山をするようにはなったが、まだまだ足馴らしの領域で、近場の丹沢、それも前衛の低山ばかりを歩いている。
 
つまり自宅から日帰りで行ける場所である。当然荷物は軽い。だから、特段ULを考える必要などない。
 
しかし、そろそろ遠くの山や泊まりでの山行にも挑戦したい。
 
小屋泊まりで行くことも考えたが、コロナ禍ということもあり、また、最近は閉じてしまった小屋もあると聞く。そこで、テント泊にすれば人と接することが少なくなることに思い至った。
 
そうなると、テントだけでなく、マットやシュラフ(小屋泊まりでも必要)が必要となり、さらに水や食料もそれなりに必要となる。
 
ところが一般的に中高年になると体力が衰えてくる。もちろん僕もそうである。
 
だから、「より軽く、より遠くへ」だとか「より軽く、より早く」ということとは関係なく、単純に荷物は軽いほうがいい。
 
他の登山者はどのように装備の軽量化を図っているのだろうか。
 
それを知るためにYouTubeで様々な登山の専門家や一般の登山者の意見とその登山用具を参考にさせてもらった。
 
そうした意見などを聞きながら、中高年にとってのウルトラライトという視点で考えてみた。
 
そうして考えた結果は次の3点である。
 
1 総重量はできるだけ軽くする
2 必要な登山装備は削らない
3 体の疲れをサポートする装備や機能はできるだけ取り入れる
 
こうした基準で装備を揃えることにした。
 
ではこの基準をもうすこし詳しくみていきたい。
 
1の総重量をできるだけ軽くするというのは、軽ければよいということではないということ。
 
なぜ、登山をするかということにもつながるが、「登頂を目指しはするがゆっくり登山をたのしむ」ことを目標にしたいので、急がず安全に登山をしたいということである。そのためには体力に見合った重量かそれよりも荷物を軽くしたいということである。
 
 
つぎに、必要な登山装備は削らないというのは、とにかく安全な登山をするということである。
 
一番大切なのは安全である。だから遭難しないために必要な装備を削らないということ。たとえば怪我や病気に対する救急セットや非常時に使うホイッスル、火起こし道具、防寒着などである。テントを持たない山行の場合はビバークするためのツェルトも忘れてはならない。
 
 
3つ目の体の疲れをサポートする装備や機能というのは、第1にしっかり睡眠がとれるようにするということ、そして体の負担を軽減してくれる便利な用具や機能は取り入れるということである。
 
睡眠というのは疲労回復のために最も重要である。睡眠を妨げるものには気温や音、地面の状況、雨による浸水などがある。つまり浸水しないテントを選び、地面からの冷えや凹凸、背中が痛くならない硬さやカサカサ音などが少ないマットを選ぶ必要がある。
 
当然シュラフも高山の朝晩の寒さに耐えられるものが必要になる。
 
また、トレッキングポールは転倒や足の負担を軽減してくれるし、ツェルトのポールがわりにもなるので必携だ。
 
ザックについても、より体にフィットし重さを感じにくくする工夫が施されているものをできるだけ使いたい。
 
つぎは、こうした考えをもとにした用具の選定について紹介したい。
 

ザック選び

https://www.yamatomichi.com/wp-content/uploads/2019/02/2021_Mini_Gray_Color.jpg

山と道MINI 395g (出典:MINI | 山と道 U.L. HIKE & BACKPACKING)

 
パーティー縦走やアルピニスト登山とは無縁ではあるが、やはりテント泊の縦走では70リットルくらいの大型ザック、小屋泊まりで40リットルくらいのザックというのが当たり前であるというイメージをもっていた。
 
また、以前使っていたのは70Lくらいのミレーのザック、40Lのカリマーのザック、そして25L程度の同じくカリマーのザックである。
 
現在も使えるのは、日帰り登山あるいはアタック用のピナクルという25Lくらいのザックである。
 
そこで今回、テント泊最大2泊程度を想定してザックを選んでみた。なお、テント泊登山で必要になるものとして、次の登山用具も合わせて検討した。
 
1 テント
2 マット
3 トレッキングポール
 
なお、シュラフについては手持ちのもの(夏用と冬用)でなんとかならないか検討中である。
また、マットについては種類が多く、値段の幅も大きいためいまだに結論が出ていない。
 
