Hakuto-日記

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長い長い尾根道と稜線を行く 蝶ヶ岳から常念岳往復 その2

最終日の上高地 (河童橋から)

前回は上高地に着いて、徳沢から蝶ヶ岳に登った1日目を書いた。

今回は2日目と3日目、蝶ヶ岳から常念岳を往復して下山するまで行程の残りについてを書いていく。

雨には降られたが、いろいろと面白い出会いがあり、思い出に残る山行だった。

 

challe.info

 

蝶ヶ岳から常念岳

蝶槍 標識がないとそのまま通り過ぎてしまいそう


夜半から雨が降り出す。そえに加えて風がテントを揺らし、なかなか熟睡するのは難しかった。

未明の3時45分に起床。暗闇とガスの中でトイレに向かう。昨日夕暮れを見に行ってよかった。近くしか見えないのである程度間を頼りに進んでいった。

 

朝食を済ませ、登山準備をする。留守の間にテントが飛ばされないように、中に石を入れておもりにする。張り綱もピンと伸ばし、さらに石を積み上げて補強した。

ぼくの前に張られていたテントは既に消えていた。20代の女性が一人で来ていたが、2人用のテントを使っていた。大きな音も立てずに撤収しているのでもうかなり経験を積んでいるのだろう。

5時20分、いざ出発。

ガスはかかっていたが、夜が開けるにしたがって行く先は見通せるようになった。濡れるといけないので既にレインウェアは着ている。

ガスの中の先行者

前方を人が歩いていた。なかなか絵になる。起伏が少ないので楽勝だ。前方を行く人が休んでいたので追い越させてもらう。

すると小雨程度の雨が降り出した。ちょうど横尾へ行く分岐に差し掛かったところでザックカバーをかけることにする。

さっき追い抜いた人がやって来てレインウェアを着はじめた。軽く会釈をして歩き始める。

 

横尾分岐

少しして小高い岩場があり、そこを登ると蝶槍の標識があった。もうちょっと尖っているのかと思っていたので拍子抜けした。

一応ここで写真を撮る。後からさっきの人が登ってきた。

まだ写真を撮りたかったので少し戻ったところで道を譲ろうとした。

 

するとその人はそこで立ち止まり、

「今日はどちらまで行かれるんですか」と話しかけてきた。

「今日は常念岳を往復です」と答える。続いて「大きな荷物ですね、どちらまでですか?」と訊くと

「今日は常念小屋に泊まる予定です。太天井まで行く予定ですが、台風が近づいているようなので、過ぎるまで小屋に居ようかと思っています」とのことだった。

台風接近のニュースは知らなかった。天気予報は聞いていなかった。

 

その人は40歳前後の男性で、大きなザックを重そうに背負っていた。長期に縦走のときは、荷物を軽くするために水はなるべく水場で確保するようにしているなどということを話してくれた。

 

急坂を下ると樹林帯に入る

 

 

登山道脇に池があった

蝶槍の岩場を下り、なだらかなところを少し行くと急な下りになる。初めはハイマツ帯を行くが標高が下がると樹林帯になる。

この稜線の低い場所には高山植物の咲き乱れるお花畑だった。

再び登り返しながらしばらく樹林帯の中を行く。登山道脇に池があったり、ところどころ道がぬかるんでいた。

 

再び上りになり、標高が上がっていくと突然背の低いハイマツ帯に変わる。さらに登ると、ところどころに草があるばかりにになった。

 

樹林帯を抜ける

そこを登ると向こうに岩肌が露出した蔵のようになっているところが霧の中に見え隠れする。その先が常念岳だと思いたいが、実はその向こうにピークがある。

ここでストックをしまい、急なところは手を岩について慎重に下る。

一番下までくるとこんどは岩場をどんどん登っていく。ところどころザレ場があってすべるので要注意だ。

 

岩場の小さなピークから常念岳の方を見ると

 

ガスが流れている

岩場は上部では左に巻いていて岩に書かれたペンキが頼りである。

この左に巻く手前の登りで、先行する人がさらに上の人に声をかけた。

「そっちはコースから外れてるよ」

 

見れば女性二人が苦戦して登っている姿があった。

二人は気づいてこちらに向かってきて僕の目の前に出てきた。

二人目の女性にコース手前の不安定な場所で「岩を落としそうなのでお先にどうぞ」と言われたが、

「落としたらここで止めるからどうぞ」と言って見守った。

 

赤いペンキが頼り

赤いレインウェアと黄色を着た二人を追い越して登っていく。

左に回り込んでそれほど歩かないうちに目の前に標識が現れた。そこに常念岳とあった。9時15分だった。

さらに大きな岩が重なったところに乗るとそこがピークだ。

 

