前回からの続きです。
前回は皇海山に登れず、戸倉からバスに乗り換えて鳩待峠に行き、山の鼻から至仏山に登ろうとしたが登山禁止期間中で入山できず。
仕方なく尾瀬ヶ原を歩く。
竜宮十字路からあやめ平へ
11時45分頃、竜宮小屋には寄らずに十字路を右に折れて富士見峠・あやめ平方面に向かう。
ここは長沢新道というらしい。木道は急にぼろぼろ状態になる。この辺りは交換作業が進んでいないようだ。付近には水芭蕉がたくさん咲いていた。
始めはなだらかだったが段々と傾斜がきつくなってくる。峠まで半分の道のりを登るとだんだん雪が現れてきた。
岩の混じった急登を過ぎるとのっぺりとした樹林帯になった。
そこにはしっかり木道が作られていてその上にはゴムの滑り止めが貼り付けられていた。
ところがこの木道がいまの残雪期には問題で、踏みはずすとズボっと踏み抜いて落ちてしまうのである。そして木道は雪の下にところどころ顔を出していると言った感じで探すのに一苦労した。
樹林帯の中は、雪で好きなところを歩けるかわりにルートがはっきりしない。赤いリボンと木道を目当てに進むのだが何度も道を見失う。目を凝らしてそれらしきルートを探る。
雪はザラメに近く、ずるずると滑って踏ん張りが効かないので体力を消耗する。
ルート探しにざらめの雪、そして踏み抜きに苦労しながら森の中を進んでいくと左手に凍った池が現れた。凍った中心部はコバルト色に青みがかっていて美しい。その向こうに燧ヶ岳が聳えていた。
ここから200メートル左に進むと富士見峠である。あやめ平は右に進む。案内標識には800メートルとある。
少し進むと尾根に出た。左手に日光白根山がひときわ尖って見える。ずっと右手には登山できなかった皇海山も見えた。
あやめ平から鳩待峠へ
あやめ平の休憩所に着いたのは14時05分頃。コースタイムなどをよく見ておらず、これほど時間がかかるとは思っていなかった。はるか昔だが、反対コースを歩いたときにそれほど時間がかかったという記憶がなかったからだ。
いま、コースタイムを調べると、竜宮からあやめ平まで2時間50分。結構ある。一応それよりも30分ほど早くは歩いてきたけれど、それでもだいぶ遠い。ああ、もうかなり疲れた。
実はこの日、鳩待峠からの最終バスは15時半発だった。乗車券は小屋の前の券売所で購入し、そこから乗り場まで5分くらい歩かねばならない。
だから、少なくとも15時20分までには鳩待峠に降りたい。そうなるとあと1時間15分しかない。距離はあと5.3キロもある。これはまずい。
あとは下りだけだからなんとかなる気はしたが、それでも急ぐ必要がある。しかし、そこからが大変だった。
あやめ平のあたりはほぼ雪がなく歩きやすかったが、少し下ると再び雪が木道を覆う。
さっきの樹林帯の登りと同様にルートファインディングに手間取る。木道も2車線になったり一本道になったりと変化する。こうして何度も雪を踏み抜いて転け、また木道で滑って尻餅をついた。
しかしそんなことに構ってはいられない。それよりもルートを間違えたら大変である。けれどときどきルートがわからなくなり、スマホのGPSで方向を確認した。
さらに下ると今度は雪が少なくなり、熊笹が登山道を覆っていた。気をつけていたつもりだけれど笹の茎に登山靴が引っかかって前につんのめってしまった。
幸いそこは木道の上だったので怪我はしなかった。だが、下りでは落差が大きくなるのでやはり痛かった。それに精神的なダメージも大きい。
所々に立つ標識で鳩待峠まであと3キロ、2.3キロ、1.2キロとだんだん近くなっていることに励まされ、この調子ならなんとか間に合いそうだと確認しながら下っていく。
だが、ここでルートを誤れば間に合うものも間に合わなくなる。そこは慎重に急いでいく。
そしてやっと鳩待峠の小屋を見下ろせる場所に立った。大丈夫、いまは15時05分。5分あれば峠まで下れる。
こうしてなんとかギリギリ最終バスに乗ることができた。
バスに乗り込むと、もうほとんど満席だった。
最後に
皇海山に登れず、至仏山にも登れず、準備・調査不足の登山計画だった。
今後の反省として、ガイドブックだけに頼らず、直近の情報を確認して出かけなければならないということをこの失敗で学んだ。
尾瀬歩きも、ちゃんとコースタイムを確認しないで行ってしまったことも反省点だ。
大きなとトラブルなく歩けたからよかったものの、歩行困難な怪我などしてしまっていたら大ごとだった。
このあと戸倉からスーパーカブで帰宅する。夕食時間を除き6時間かかった。
では、このへんで
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