小樽運河(プリントをデジカメで複写、以下全て同じ)
前回の続きで、雪の北海道2日目から。
列車による旅はバイクの旅と違い移動に時間がかかる。
しかし、2月の北海道をバイクで走るのは自殺行為だ。
列車の旅はそれはそれで楽しい。車窓から雪景色を眺めてぼんやりするようなことは車やバイクを運転していてはできないことだ。
ぼんやりできるのはとても贅沢な時間の使い方といえるだろう。
白い北海道の旅、後半は一気に進みます。
函館朝市
朝食にはイカそうめんが出る。やっぱ函館に来たらこれだよね、とか思いながらいただく。
朝食後少しのんびりしてからチェックアウト。市電に乗って函館駅の近くの朝市に出かける。この市場で家にじゃかいもとかぼちゃを送った。こうした市場での体験がしたくてかぼちゃを買ったようなものである。
そのままここにある食堂で昼食。イカそうめんは今朝食べたので、たしか海鮮丼を食べたように思う。お金がないのでウニの入っていないのを食べたはずだ。
それから駅に行き、札幌行きの列車に乗った。今日の目的地は洞爺湖温泉である。
洞爺湖
洞爺湖
洞爺駅からはバスに乗ったように思う。明るいうちに宿に着き、荷物を置かせてもらって洞爺湖まで歩いて行く。しかし、この寒い中を歩いている人は見かけなかった。少し写真を撮ったが、指先が冷たくなって感覚がない。寒さに耐えきれず早々に宿に戻った。
宿に戻ると荷物は部屋に運ばれていて、暖房がつけられていた。古い宿でみな畳の広い部屋ばかり。そのだだっ広い部屋を一人で使わせてもらった。ストーブで部屋は温められていたが、なんとなく背中や足元が寒かった。
結局、宿泊したのに洞爺湖をちらっと眺めただけに終わった。とにかく寒すぎたのだ。
そして次の目的地、小樽に向かった。
小樽運河と北一硝子
小樽運河
小樽に着くと、まずは小樽運河に向かう。すると水面が凍っているところがあり、両岸は雪で白く覆われていた。近くに建つ倉庫の寂れ具合が、時代の移り変わりによって賑やかだった頃からその役目を終えて行くまでの時間の流れをあらわしているように見えた。
一方、倉庫を店舗として再利用することも始まっていた。この頃人気があったのが北一硝子のらんぷだった。小樽運河から歩いて近くの北一硝子三号館に行く。石造りの広い倉庫の中をたくさんのランプが灯り、それはまるでガラスの美術館のようだった。暖かな光と影が揺れる幻想的な空間を彷徨うように見学した。
次に向かったのは市立小樽文学館。小樽の作家といえば石川啄木が思い浮かぶが、実は啄木は岩手の出身。この文学館の展示の中で知っているのは小林多喜二と伊藤整だった。小林多喜二について知っているのはプロレタリア文学の作家で警察の拷問を受けて亡くなったということくらいだった。どうもその悲惨な光景が浮かんでしまい、あの有名な『蟹工船』すら読んだことがない。
なお、調べてみると小林多喜二が生まれたのは秋田県で、小樽に来たのは4歳の時だったそうだ。
伊藤整はチャタレイ裁判で有名だ。だがやはりこのときも氏の作品は読んだことがない。この旅から帰ったあとに『若い詩人の肖像』を、この旅で見た景色を思い出しながら読んだ。
そうして日が暮れる前に旭展望台へ行ってみることにした。残念ながら雪が深くて展望台までは行けなかったが、途中からも町がよく見渡せた。すでに町の明かりが灯り始めていた。
小樽の夕暮れ
そんなとき、若い娘の声が聞こえた。みれば高校生くらいの女の子が二人、クロスカントリースキーを履いて脇を通り過ぎて行った。おそらくクラブ活動の練習だろう。雪国ならではの光景だった。
坂を下り、駅の近くのビジネスホテルにチェックイン。アーケードを抜けた先の寿司屋に入る。
翌日はバスで余市に行く。余市といえばもちろんニッカ工場の見学が目的だ。雪の中の赤い屋根が印象的だった。工場見学の試飲でいい気持ちのままバスで小樽に戻る。
ニッカ余市工場
札幌雪まつり
第36回札幌雪まつり
次の朝は小樽から札幌行きの列車に乗る。札幌で北海道大学を見学し、旧北海道庁や時計台を見に行く。
この日の宿は、大通公園の近くのビジネスホテルだったが、実は翌7日から11日まで第36回札幌雪まつりが開催されることになっていて、宿の確保には苦労した。
夕方から会場に行ってみると、開催前日なのに既に雪像や氷像は完成していてライトアップもされていた。
そしてもちろん夜はすすきの、じゃなくて狸小路に夕食を食べに行く。適当に居酒屋に入ってみると広くて戸惑ったが、カウンター席が空いていたのでそこで魚を食べながら飲んでいた。だんだん混んで来て、カウンター席も埋まり始める。
そこに少し年上かなと思われる女性が隣に座った。なんとなく話をはじめると、群馬からスキーに来ているということだった。住まいが仲の良い職場の先輩と同郷だったので親しみが湧いた。そのうちにその女性の向こう側に座った男性も加わって大いに話が盛り上がる。
スキーやラーメンの話などをして、いつの間にか閉店近くまで飲んでいた。するとお店の方が、帆立貝の貝殻の内側にカラーマジックで描かれた札幌の街の絵をそこに残っていた客にくれた。
そのうちに向こう側の男性が帰ったのでお開きにし、その女性をホテルまでタクシーで送って行った。もちろん何事もなく別れたのだった。そこはANAホテルでこちらが泊まるビジネスホテルとは格段の差だった。
翌日は札幌雪まつりを見物し、その日のうちに飛行機で帰路についた。
第36回札幌雪まつり
まとめ
これで冬の北海道の旅は終わりである。
写真を見ながらいろいろと思い出そうとしていたら、突然狸小路で出会った女性のことを思い出した。すっかり忘れていたのだ。
ちょうどこの頃は彼女もいなかったので、ちょっとドキドキしていたことを思い出す。
その女性はすらっとした方で行動的な人だった。名前を聞いたとは思うのだが、どこにもメモされていなかった。
頂いた貝殻もたぶん何度も引越しをしているので処分してしまったのだろう。ただ、しばらくは飾っていた。
きっと、貝殻の絵を見てあのときの女性を思い出していたのだろうと思う。だが、その必要がなくなったときに仕舞い込んだのではないかと思う。記憶とともに。
では、このへんで
今回紹介した北一硝子のサイトはこちら。
北一硝子 | 北海道小樽で手作り硝子の製造、販売を行う北一硝子の公式サイトです。
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