ザックを購入するにあたりいろいろ調べてみると、昔とはずいぶん変わったデザインのULザックがたくさん出ている。
 
現在、ULのザックは30Lの容量で600g程度から1kgのものを言うことが多い。山と道からは395gのものも出ている。これまでのザックは同じ容量では1.5kg前後だった。
 
昔のデザインと変わったというのは、最近の傾向としてはロールアップ式で雨蓋が省かれているものが多い。
 
そして、これまでメーカーが工夫して付けられてきた、重い荷を長時間担いでも苦にならないための機能(背面フレームやヒップベルトなど)が省かれているものも多くみられる。
 
こうしたザックは、若い人で体力がある人向けなのではないか。荷物を軽くし、スピード登山で長時間背負わなければ、多少背負いにくくてもあまり問題はないという考えのもとに作られていると思うのである。
 
ところが、中高年とくに高い方になると、いくら荷物を軽くしても必ずしもスピード登山ができるわけではない(中には猛者もいるが)。つまり、条件の一つを満たさないのである。
 
そこで結局行き着いたところは昔ながらのデザインで、材質などの見直しで軽量化を図ったものであった。
 

選んだ結果

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それは、カリマーSL35type2というものでヒップベルトや背面パネル、それに雨蓋も付いていて重量は920g、付属のレインカバーが70g、合わせて990gと軽量である。
 
デザイン的に真新しさはないが、これまで主流だったザックと同じ機能が備わっていてそれぞれの体に合わせてフィットさせることができる。
 
また、背面高が自分の背中の長さに近いことも重要だ。SL35type2は47cmある(type1は42cm)。背中の長さより背面高が短いとザックを腰に乗せることができないので肩に負担がかかる。
 
中高年がザック選びをする場合、とくにこの背面高は重要で、あまり短いものはお勧めしない。
 
そうするとザックの大きさは多少大きくならざるを得ないが、大きなザックは転倒時に背中や頭を守ってくれる役割も果たすことを忘れてはならない(以前転倒してザックに助けられた経験がある)。
 
実はもう少し大きなザックでもよかったと思っている。軽量化は図るがコンパクトにすることに拘るべきではないと考えている。
 
寝袋や防寒着など、ぎゅうぎゅうに小さくしてもしなくてもザックに入れた重さは変わらないのである。
 
それでも今回はザックの軽量化を考えて35Lのザックを選んだわけであるが、不思議なことに老舗のザックメーカーなのになぜか紹介されているサイトがひとつも見当たらなかった。
 
なんとか同じ老舗のミレーのザックは紹介されていたが、あとは新興のメーカーばかりであった。どれも新鮮なデザインで見ていると欲しくなってくるが、ここはぐっと抑えて王道のデザインを選んだ。
 
それに、以前カリマー製品を使っていて、とても背負いやすかったことで安心感があったこともカリマーを購入するに至った要因でもある。
 
 
以上、中高年のザック選びについて個人的な考えを述べた。
 
本来は他の装備を揃えてからその大きさに見合ったザックを選ぶほうが理にかなっているわけだが、その他の用具と同時に調べていて、たまたま気に入ったザックを見つけてしまったのである。
 
先日、日帰り登山に使用してみたが、背中が蒸れることもなく大変背負いやすかった。ちょっと使いづらく感じたのは、底が平らではなく斜めになっているので自立しないことである。
 
ちょっと荷物を下ろしてザックから何かを取り出そうとするときに安定しないのである。このあたりは何か工夫が必要だ。
 
なお、この日ザックと共にトレッキングポールも使用しており、初めての使用感について書いているので、その記事も合わせて読んでいただけたらありがたい。
 
 
ちなみにトレッキングポールは、収納サイズの短いHelinox(ヘリノックス)のLBB -120が欲しかったのだが、すでに在庫があるところはなかったので、2番手として選んだのがモンベルのアルパインフォールディングポールであった。
 
 
今回はここまでとし、次回はテントについて考えてみたい。
 
つづく
 
 

 

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