スーパーカブをプチカスタムした。
7月28日金曜日、そのバイクで木曽まで走って来た。
目的地は神坂(みさか)峠にある萬岳荘。
翌日、ここから恵那山を目指す。
スーパーカブで300キロ
我が家から神坂峠の萬岳荘まではほぼ300キロだ。
平均時速30キロで10時間。結構な距離だ。
しかし今回はほぼ国道20号線を通る。今までの経験で行きでは大渋滞は経験していない。
大抵混んでいるのは甲府の街なか。そこをバイクの特性を使ってうまく切り抜けられればほぼ順調に走ることができる。
目的地には午後4時半までには到着したい。朝7時に出発すれば9時間半ほど時間があるのでなんとかなるだろう、と考えた。
出発の朝、6時に目覚めたのだが眠くてぐだぐだとしていて結局出発は8時になってしまった。
今回の荷物はコンパクトにまとめて基本35Lのザック一つ。あとはショルダーポーチだけ。前回のように前夜には行わなかったが、荷台に括り付けるのは簡単だった。
スーパーカブのプチカスタムは大きく分けて2箇所。
ひとつはスマホ充電用にUSB充電器を取り付けたこと。これでいつでもナビは使える。
もう一つはチェーン交換のついでにドリブンスプロケット(リアスプロケット)を標準の35Tから34Tにしたこと。これによりとても乗りやすくなった。
交換手順などについては他の方がYouTubeやブログで紹介しているけれど、後日、作業の様子などを報告したいと考えている。
その効果として大きかったのは、USB充電機をつけたことによりバッテリー切れによる不安がなくなったこと。これは安全運転にもつながると思われる。
そして、駆動系で交換したのはチェーン、ドライブスプロケット(フロント)、ドリブンスプロケット、そしてエンジンオイルである。ちなみにチェーン交換後に注油している。
このうちのどれが一番効果があったのかはわからないけれど、ともかく駆動音が滑らかになり、振動がやわらいだ。そのおかけでこの前の武尊のときはバイクを降りた時にずっと手が震えているように感じたものだったが、今回そんなことは一切なかった。
また、乗りやすくなったのは、エンジンブレーキが効きすぎるというスーパーカブの特性が少し弱まったため、停止する際に早めに2速に落としてもカクッとならなくなった。
これらにより、断然乗りやすくなったスーパーカブを駆って楽しいツーリングができた。
ただ、出発が遅れたのでゆっくり休憩することができなかったのは反省すべきところだ。昼食は甲府を抜けた先の「のんちゃん」でゆっくり食べたかったのだが、すき家のカレーで時短を図ることにした。
茅野から伊那へ
この日の天気は晴れ。気温は32度から33度。暑い。
メッシュのライダーズジャケットなので走っている時は風が通り抜けてくれるが、それでも暑い。止まれば尚更だ。
心配していた甲府市内も(流石に平日のためか)それほどの混雑ではなく、甲府を抜けると次第に車は少なくなっていった。
登山のためにもう何度もこの国道20号を走っているので、景色もだんだん見慣れて来た。「ああ、この前来た時はここで握って来たおにぎりを食べたのだな」とか、「ここの道の駅にはまだ寄ったことがなかったな。今度寄ってみよう」などと考えながら走っていた。
茅野に差し掛かると、ここから甲斐駒方面に曲がったなとか、この先から霧ヶ峰方面に行ったっけなどと思い出す。
今回はその茅野から伊那方面に向かって左折し、県道16号に入った。まもなく諏訪大社上社の前を通る。諏訪大社には参詣したことはあるが、上社には来たことがない。いずれ時間のある時に参拝したい。
左折して県道50号に入るとまもなく峠道に差し掛かる。木陰に入ると少しだけ気温が下がるのがありがたい。しばらく山中を走ると伊那谷に抜ける。伊那谷の街中をナビを頼りに走り抜けた。
このあたりの道は少し複雑である。右左折を繰り返しながら走ったのでどこを通ったのかよくわからないが、ナビなしでは遠回りをしなくてはならなかっただろう。
このナビ(Googleマップ)をたよりに進んでいくと、中央アルプス側の山裾の道を案内してくれている。道幅は狭く民家があるので慎重に進んでいく必要がある。
それにしてもGoogleマップはよく狭い道を案内してくれる。スーパーカブはどんなところにでも入っていけるので問題ないが、同じ道を走る車が多いことも気になる。ひょっとしてGoogleマップをナビとして使っているのでは? などと思ってしまう。
それはともかく、山沿いの道は閑散としていて商店などは見当たらない。つまりガソリンスタンドもほぼない状態だ。
そろそろ給油しなくてはと考えていたが、まだ少し余裕があるかなとも思っていた。それでその山沿いの道に入る前に現れたスタンドをやり過ごしてしまった。ついには木曽へ抜ける国道361号線にぶつかってしまった。
この先は山の中になる。ガソリンがなくなると大変なことになる。仕方なく近くのGSを探すと3キロのところに見つかった。
少し道を外れて給油する。自分が食べたわけではないのになんとなく落ち着く。
