先日、交流分析では4つの本物感情について書きました。
本物感情とは、「喜び」「怒り」「悲しみ」「怯え」です。
この感情をテーマにした子供向けの映画『インサイド・ヘッド』を観ました。
この映画では、ヨロコビ、イカリ、カナシミ、ビビリ、ムカムカの5人が登場します。ムカムカは交流分析の「怒り」に含まれることになるのでしょう。
ヨロコビの声を先日亡くなった竹内結子さんが担当されていて、なんともやるせない気持ちでいっぱいでした。
今回は、そんな映画についての話です。
【目次】
映画『インサイド・ヘッド』で言いたかったこと
新しいことに踏み出していくと喜びばかりではなく、辛いこともあります。
そんなとき、悲しみの感情をしまっておかないこと。
映画『インサイド・ヘッド』で言いたかったことは、悲しみの上に喜びはあるということだったのではないでしょうか。
悲しみがあって皆に思いやる心が生まれ、その思いやりが喜びを生みだす。
そして悲しみは心を癒してくれる。
悲しみが心を癒し、再生していくのだろうと思います。
あらすじ(ネタバレあり)
ミネソタで生まれた女の子ライリー。
生まれたときに、ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリの5人が誕生し、司令室から感情を表す指令を出します。
一つひとつの思い出が感情の色のついた玉になり、眠ると思い出の保管庫に運ばれていきます。
ヨロコビは黄色、イカリは赤色、カナシミは水色、ビビリは紫色、ムカムカは緑色です。
そのなかの特別な思い出がライリーの性格を作っていきます。
それまで、ライリーの感情の司令室ではヨロコビが仕切っていました。つまり、ライリーの思い出はほとんどが黄色です。
けれど、カナシミはなんのためにいるのかわかりません。
ライリーが11歳になったとき、ミネソタからサンフランシスコに引っ越します。ところが新しい街に慣れなず、転校した学校の新しい友達ともうまくやれず、孤独を味わいます。
そして喜びと悲しみを見失ってしまいます。イカリとムカムカが司令室の主導権を握ってしまうからです。
心が不安定になり、ヨロコビとカナシミは思い出の保管庫で迷子になってしまいます。
そのときに出会ったライリーの幼い頃の空想の友達ビンボンが悲しんでいるとき、カナシミは話を聴いて共感を示します。
それを見ていたヨロコビはカナシミの役割について気づきます。
そう、カナシミには癒しを与えることができるということに・・・
喜びばかりでは成長できない
小さい頃は幸せいっぱいの黄色い玉ばかりの世界でした。
けれど成長し社会の様々なものとの関係の中で生きていくためには嫌なこともあります。悲しいこともあります。
喜びはポジティブ思考です。けれどそれだけでは疲れてしまいます。
それでは気持ちが張り詰めているばかりですし、元気を続けていればたまには休みたくもなります。
たとえば、誕生日に友達とパーティを開いたとします。皆が祝福してくれて幸せです。この時間がいつまでも続けばいいと思います。けれど、必ず終わりがあり寂しさを味わいます。
また、中学や高校で過ごした仲間との楽しい時間も、卒業とともに皆ばらばらになっていきます。けれどそうして一人になった時に自分を見つめ直し、新たな目標に向かって進んでいくことができます。
そうやって人は成長していくものです。
悲しみは癒しの効果
悲しみの色は水色でした。
小さい頃はところどころにしかありません。けれどこの悲しみはとても大切な思い出として記憶されます。そしてこの悲しみに共感してくれた思い出は喜びとして光り輝きます。
悲しみはネガティブ思考です。けれど張り詰めたこころを癒してくれます。
映画では、ヨロコビとカナシミが迷子になるのですが、喜びと悲しみの感情はお互いが必要とするもの、2人で1組みといった関係にあることを言いたかったのではないかと思います。
映画の中で、ライリーの幼児の頃に空想した友達ビンボンがくじけそうになった時、カナシミが寄り添って共感しているところはまさにカウンセラー。
「悲しい時には悲しみに浸っていいのだ。そうすれば心が癒されるのだよ」というメッセージが込められていました。
ひとは、悲しむだけ悲しんだら前向きな気持ちが芽生えてきます。
母が亡くなった時、泣くだけ泣きました。不思議な感覚で、頭で悲しみを感じたのではなく、体全体が悲しくて体を震わせて泣いたのを覚えています。
けれど、泣くだけ泣くともう涙は出てきませんでした。そして気持ちがすっきりし、癒されたという感覚を味わいました。過去の出来事と決別できた瞬間でした。
水色は涙の色なんですね。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
映画では、ヨロコビ、イカリ、カナシミ、ビビリで、ムカムカの5つの感情でしたが、交流分析の4つの本物感情とほぼ同じといってよいでしょう。
何れにしても、感情は思考とは別なものであることはまちがいありません。
感情が生命の危険から身を守ってくれているのです。
子供向けの映画ですが、大人も感情について客観的になれる映画だと思います。
では、このへんで
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