前回の続きです。
今回は熊野古道2日目、継桜王子から熊野本宮大社まで、さらに大社の旧社地である大斎原(おおゆのはら)を通って湯の峰温泉へと抜ける大日越ルートを進みます。
熊野古道2日目
朝6時50分宿を出発。今日も雨である。熊野古道に戻る道を教えてもらい、階段を登って上の道にでる。古道を歩き始めてすぐに継桜王子へ着く。ここで再びスタンプ台がどこにあるのか探してしまった。
継桜王子は小さいけれど立派な社がたっていた。そしてその前にしっかりした石段が作られていた。
そのちょっと先に秀衡桜がある。今は花が咲いていないのですぐにこれが桜だとはわからない。ただの枝だけという風にしか捉えられなかった。何か3代目とか書いてあったように思える。
続いて中川王子そして小広王子に行く。そこまではずっと舗装路であまり変化は無い。
小広王子の先から熊瀬川王子に向かうところで右手にある山道を下る。そこを降りると再び林道に出る。すぐ正面にトイレがあり、舗装路をさらに少し下ると川があってそこの橋を渡っていく。
橋を越えると急な登りが続く。山をどんどん登っていくと熊瀬川王子。少し手前に分岐があり、遠回りしなければならないのかなと思ったけれども、そこから少し降りると岩神王子へ続く道とつながっていた。
そしてそこから道はさらにどんどん上って草鞋峠を越えていく。なんだか山深いところに迷い込んだような感じだ。
峠の下りはやはり石が敷き詰めてあってよく手入れされている。けれども、逆に雨なのでつるつる滑って怖かった。ここの下りもかなり急で、下り切ると沢があり、そこに迂回路の分岐があった。時計を見ると9時15分だった。
そこから岩神王子を通って蛇形地蔵までの間は現在通行止めになっているのである。
迂回路は少し舗装路を歩く。左手の川を越えていくと、普通の登山道で明らかにいままでの古道とは違っていた。やはり古道は人が大勢通るために、手が加えられていることがよくわかる。けれど、迂回路もこれまでと気分が変わりなかなか楽しいものである。岩に着いた苔はとても見事で、また、転がっている岩が緑色をしているのが印象的だった。
ここもやはりひとつの大きな峠で、けっこう上まで登り、そしてまた下っていく。熊野詣ではともかく峠越えの繰り返しなのである。
蛇形地蔵を見つけて、熊野古道に戻ったんだなって気がついた。そこは、昔ながらの休憩所といった感じで、四阿もあって休憩ができそうだったけれど、昼飯を食べるにはまだちょっと早いので、次の四阿を見つけるまで我慢することにした。
迂回路から熊野古道に戻っても、やはり登山道のような道であった。山が深すぎて手が回らなかったのだろうか。
そこから少し下って橋を渡り、さらに少し行くと平らな場所に出た。平らではあるが、まばらに杉の木が立っていた。まだ若い木なので後から植えたものだろう。さらに奥へと進んで行くと、そこは湯川の集落跡で、湯川王子はそこからさらに奥へ進んだところにあった。
湯川王子の先から再び山へ登り始める。登山道をぐいぐいと蛇行しながら登っていく。そろそろ疲れてきてあまり足が上がらなくなってきた。どこかで休憩してお昼を食べたい。
途中で休憩して行動食と水の補給をした。
辺りを見回すと、杉の枝がたくさん落ちている。それは多分枝打ちをしているからだと思う。見上げるとかなり上の方まで払われていて、まっすぐそしてすっくと高く空まで伸びていた。そんな杉林が続く。
三越(みこし)峠の休憩所で昼食。大体11時15分ごろから11時50分まで。宿の方が作ってくれたお弁当はおいしかった。いろいろなものが入っていて楽しめた。大満足である。
最初は一人だったけど、お弁当を食べ終わる頃に女性の3人組がやってきた。出発間際には中年の夫婦連れが休憩しに入ってきた。残念ながら雨は降り続いている。
休憩所を出発して三越峠の舗装路から狭い山道に入ってずっと下りとなる。少し急いで下っていったら、昨日一緒だったオーストラリアから来た2人が先を歩いていた。追いついて挨拶する。その後、写真を撮ったりしながら後からついていく。
音無川沿いの道を進み、湯の峰温泉方面に向かう赤木越の分岐にあるトイレに彼らが寄ったので、その間に先に進む。
三越峠を沢の近くまで降りてくると、集落の跡があった。そこを抜けてあまり起伏がない道を進んでいく。そうして猪鼻王子まで少しずつ下っていく。そこから上り返して発心門王子に向かう。
発心門王子へは、いったん林道にでて、そこからさらに山道を登っていく。こうして登っていくと鳥居が見え、登り切ったところに発心門王子があった。
