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最近の登山は、ULの傾向にあるようだ。
ULとはウルトラライト、徹底的に荷物を軽くするということ。
さらに荷物もコンパクトにまとめ、小さなザックでテント泊までを行おうというわけである。
軽いということはいいことだ。
ただ、ここでいうULとは荷物を減らすことではなく、荷物の軽量化を図るということである。
さて、荷物の軽量化にあたり、中高年はどういった点に気をつかけたらよいのだろうか。
ウルトラライト
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中高年、特に高年の方に属する方々にとって、登山といえば大きくて重たい荷物を背負って苦しみながら登るのが登山であるというイメージがあると思う。
昔そうやって登っていた方々のなかには、大学の山岳部などで先輩からしごかれ、ときには石などをザックに入れさせられて、訓練と称してわざと重たい荷物を背負わされたことなどを自慢げに話しておられる方もいるであろう。
昔はパーティーといって、グループで登山することが多かった。とくに大学の山岳部ではそういったの登り方をしていた。その延長線上にヒマラヤなどの海外登山があった。
一方、そういった縦走登山とは別に、岩登りに夢中になる人たちもいた。そうした人たちは国内では新しいルートの開拓を競い合ったり、ヨーロッパアルプスを目指して3大北壁(アイガー、グランドジョラス、マッターホルン)に挑戦したりした。
女性で初めて3大北壁の登頂に成功したのは今井通子さんだ。『私の北壁』などの著書があり、「すごいなあ」と思いながら読んだ。また、今井さんは新田次郎の小説『銀嶺の人』のモデルでもある。
3大北壁の冬季単独登山を成し遂げたのは長谷川恒男さんだ。『岸壁よおはよう』などの著書があり、グランドジョラス北壁の登攀の様子は映画(『北壁に舞う』1979年、松山善三監督)に収められている。
こうしたアルピニストの登山はできるだけ荷物を最小限にして登っていた。
ULというのは、こうしたアルピニスト登山の用具の改良による軽量化に近いものではないかと考えていた。
しばらく登山から離れて、最近の登山事情に疎くなっていたが、高年となった最近になって再び登山を始めようとしたところ、こうした登山スタイルがガラッと変わっていることがわかった。
それは、最近始まったことではなく、そうした傾向がみられてからだいぶ経っているようだ。
ウィキペディアによると
ウルトラ・ライト・バックパッキング
ウルトラ・ライト・ハイキングとも。90年代後半にアメリカのレイ・ジャーダイン(Ray Jardine)によって提唱された「極限まで荷物を軽くすれば遠くへ行ける」という考え方である。
となっていて、アメリカからこうした考えが始まったらしい。
日本でも少なくとも10年以上前からこうした考えが取り入れられて、登山関連メーカーが軽量化した製品をどんどんと開発してきている。チタンの加工技術の発達などの影響などもあると思う。
こうした考え方に加えて、ライト&ファストという考え方をする人たちもあらわれ、「より軽く、より遠くへ」から「より軽く、より早く」ということで、忙しい現代人が短い期間で登山を楽しむということから生まれたようである。
縦走的ウルトラライト
一応、ウルトラライトの定義なるものも存在するらしい。
それは、ベースウェイト(水、食料、燃料を除いたバックパックの総重量)を4.5kg以下にしておくことのようだ。
荷物を軽くする方法として、機能を落とさずに軽量化する方法と多少機能を落としてでも軽量なものを使うという方法がある。
多くの人が機能を落とさずに軽量化できればそれが一番だと考えると思うが、それにも限界がある。軽量化しすぎると耐久性が落ちてしまうことになりかねない。
そう考えると、アルピニスト的なULと縦走の場合のULとでは選ぶ装備が違ってくる。アルピニストの場合、機能を落とすことはできない。それは死に直結するからだ。
だから、これは縦走的ULについての個人的な考えである。
装備の軽量化にあたり、コストという面も重要なファクターになる。総じて機能的で軽量化したものはコストが掛かっている。つまり高価である。
お金がじゃぶじゃぶ生み出せる人ならなんら悩むことなくそうしたものを使うことができるだろうが、僕のような庶民ではそうはいかない。
それでも高価なものを使おうとするには、その価値に見合った使い方ができるかを考える必要がある。いわゆる費用対効果というやつである。
また、機能を落としていくというのは、例えばテントなら、フライシート付きの構造で室内が広ほど快適性がますが、その機能を落としていくと、室内を狭くしたり、フライシートなしのシングルウォールにしたり(結露しやすい)、テントからツェルトに変えるという方法がある。
そうしたことの妥協点を中高年はどこに見出したら良いかということなのである。
この先を続けると長くなりそうなので今日はここまでにします。
つづく
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