玉川温泉から近くの岩盤浴に行ったときに、案内板を発見。
そこには、近くの山までのコース案内が。
頂上まで約3キロ。
これは登るしかない。
ということで、登ってきました。
焼山
今回の湯治旅行中、乳頭温泉に泊まった時に山に登ろうと思っていた。ところが、玉川温泉からもそのまま歩いて登れる山があることが、案内板を見てわかった。
一応、山に登るつもりではあったので、歩ける靴は履いてきていた。
その山は、焼山といったが、予備知識がなかったため、岩盤浴から宿に戻るとネットで調べてみた。
焼山は標高1,366メートルでそこそこ高い。登山コースが紹介されているのは、反対側の後生掛温泉から登るコースばかりで、玉川温泉からのコース紹介は見当たらなかった。
そこで、国土地理院のサイトの地形図を見てみた。
頂上まで約3キロ。
これは登るしかない。
熊に注意
ネットを見てみると、反対側の後生掛温泉から登るコースばかりが紹介され、玉川温泉からのコース紹介は見当たらなかった。
そこで、国土地理院のサイトの地形図でコースを辿ってみる。
それでみると、ほぼ真っ直ぐなコースで、最初と最後が急な斜面であるが、中間はなだらかな上りが続いているようだ。
ただ、気がかりなのは、最近、後生掛温泉からのコースに熊が現れたということだった。
翌日、前日に売店で買った菓子パンを持って、家内と二人で焼山登山に出発。家内が、外にいた宿の人に
「おはようございます。これから焼山に登ってきます」といったら、
「熊に気をつけて」と言われた。
今回はちゃんとした熊よけの鈴は持ってきておらず、交通安全のお守りについている鈴を代用する。
岩盤浴へ向かう自然研究路の途中から左に分かれる道を進み、9時頃に登り口に到着する。いよいよ登山開始だ。
白濁した小さな川を跨ぐ橋を渡るとコンクリートの階段が付けられている。しばらく急登が続く。
階段は先の方まで途切れ途切れに付けられていて、登山道が整備されていることがわかる。しかし、この時期草が伸びて階段を覆い足元がよく見えない。
周りをトンボが飛び交い、アブがまとわりついてくる。
この辺りは笹に覆われており、ときどき樺の木が伸びていた。
ここまでずっと鈴を鳴らして歩いている。歩けば鳴りはするのだが、ときどき立ち止まって登山道やその周りに熊がいる気配はないかを確認しているので、わざと手で揺すって鳴らしていた。
すこし平らになったところにきたとき道がぬかるんでいた。そこに前に歩いた人の足跡が残っていたので、まったく歩く人がいないわけではないらしい。
急登が終わり、なだらかな上りになると、あたりはブナの森になる。ふたたび平らなところにくると、そこは水が貯まるところらしく、木道がつけられていた。あるところはその木道の両脇にシダがびっしりと生えている。
3分の1くらいまで登ったとき、小さな沢が流れていて少し広くなった場所に来た。ここが最後の水場だと書いてあった。
また、そこにあるブナの木の1本1本になにやら文字が彫られていた(鉈目というらしい)。
「こんなところにいたずら書きをするとは酷い奴がいるなあ」と思わずつぶやいた。
その先にもたくさん書かれており、あまりにも多いので、家内は「所有者が書いたのでは?」といったが、それではちょっと手間がかかりすぎる。
マタギが彫ったのかもしれないが、それにしてもそこらじゅうに彫られていた。
ここを抜けるとすこし登りが急になり、段差もあって登りにくい道になる。
ずっと樹林帯の中の細い登山道を登っていくと、だんだん木が少なくなってきた。
そのうち高い木は無くなって背の高い熊笹の間を進む。登山道に生えてきた笹をどなたかが刈ってくれていたが、その刈った笹や残った根本がひっかかり歩きづらかった。
その笹の林を抜けると低い草や低木ばかりとなり、眼下に広大な景色が広がった。我々が登ってきた下の方を見ると、平らな森が横にずっと広がっている。そしてその先の下の方に玉川温泉の宿が見えた。
上を見れば、草に覆われた頂上らしきところが見え、そこから左に弓なりになった茶色い稜線と黒黒としてゴツゴツした大きな岩がそびえているのが見えた。
しかし、最後の登りはかなりの急登で、家内はついてこられない。何度も立ち止まって追いつくのを待ち、ようやく頂上、と思ったらそこから右に分岐する道があり、まだ先だったかと思って進むとすぐそこが焼山頂上であった。
頂上付近だけまあるく笹が刈り込まれていた。座ると風除けになり、汗が冷えなくてありがたい。
時間は11時半だったので、持ってきた菓子パンを食べる。
予報では、午後から天気が崩れる可能性があったので、休憩は20分ほどにして、山頂付近にあるという沼を見に行った。家内は分岐付近で待っているという。
拳大ほどの岩から人抱えほどもある岩が転がっているザレ場を少しくだると、火口だったであろうところに乳白色の沼が見えた。よく見ると、沼の脇から硫黄が吹き出している。
沼越しに目をやると、遠くに白い煙が上がっているのが小さく見え、そこに建物が見える。おそらく後生掛温泉だろう。
登山道は、火口斜面の中腹あたりを横切るようにして向こうに続いていた。
こうした景色を10分ほど眺めて再び分岐のところまで引き返す。
下山
そしていよいよ下山だ。もちろん来た道を下っていく。
下りといえども、急坂ではゆっくりと降りねばならず、それに熊にも注意しながら降りたので、登りにかかった時間とそれほどは変わらなかった。
中間あたりまできた時に、いつものとおり膝が痛くなってきた。鵞足(がそく)炎だ。最近はトレーニングを怠っていたのでそれが現れたということだ。
ただ、右足はなんとか最後まで持ち堪えてくれたので、最後の階段だけ横向きになって1段ずつゆっくり降りていった。そうしているところに、これから登り始める人に出会う。もう時間は2時を回っている。テント泊でもするのだろうか。
けれど健脚ならば暗くなる前に戻って来られるだろうし、後生掛温泉にも下りられるだろう。
無事に下山して、自然研究路の案内板をみたら、焼山の頂上付近には避難小屋もあったので、心配はないようだ。
下山すると、山上の涼しさとはうって代わり、真夏の太陽が照りつける暑さだった。家内はファンタが飲みたいと言って宿の自販機をめがけて急いでいったが、残念ながらファンタはなくがっかりしていた。
天気はどうやら崩れずに済んだ。
以上、焼山登山でした。なお、翌日から家内は筋肉痛に悩まされることになる。僕の鵞足炎は翌日には治っていた。
次回は、玉川温泉から乳頭温泉の黒湯に向かいます。
※今回の写真は、OLYMPUS E-M1 Lumix G Vario 14-42 F3.5-5.6 Ⅱ で撮影
では、このへんで
前回の話はこちらです。
広告