発心門王子からは舗装路になり、ゆっくり下っていく。その先に休憩所があり、そこには日暮れの時間が書いてあった。2月は5時45分。そしてそこから熊野本宮大社まで2時間半と書いてあった。そうすると今1時半なので、4時ごろには本宮に到着できる見込みだ。
水呑王子まで街の中を歩いていく。左に曲がる角のところに水呑王子があり、そこから石段が続いていて山の中に入っていく。
ここで再びカエルが現れた。鳴き声も周りでする。道の真ん中に出てきてじっとしている。保護色なのでよく見ていないと踏んづけてしまいそうだ。相当大きいカエルである
すぐに石畳が終わって土の道に変わり、そして再び街に出た。舗装路をしばらく歩いて行く。山の中と違い、風が強い。傘を差しているのが大変である。
近いはずなのに、なかなか次の伏拝王子に辿りつかない。街中を歩いていると山の中よりも遠く感じられる。
すると、左手に何か書かれた看板が見えた。読むと「ほんまもん」と言うドラマのロケ地で映像に映った地元の富士とよばれる百前森山の撮影ポイントだというので写真に撮る。そしてその先にロケ地の看板もあった。
ようやく伏拝王子にたどり着く。その前には休憩所があって、何やらコーヒーが飲めるらしいが、残念ながら今日はやっていなかった。
伏拝王子はもう石碑が風化して文字も読めず。そしてその隣に和泉式部の供養塔が立っていた。説明書きを読むと、和泉式部がここで月の障りとなり参拝を諦めようとしたところ、熊野権現が快く受け入れてくれたということが書かれていた。
この先トイレがないと言うのでここのトイレを借りる。出てくると例のオーストラリア人の2人がちょうど伏拝王子からの階段を降りてくるところだった。挨拶を交わし、ここからは彼らの後をついて歩いていく。
次の王子まであと3キロである。あと少し頑張ろう。今は2時半、順調にいけば3時半に到着できるだろう。
伏拝王子からは再び山道に入る。街の中は風で傘がおちょこになったりもしたけれど、山の中は風がほとんどなく、傘を差していても問題ない。
雨で水溜りがあったりはしたが、緩やかな下りで快調に進んでいく。すると小辺路への分岐の標識があった。ああ、ここから小辺路が始まるのか。いつかここも歩いてみたいなあと夢が広がる。
そして祓殿(はらいど)王子に参詣して、3時半に熊野本宮大社に到着。裏門の鳥居をくぐる。
本殿前に回ると、ここでもう一度オーストラリアの二人に会った。本宮に参拝し記念写真を撮る。
トイレを借りてから次の大斎原(おおゆのはら)に向かう。明治22年の洪水まではこの中州に本宮があったという。長い石段を下り切ったところで気がついた、スタンプを押し忘れた。果たしてどこあるのだろう。参道手前の鳥居付近を念の為探してみたが見つからない。仕方がない、もう一度登るしかない。
スタンプの設置台は階段を登ったトイレの入り口近くにあった。さっきこの前を通ったのに。急いで登ってきたこともあり、どっと疲れた。
もう一度石段を下り、道路を横断して大斎原に向かう。そこは平らな場所にあって大きな鳥居が聳え立っていた。ここなら遠くからでも見えたことだろう。熊野まで何日もかけて歩いてきてようやく目にする本宮。感慨もひとしおであったであろうことが実感できた。
通常ならここまでというところだが、今日の宿は湯の峰温泉。バスで行こうとも考えていたが、まだ時間が早いのと、バスの待ち時間が長いこともあり、歩いていくことに決めた。
午後4時半、大日越と言われる湯の峰温泉までの登り口についた。路線バスをやり過ごしてからここを登り始める。大日越というだけあって急な登りが続く。およそ300メートル弱の標高差がある。
この道は途中の月見ヶ丘神社まで石段がつけられているが、かなり荒れた印象だ。歩く人は少なそうだ。しかし、月見ヶ丘なんて名前がつけられている神社ってなんかいいですね。ロマンがある。
そして本日最後の王子、湯峯王子に午後5時20分頃到着。ここから本日の宿までおよそ10分。
2日間を歩いて
まだ終わっていないけれど、今日もよく歩いたし、よく歩けたと自分を褒めたい。
靴擦れやマメなどのトラブルもなく歩くことができたことに感謝。
そして今日は温泉付きの宿なのである。
温泉浸かって疲れを癒し、風呂上がりのビールでひとり乾杯。ああ、最高。
さて明日も頑張ろう。
つづく。
(出典:熊野古道 中辺路 – 田辺市熊野ツーリズムビューロー)
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