Hakuto-日記

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海賊の舞台鑑賞 【「拝啓、ゴミの中の思想郷にて」】

元祖4・5次元舞台 海賊のように飲む会第17回記念本公演「拝啓、ゴミの中の思想郷にて」を観てきた。

 

2023年3月8日(水)〜12(日)の5日間の日程のうち3日間は昼と夜の2回公演であった。

 

僕が観たのは最終日の昼公演。

 

劇場は上野ストアハウス。海賊はこの劇場で公演することが多い。

 

 

作・演出 カワモト文明

 

海賊のように飲む会という変わった名前の劇団で、作、演出を担当しているのがカワモト文明氏。

 

今回の「拝啓、ゴミの中の思想郷にて」は、なんと2時間半という長時間の舞台だった。

 

幸い、ちゃんとクッション入りの座席という恵まれた劇場で、ぎゅうぎゅう詰めにされることもない。よって、観客はなんとか耐えられる時間だった。

 

けれど、観客を楽しませるサービス精神が旺盛ないつのも海賊スタイルの演出なので、歌あり踊りありアクションありであるため、役者さんは肉体的に辛かっただろう。

 

おまけに今回は着替えをする暇がない演出もあったりして、着替えながら演技をしていたりもした。

 

それが劇団員のみならず応援参加の役者までも同じように扱っていて、もう好き放題に演出している。

 

そんな演出家のカワモト文明氏なのだが、本人も舞台に登場する。

 

舞台での文明氏は、必死に頑張っている他の役者とは正反対にすごくテキトーな演技をする。

 

本当にテキトーで、アドリブと思われることを相手方の役者に向かって言ったりする。相手はそのフリにどう対応するか、そのときにフッと見せる役者の素の表情がよかったりもするのである。

 

そんなことを狙っているのかどうかはわからないが、氏が登場すると観ているこちらの緊張がフッと抜けるのである。

 

まあ、良くも悪くもカワモト氏が海賊船の船長で劇団員をまとめ、海賊船を無茶苦茶な色で染めていることは間違いない。

 

ただ、歌の上手い劇団員の中にあって、ただひとり歌が下手である。

 

 

ストーリー

最近の氏の脚本は構成が似通っているように思われる。

 

ひとりの女性の主人公がいて、悩みなどの問題を抱えている。

 

その主人公が異次元世界へ迷い込む。その世界の人々(?)に励まされて成長していくというものである。

 

今回は、内容が盛りだくさんでしっかりとはストーリーが終えなかったが、だいたいこんな感じである。

 

火事でひとり生き残った7歳の女の子が記憶を失い、施設で20歳になるまで過ごす。ところが周りの全てが嫌いで自分までも嫌いになり、ある日、ゴミ屋敷に置かれたゴミ箱に自分を捨てる。

 

するとそこには地下の世界があって地下アイドルとそれを応援する人たち(?)がいた。

 

人たち(?)というのは、じつはドブネズミや○キ○リで、それらの抗争があったりする。

 

そんな抗争に巻き込まれるも、主人公を助けてくれるもの(ハツカネズミ)が現れる。

 

やがて、どんどん住む場所がなくなっていく現状を変えようとするものが現れる。だが、目指していた場所が土地開発でますます住む場所がなくなってしまうことに気づく。

 

それを主導していたのがどんどん駆除され続けているハチの巣の女王蜂だったというもの。

 

そうした中で主人公は過去の記憶を取り戻し、地上の世界に戻っていく。

 

 

感想

まあ、ストーリーがちゃんと終えなくても楽しむことのできる舞台だと思う。

 

場面場面に「笑い」が仕込まれており、ときどきじーんとくる場面が間に挟まる。

 

だから、観客は笑い、泣く。

 

それが怒涛のように繰り返されるので、こちらは涙を流しながら笑っているという状態になっている。

 

地下アイドルのダンスの振りもキマっていた。うたはちょっと歌詞が聞き取れないところもあったが、役者の踊るダンスは決めポーズが随所にあって魅せたい、見られたい、目立ちたいという気迫に満ちている。

 

パロディソングが間に歌われるが、ある有名な曲によく似てはいるのだが、よく聞けばメロディははっきりと違っていて、それを原曲のイメージで真面目に歌ってくれる。バックの演奏もしっかり作り込まれていて、力とお金がしっかり入っていることが窺い知れた。

 

カワモト文明氏以下役者やスタッフが作り上げた5日間の儚い世界だが、これを観た観客の心の中にその世界が投影され、なんらかの刺激を与えている。

 

それはぼくの場合は「明日も元気に生きよう」というものだが、おそらく同じように感じた人も多いのではないだろうか。

 

それは、脚本と演出ばかりではなく、役者の手を抜かない演技や気持ち、舞台装置や衣装を考えたり作ったりする人々の良い舞台を作りたいという思いなどが5日間の舞台にかたまり集まってできたものである。

 

ストーリーはわからないところもたくさんあるが、作者が言いたいことを一言で言うとそれは「多様性の尊重」ということであるとぼくは理解した。

 

 

最後に

 

長い舞台が終わり、続いてカーテンコール(カーテンはないけれど)。

 

カワモト船長のボケの入った挨拶が長かった。

 

ここで次回公演の発表がある。劇団員はこの時初めて聞いたといって驚いていた。

 

しかし、今回ラスボスで出演したわれらが日本TA協会の前理事長でもある下平久美子さんの日程を抑えたとのこと。

 

また次回も楽しみだ。

 

 

白熱した舞台を見終えて、上野駅に入るとストリートピアノの演奏が聞こえた。

 

小さな男の子の弾く「紅蓮華」と小学生の女の子のクラシックで心を鎮め、夜に始まる講演を聞くために練馬に移動した。

 

では、このへんで

 

 

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