あっけなく常念岳に到着

常念岳山頂の標識は倒れていたので起こして自撮りしていたら、さっきの赤と黄色の二人が登ってきた。

「写真を撮りましょうか」と黄色の子が言った。それじゃあと祠の前に座ろうとした時に、祠の屋根に「常念岳 標高2857m」と彫られた板が貼られているのに気づいた。

 

黄色い子に撮ってもらった写真

今度は二人の写真を撮ってあげる。

すると赤い方の子が

「もしよかったら、おにぎり食べませんか。」と突然言った。

 

もう腹ペコで、ここで行動食を食べようか、雨なので持ってきたリゾットを食べるためにお湯を沸かすのが手間だ。水でも食べられるがそれは非常の時にして、などと考えながら歩いてきたのだった。

 

「えっ、いいの?」

「そんなにたくさん食べられないので。もしお腹が空いてたら」

「腹が減ったのでなにか食べようとしていたところ」

それじゃあと、どこか食べるのに良い場所はないかということになり、登ってきた稜線の反対側は風がこないと思うといって反対側の方に行ってみると、岩の重なりの下にちょうどよく平らな場所があった。

 

そこに移動すると風はピタッと止んだ。おまけに雨も一時的に止んでくれたので実にちょうど良いタイミングだった。

 

二人は大学生か、大学を出たばかりくらいに見えた。

おにぎりはヒュッテで作ってくれたもので、朝の分と昼の分の二つあり、蝶槍で朝の分を食べ、赤い方の子は二つあったおにぎりをひとつしか食べなかったということだった。

そこでおにぎりとウインナー2本とをもらって一緒に食べた。

 

聞けば北アルプスは初めてで大阪から来たという。蝶ヶ岳ヒュッテに泊まって常念岳を往復するというので、ぼくと同じコースだった。どうして今回のコースを選んだのかと訊いたら、初心者向けのコースとなにかに書かれていたからだという。

 

「サークルにはいっているの?」

「はい、入っていますが、あんまり参加してなくて」

「それじゃ、いつも二人で別行動?」

「はい、だいたいそうです」

 

「靴の中は濡れていませんか」と訊かれたので、とくに濡れてないけどと答えると

「わたしは靴の中がびしょ濡れなんです」と赤い方の子が言うと、黄色の子も

「わたしもびしょ濡れです」とのこと。

赤い方の子が靴を前に出して見せて

「もうずっと履いているので穴が空いちゃって。年季がはいっているんです」。確かにつま先に穴が空いていた。

 

 

常念岳から蝶ヶ岳

山頂には30分ほど滞在し一緒に下山を開始する。

登りの時にコースをそれるなどちょっと心配なので先行して様子を見ていると、赤い方の子はまだ初心者っぽく歩き方がぎこちない。黄色の方の子は歩き慣れているようだ。

なるほど、だから黄色の子はずっと後ろについているのだなと思った。

 

下山開始直後、常念岳山頂を振り返る

蝶ヶ岳ヒュッテを出発したのもぼくが出発した1時間前で、常念岳まで5時間かかっていることになる。こちらも特に急ぐ必要がないのでヒュッテまで一緒に歩くことにした。

 

下り始めてすぐに、赤い方の子の靴底が剥がれた。つま先だけかろうじてくっついている。剥がしてしまうと柔らかい素材だけになるので、この岩場を歩くのは大変だ。

何かいいものはないかと考えた。テーピングテープが使えるのではないかとザックから出して巻いてやる。どうやらなんとかなりそうだ。右側も剥がれかけていたがどうにかまだ少しは持ちそうだった。

 

この先で靴底が剥がれる

歩きながらときどき登山靴やレインウェアの話をした。話すのはたいてい赤い方の子だ。登山靴は大きめが良いのかと訊かれたので、「ピッタリがいいよ、ちゃんといつも履く靴下に合わせてね。お店でじっくりと歩いて試した方が良いよ」とアドバイスする。

 

しばらくしてその赤い方の子が辛そうに歩いていた。黄色の子が「この子、足が痛いんです」と言った。膝が痛いのかと訊いたら靴の履き口が当たっているのだと言う。すると赤い子が

「靴が合わないのかしら」と言った。

一同、えっと思う。

「ここまで履いていて言うのもなんなんですけど」と付け加えたので大いに笑った。

 

その後雷鳥に出くわした。確か例の鞍部を超えて樹林帯に入る手前だったと思う。

雷鳥は雛を3羽つれていた。クークーと鳴き声がかわいかった。

 

雷鳥をビデオに撮る(これはビデオからの写真)

そういえば、常念岳を下山し始めた直後に蝶槍で話をした人が登ってきたので気をつけてと挨拶した。

 

同じ頃、黄色のレインウェアの青年が小さなザックで歩いていて、「遅いからお先にどうぞ」と言われて追い越したが、その青年が少し離れてずっとついてきていた。

休憩していると先に行こうとしたので「一緒に休憩しませんか」と声をかけた。

 

