[Bruno /GermanyによるPixabayからの画像]
新型コロナウイルス感染がますます拡大しています。
けれど、ずっと家に閉じこもっているわけにもいきません。
どうやって身を守って暮らしたらよいか。
つまりどうやって感染を防ぐか、あるいは感染しても軽い症状で回復するにはどうしたらよいか。
それは、「攻撃的な体力」と「防衛的な体力」を使い分けて備えるということです。
体の活動のエネルギーが「攻撃的な体力」。
そして、病気にかからない体にするのが「防衛的な体力」です。
今回は、防衛的な体力の免疫システムについて理解していこうと思います。
体力をコントロールしているもの
私たちの体力をコントロールしているのは次の3つと言われています。
- 自律神経
- エネルギー代謝
- 免疫
です。
人の体はなるべく普通にしていた方が良いのだそうです。
それがからだ本来の仕組みで、ホメオスタシス(恒常性)が働くようです。
ですから、激しい運動や働きすぎ、逆に何もしないで動かないなどという極端な生活は体の不調を招きます。
体が活動する際のエネルギーを供給するのがエネルギー代謝です。
これがうまく機能しないと疲れが出ます。
食べたり呼吸をして細胞の中にあるミトコンドリアがエネルギーを作り出します。
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免疫はこうした食べ物や酸素を取り込むときに一緒に入ってくる細菌やウイルスなどの外敵や異物、そして感染したり死んでしまった細胞やがん細胞などの異常な細胞などを撃退し、体を防御してくれるシステムです。
そして、これらをコントロールしているのが交感神経や副交感神経の自律神経です。
今回は、体を外敵や異物から防御してくれている免疫システムについて理解していこうと思います。
免疫システム
免疫とは感染症を免れるという意味です。
この免疫は白血球という細胞の中にあります。白血球の中にあるマクロファージ、リンパ球、顆粒球、樹状細胞などです。
顆粒球はおもに大きなサイズの外敵を攻撃します。
攻撃の方法は、細菌や死んでしまった細胞を食べることによって行います。ですから貪食細胞とも呼ばれます。
この顆粒球は白血球の中の5、60%を占めます。
次に多いのがリンパ球(35〜41%)で細かいサイズの外敵を攻撃します。リンパ球にはT細胞、B細胞、NK細胞があります。
そしてマクロファージ(5%)は、顆粒球より大きなサイズの外敵を攻撃したり、体の老廃物を除去したり、外敵が侵入したことを他の免疫に加勢するように指示を出したりします。
なお、交感神経が優位なときは顆粒球が増え、副交感神経が優位なときはマクロファージやリンパ球が増えます。
このほかに樹状細胞が皮膚や鼻腔、肺、腸管などにいます。病原菌を取り込むとからだ中を巡ってリンパ球に情報を伝えます。
ふたつの免疫
免疫は「獲得免疫」と「自然免疫」に分けられます。
「獲得免疫」は生物が進化の過程で新たに獲得されたのでこう呼ばれます。
一般的に「免疫ができた」といいますが、それは抗体ができて再び感染しにくくなることで、このことを獲得免疫といいます。
しかし、抗体ができるまでには5〜7日かかります。
「自然免疫」は細胞の一つひとつに備わった免疫の働きで、細胞に備わったセンサーが病原菌を察知して、その侵入を防ぎます。このセンサーはTLR(トールライクレセプター)と呼ばれ、人には10種類あまりのTLRがあります。
異物を認識したTLRはサイトカインや抗菌ペプチドを分泌します。
サイトカインが分泌されると炎症を起こし腫れや痛みが生じます。するとそこにマクロファージなどが集まり、病原菌を攻撃して感染拡大を防ぎます。
抗菌ペプチドは病原菌を殺傷します。
体に病原菌が侵入してきたときに真っ先にはたらくのが自然免疫です。
病原菌を攻撃する流れ
病原菌が体内に入ってきたとき、初めに反応するのはマクロファージや顆粒球の中の好中球です。
そのときに取り逃がした菌については、マクロファージや樹状細胞がその情報をリンパ球のひとつのヘルパーT細胞に伝えます。
ヘルパーT細胞は、おなじリンパ球のB細胞に抗体を作るよう指示を出します。
この抗体ができると、同じ感染症にはかかりにくくなります。
このとき感染した細胞やがん細胞には、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)やナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)が連携してこれを攻撃します。
このように、自然免疫が働くことにより、感染の初期の段階で病原菌を排除でき、症状が悪化しないようにすることができます。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
「免疫力を高めよう」ということはよく言われていてその方法も情報があふれています。
たとえば、血流を滞らせないようにする。腹式呼吸で自律神経を整える。軽い運動をする。たっぷり眠る。体を冷やさないなど。
しかし、じっくりと免疫とは何かを考えた方は少ないのではないでしょうか。
私もそうでした。
そこで、免疫が活躍してくれている仕組みが分かれば、免疫を高める方法を習慣にしやすいのではないかと考え、じっくりと免疫システムについて学習してみました。
この記事があなたのお役に立てたら幸いです。
なお、内容に誤りがありましたらご連絡いただけたら幸いです。
では、このへんで
参考文献
「つかれない体を作る免疫力」(安保 徹 著 三笠書房)
「腸を鍛える」(光岡知足 著 祥伝社新書)
「生きている」を見つめる医療」(中村桂子、山岸 淳 著 講談社現代新書)
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