さて、Googleマップを見ると今来た道とは違う道を案内しているように思えた。近道があるのかと思ってしまった。ただ、どの道を案内してくれているのかがわからない。つまりどちらへ進んだらいいのかがわからなくなった。
とりあえず感で進んでみる。するとちゃんと案内を開始してくれる。けれど、それが遠回りであってもそのことを教えてはくれないのだ。ということで結局さっき国道にぶつかったところに戻って来た。
木曽路を走る
木曽に向かっていくと、トンネルが現れた。長いトンネルだ。この権兵衛トンネルを抜けるとなんと雨が降っていた。さっきまでいいお天気だったのがうそのようだ。
出口の脇の広い場所で雨具を着ているライダーがいた。僕は少し走ってチェーン装着場にバイクを停めた。空を見上げると進行方向にすこし青空が広がっていた。
「きっと山を降りれば雨は上がるだろう」
雨具を着ないで走り始める。予想は的中。雨は小降りになって止んだ。
木曽路の国道19号線に入る。懐かしい。
40年近く前、国鉄(当時)日出塩駅から中津川までの87キロを夜行列車を使い、2泊3日で歩いたことがある。
景色を眺めたり、地名を見たりするとその時のことがいろいろと思い出される。
夕方、その日の宿をどうやって見つけるか。それが大変だった。当時携帯電話もなく公衆電話で予約した。ガイドブックが頼りであった。
ところどころ国道も歩いた。歩道がないところを見ると、当時ヒヤヒヤしながら歩いたことを思い出す。
木曽福島に泊まり、三留野に泊まった。ああ懐かしい。
ただ、前を行くトラックが赤信号になって突っ込んでいったところを白バイがサイレンを鳴らして追いかけていったのを見て、スピード違反に注意しながら走っていった。
中津川から神坂峠
中津川まであと少しのところまで来た。今夜と明日の朝はコンビニ弁当で済ますつもりなので、引き返すことにないように早めにコンビニに立ち寄らなくてはと考えていた。
ただし、早すぎても荷物になるのでギリギリのところで買いたい。
ちょうど右手にコンビニを見つける。すぐにウインカーを出して前方の車が通り過ぎるのを待つ。
この前の武尊の時は弁当の汁がこぼれてぬるぬるして困った。今回は汁が出ない弁当を買う。朝食は日持ちのする海苔巻きといなり寿司という武尊の時と同じものにした。
ザックから小ナップサックを取り出してそこに入れ、ベトナムキャリアに留めた。
そこから少し走ると左折の案内。よかった。あそこが最後のコンビニだった。
さて、いよいよ峠までの山道に入る。ここでふたたび雨が降り出した。これから向かうのは山なので雨はやまないだろうとここで雨具を取り出して着る。
雨具はザックの外側のおおきなポケットに入れておいたのでいつでも取り出せる。靴を脱がずにレインパンツを履くことはできたが、少々手間取った。
時間は16時を回っていた。半までにはつけなくとも17時にはならないだろう。
<クマに注意>の看板が注意を引く。バイクで襲われたら逃げ切れるだろうか。下りならともかく上りでは無理だろう、などと考えながら、前方を注意しながら走っていく。
そういえば、あれはいつどこでだっただろう。山道を走っていてサルに出会した。大回りして横を通り過ぎようとしたら、なんとそのサルがこちらへ向かって来た。あれはけっこう大きなサルだったなあ。サルも人を襲ってくるのものなのだと思ったっけ。
道はかなりクネクネとしていて、見通しの効かないところもあり慎重に走った。対向車とは2台すれ違った。そしていつの間にか雨は止んでいた。
かなり登って長めの良い場所に出た。そこに登山道を登って来た人が一人いた。その人は「雨は大丈夫でしたか」と言った。その人はずぶ濡れになっていた。
写真を撮り終えて上に向かうとそこが神坂峠だった。あと一息である。
ちなみにこの峠は信濃と美濃を結ぶ要所で、縄文時代の頃から人々が往来していたらしく、多くの遺跡が発掘されているという場所である。
16時40分、萬岳荘に到着。
さっそく受付を探すもよくわからない。外にいた人に聞くと
「管理人さんはもう帰ってしまったよ」とのこと。
そこで、電話をかけてみたが繋がらない。
しかたなくキャンプ指定地を探す。すると電話がかかって来た。管理人からである。
なにやら打ち合わせがあって下山したらしい。雨が降っていたらテントは1階のテラス下の駐車場に張って良いとのこと。再び雨が降り出していたのでそこに張らせてもらうことにする。雨ばかりでなく雷が鳴り、あたりは霧に包まれていた。
雨に濡れずにラッキーだと思っていたら、ちょっとした落とし穴が。
それは、夜中に車でやって来た人がいたことだ。
なんと深夜2時過ぎにやって来て近くに車を止め、車から大きな荷物を下ろして車で寝る段取りを同乗者に説明している。
そうやって到着してから30分くらい騒いでやっと静かになった。
翌朝、顔を洗っていると泊まり客が言った。
「昨夜はだいぶ賑やかでしたね」
「2時過ぎでしたね」
迷惑していたのは宿に泊まった人も同じだったようである。
つづく。
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