彼のコースを尋ねると、中房温泉から燕岳に登り、大天井岳、常念岳と来て、蝶ヶ岳に向かっているところだという。昨日は常念小屋に泊まり今日は蝶ヶ岳ヒュッテに泊まるということだった。

なるほど、小屋泊まりなのでザックが小さいと言うわけだ。見たところバリバリの登山者には見えず、街の中を歩いているような雰囲気だった。

 

14時20分。蝶ヶ岳ヒュッテに到着した。ここで翌日のためにテーピングテープをあげることにした。お礼を断って、記念写真を撮らせてもらうことにした。

すると、後ろを歩いてきた青年も到着したので、そのお兄さんにシャッターをお願いした。

蝶ヶ岳ヒュッテの看板の前まで移動して写真を撮ってもらい、ついでにお兄ちゃんと女子たちの写真も撮ってあげた。

そうして「またどこかで会えるといいですね」と言って別れた。

 

赤、青、黄色

 

テント場に戻ると、果たしてテントは無事だった。張り綱もピンと張られており、出かける時にしっかりとチェックしたのが良かったようだ。

夕方少しの間霧が晴れて常念岳や槍ヶ岳が見えた。夜になって風雨が強まり、テントが凹んで寝ている体がテントの壁に押されてあまり眠れなかった。

 

もうほとんどテントがなくなっている(テントの中から)

 

ヒュッテで買った缶チューハイとおはぎ

 

蝶ヶ岳から下山

翌朝、日が登る前はガスがかかり、今日も1日ダメかと思ったが、明るくなるとともに次第に晴れてきた。

6時10分にテントの撤収を終えてテント場から一段上の登山道にでると向こうに槍穂高の稜線が望まれ、その上自分のブロッケンを見ることができた。

これまで高原では見たことはあるが、山頂で見るブロッケン現象は特別なものがある。

 

ブロッケン現象

早朝の槍ヶ岳

 

下山を開始して1時間ほど経ったところで昨日の赤と黄色の女子に追いついた。今日はTシャツ姿だったが一方の子の靴にはテーピングがしてあった。

朝露に濡れないためにレインウェアを着ていたが、もう必要がなくなっていたのでそこで脱ぐことにして、先に下ってもらった。

 

30分ほどして再び追いついて、それから少し一緒に下った。靴底が剥がれた子は、徳沢まで下りたらサンダルに履き替えるつもりだという。そして上高地で友人がアルバイトをするので会う予定にしていたところ、急遽営業が取りやめとなったので会えなくなったと言うことだった。

 

帰りも高速バスとのことで、1時半発というのでぼくの30分後だ。

しかし、今のペースだと昼を食べている時間がなくなるだろうと思われた。

 

30分ほど歩いて休憩していると、写真を撮ってもらったお兄ちゃんが追いついてきた。

本当は遅いから道を譲ってくれたのではないことがわかる。昨日は時間調整のためにゆっくり歩いていたのだろう。

 

彼が先に行ってしまい、別れるタイミングを失ったので、それから次の休憩まで一緒に歩く。そこで「またどこかの山で会えたらいいですね」と言って二人と別れた。

 

8時25分、2000mの平を通過し、9時6分徳沢に到着。ここでトイレに入って出てきたら急に当たりが暗くなっていた。その後すぐに雨が降り出す。

明神に着く頃には雨は上がり、また晴れ間がのぞいた。小梨平からは梓川沿いを歩いて11時8分に河童橋に着く。

 

小梨平からの焼岳



梓川と穂高連峰

ここでTシャツに着替え、スパッツを外すなどバスに乗る準備をする。

11時半に上高地バスターミナルに到着し、ここのレストランで食事をする。

事前に調べておいた上高地食堂の上高地定食をいただく。

腹が減っていたので食べ終わってから写真を撮るのを忘れたことに気がついた。

食後に一階の売店で買った五一ワインを飲みながら、青空の下、バスの発車時刻までベンチでのんびりした。

 

上高地食堂HPより

メニュー | 上高地のランチ・朝食に 上高地食堂【公式】

 

 

 

最後に

常念岳往復は天候に恵まれず景色は楽しめなかったが、なかなか面白い山行になった。

このあと、バスは台風が来ている関東に近づいていく。

諏訪湖SAでは小雨だったのが談合坂SAでは本降りとなり、そこから次第に雨脚が強くなっていく。

不思議なことに渋滞もなく、バスは順調に渋谷に到着。誰も降りなかったので終点の二子玉川に向かう。

そして6時頃、二子玉川ライズ 楽天クリムゾンハウスに到着した。予定より50分も早い到着だった。

そこから駅までわずかながら外を歩かなければならない。

折りたたみ傘が壊れそうな雨と風の中を駅まで向かう。

幸い、電車を降りる頃にはもう雨は上がっていた。

 

では、このへんで

 

 

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