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サイクリストにとって姿勢を維持することは、大切なことです。
姿勢が崩れると正しいペダリングを行うことができなくなります。
よく、「腹を入れろ」などといわれますが、それはどういうことでしょうか。
なかなか分かりにくいですね。
数年前に『スタンフォード式 疲れない体』(山田知生著、サンマーク出版)という本が話題になりました。
簡単にいってしまえばIAP呼吸法をトレーニングしましょうということです。
IPA呼吸法とは、腹腔内圧を高めた呼吸法です。
腹を入れるとはまさしくこの腹腔内圧を高めることに他ならないのではないでしょうか。
今回の内容は
となっています。
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サイクリストだけでなく、運動による疲労低減や疲労回復に役立つのでぜひ最後までお読みください。
スタンフォード大学のアスリートたちはこのIAP呼吸法を行いながら体をメンテナンスしているそうです。
そして著者は、スタンフォード大学スポーツ医局のアソシエイトディレクターということです。
IAPとは何か
IAPとは、Intra Abdominal Pressureの略で、日本語に訳すと「腹腔内圧(腹圧)」のことです。一般的には「ふくこう」とよみますが、医学用語では「ふくくう」です。
腹腔とは、横隔膜を境としたその下の胃・腸・腎臓などが入っている腹といわれるところです。
そして内圧とは、この腹腔に圧力がかかっている状態。つまり横隔膜が下がっている状態のことです。
こうして腹腔内圧(腹圧)が高い状態になると、お腹がぱんぱんに膨らんだ状態になります。
普段の生活では、いわゆる「息む」という状態で、トイレでの排泄時、重い荷物を持ち上げたり持っているときを想像してみればわかるのではないでしょうか。
IAPを高めることのメリット
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では、IAPを高めると何がよいのでしょうか。
腹腔の圧力が高まると、その圧力で体幹部分と背骨が安定し、姿勢を正しく維持することができます。
姿勢が正しく維持できると筋肉の活動がわずかですみます。
さらに、脊柱の神経の通りもよくなり、脳との連携がスムーズになります。
すると、体の各部との連携が良くなって四肢が無駄のない動きをすることができ、パフォーマンスがあがります。
たとえば、パソコンのキーを打つときに腕をどこにもつけないで打とうとした場合、手の位置が安定しませんが、姿勢を正してお腹を膨らませて安定させると手の位置が安定して指も動かしやすくなります。
IAP呼吸法
腹式呼吸は息を吸うときにお腹を膨らませ、吐くときに凹ませますが、IAP呼吸法は、息を吸ったときにお腹を膨らませ横隔膜を下げます。そして息を吐くときもお腹はそのままにします。
このとき、肩を上げたりはしません。
たとえば、上を向いて寝転がったとき、背骨を床から離さないようにして息を吸い込むとお腹が膨らみます。
そのまま息を吐くとお腹が凹み、腹式呼吸となります。
これを常にお腹が膨らんだ状態にしておくのがIAP呼吸法です。
著者はこのように説明しています。(https://news.j-wave.co.jp/2018/10/913-iap.html)
- 手のひらを上にして、指先を体に向け、指を股関節に差し込んでいきます。
- お腹を膨らませるときに指がはじかれます。はじかれていれば、お腹全体にきちんと空気を取り込んでいるということです。
- それをキープしたまま息を吐きます。
- 息をゆっくりと吐くときに、膨らむのをキープすると肋骨が下がってきます。肩甲骨がナチュラルなポジションにきます。
このとき、おおげさに胸を突き出したり、肩甲骨を締めて姿勢を作ったようにするのではなく、呼吸によって締める筋肉がでてきますし、自然な姿勢になります。
こちらの動画が参考になります。
ただ、疲れにくくなることや疲れが取れやすいということについては、これだけで説明がつくのかという点については疑問が残ります。
そこで、私なりに考えてみました。以下は参考までに。
そもそも呼吸とは何か
植物も呼吸をするって知っていましたか。
植物は光合成をします。光合成は無機物である二酸化炭素と水、そして光エネルギーで酸素と糖などの有機物を作ります。
このとき、植物の細胞にあるミトコンドリアは有機物と酸素を取り入れてエネルギーを作り出し、水と二酸化炭素を排出します。これが呼吸です。
動物はこの植物を食べ、植物を食べる動物をほかの動物が食べます。そうやってその頂点に人間がいます。
その人間の細胞の中にもミトコンドリアがいます。
ミトコンドリアは有機物と酸素を取り込んで水と二酸化炭素を排出します。そしてこのときにエネルギーが生まれます。植物と一緒です。
つまり呼吸によりエネルギーを取り出しているのです。
面白いのは、ミトコンドリアは取り込んだ有機物が無機物に分解され、その過程ででるエネルギーを使ってADP(アデノシン二リン酸)にリン酸が結びつきATPが生まれます。
けれど、すぐにATPは分解されてADPになり、それがまた合成されてATPになってと繰り返すそうなのです。
つまり、呼吸とは有機物を段階的に穏やかに分解して、一つの反応で少しだけエレルギーを取り出し、それを繰り返していくということです。
厚生労働省のe-ヘルスネットをみると次のように書かれています。
アデノシン三リン酸(ATP)
筋肉の収縮など生命活動で利用されるエネルギーの貯蔵・利用にかかわる。
「生体のエネルギー通貨」と呼ばれる。
アデノシン三リン酸(ATP)は、アデノシンという物質に3つのリン酸基(P)が結合しています。
ATP分解酵素の働きによってATPが加水分解すると、ひとつのリン酸基(P)がはずれてADP(アデノシン二リン酸)になり、その際にエネルギーを放出します。このエネルギーを使って筋の収縮が行われます。
筋繊維の中に蓄えられているATPの量はわずかなので、激しい運動では短時間で使い果たしてしまいます。したがって長時間運動を続けるには、ADPからATPを再合成してATPを供給し続けなければなりません。
この仕組みをエネルギー産生機構といいます。酸素を必要としない無酸素性(嫌気的)エネルギー産生機構と酸素を消費する有酸素性(好気的)エネルギー産生機構のふたつに大別され、前者はさらにクレアチンリン酸機構と乳酸性機構に分かれます。
ようするに、呼吸により取り入れた酸素がエネルギーの源になっているということです。
このことが疲労に関係しているのかどうかはわかりませんが、効率よく酸素を取り込むことは効率よくエネルギー生み出すことになるのではないかと考えます。
そのほかの研究結果
なお、IAP呼吸ではなく、腹式呼吸が自律神経機能に影響を及ぼすかどうかを調べた研究(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm1949/50/1/50_1_105/_pdf/-char/ja)では、
意識的腹式呼吸(呼気と吸気の時間の比が2:1)は、副交感神経を活発にすることがわかっています。つまり、ストレスマネジメントになるということです。
呼吸は、通常自分の意思ではコントロールすることができない自律神経に影響を及ぼすことができるというわけです。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
これまでの話を要約すると、腹圧を高めることは体の軸が安定し姿勢が良くなります。
姿勢が良くなると、呼吸が楽に行われ効率が良くなります。
さらに、神経の束が脊柱を通っているため、神経の回路がスムーズになり、体の動きも良くなります。
体幹を使う自転車では、IAP呼吸法を習得することがパフォーマンスを上げるにも疲れにくい体になるためにも重要だといえそうです。
なお、ストレスをやわらげる効果もありそうなのでこれからトレーニングしたいと思います。
このほか、システマの呼吸法や躰道の呼吸法なども参考になるのではないかと感じています。
ただ、そのあたりはまだよくわからないので今後調べようと思います。
では、このへんで
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