(出典:写真AC Sousuke48)
前回、春一番を思わせる風が吹いたことを書いた。
出かけて行ったのは、とくに「春に誘われたわけ」ではない。
行ってみたら春が来ていることを感じられたのだ。
けれど、ある方のブログを拝見して心にふれたことがあり、気がつかないうちに行動していたのかもしれない。
春の予感
きっかけとなったのは次のブログである(勝手にリンクを貼らせていただきますが、どうぞご勘弁を)。
ここからさまざまなことが頭に浮かんだので、その思考と感情を時間順にたどってみたいと思う。
そのブログでは「春の予感」と題してあたたかな文章と写真で春の訪れを紹介してくれている。その中で素敵な曲を思い出したといって、「春の予感」と言う南沙織が歌うYouTube動画が載せられている。
ぼくは南沙織ファンなのである。だが、聞いてみると「えっ、これが南沙織」という歌い出しではじまった。「こんな曲を南沙織が歌っていたっけ」と思いながら聞いていると、なんとなく聞いたことがあるような気もするし、初めて聞くようにも思えてくる。
しばらく聞いていくうちに、「あっ、これは尾崎亜美だ」と思った。変な言い方だけど、メロディーラインが尾崎亜美なのである。
そこで、YouTubeで[尾崎亜美 春の予感]で検索してみると、やっぱりだった。
Wikipedia で調べると、1978年に資生堂のコマーシャルソング(キャンペーンソング)となった曲だと言うことがわかった。
そこに、作詞・作曲・編曲が尾崎亜美で「2006年6月14日発売の35周年CD-BOX『Cynthia Premium』に付属のシンシア本人解説によると、レコーディングは歌い方が「沙織節」にならないよう、厳しく行われたとのこと」と書かれていた。
なるほど、だから南沙織っぽくなかったというわけだ。
また、「この曲の3年前の1975年のオリビア・ニュートン=ジョンの大ヒット曲「そよ風の誘惑」の原題は"Have you never been mellow?"だったので、当曲のサブタイトル"I've been mellow"は前曲の問いかけの答えそのものになっている」とのことだった。
そういえば、”mellow”ってどう言う意味?
そこでまずは広辞苑。すごい。載っているじゃん。そこには「豊かで柔らかなさま。円熟したさま」とある。
英和辞典はどうか。ジーニアス英和辞典では、
①〈音・光・色などが〉柔らかい、優しく美しい
②〈酒・チーズなどが〉芳醇な、まろやかな
③《やや古》〈果物などが〉熟している、(多汁で)甘い
④〈人・性格が〉(年齢・経験を重ねて)温厚な、かどがとれた、人間としてできた
とある。
だが、どれもしっくりこない。
google翻訳してみると、”I've been mellow”(まろやかになりました)と訳された。
そよ風の誘惑
ここから意識はオリビア・ニュートン・ジョンに飛ぶ。
初めて「そよ風の誘惑」を聴いた時は衝撃的だった。
それは、朱色の小さなトランジスタラジオから流れてきた。
この曲が出たのは1975年だという。その頃は高校生で、ポップスベストテンなどのラジオ番組で洋楽を聴いていた。ちなみにこの頃好きだったのはカーペンターズ。そしてピンクフロイドというイギリスのプログレッシヴ・ロックバンド。
まあ、それはともかく、オリビア・ニュートン・ジョンという聞きなれない名前の歌手が歌う「そよ風の誘惑」という曲が、美しい声で囁くように語りかけてきたのだった。歌詞の内容はわからず、まさに誘惑されているような気分になって聞き惚れていた。
そういえば、歌詞の意味はずっとわからずじまいだ。
そこで歌詞の意味を調べてみてびっくり仰天した。恋の歌ではなかったのである。
肩の力を抜いてのんびりしましょうというメッセージソングだったのである。
オリビアは昨年8月に亡くなってしまった。
亡くなった後に気付いたという次第である。
【超訳】オリビア・ニュートン=ジョン「そよ風の誘惑」Olivia Newton John - Have You Never Been Mellow(和訳)|ひな|note
今回、YouTubeでオリビアが歌ういろいろな「そよ風の誘惑」を聴いた。その中で良かったのは、やはり高校時代に聴いたレコードになったときのもの。
けれど、晩年に歌ったものもグッと心に迫るものがある。その動画のリンクを貼らせてもらおう。
もう一度「春の予感」
「春の予感」の副題はI've been mellow。うーん、なんと訳せばいいのだろう。
そして歌詞を読んでみてもちょっと難解。
ところで南沙織が歌っていたのを知らなかったのはどうしてだろう。
この曲がテレビで流れたころは、就職して1年目。
あの頃は、お給料がもらえるようになったことで、毎週のように映画を見に行っていた。
そして夜はバンドの練習に行っていて、テレビはほとんど見ていなかったのだろうと思われる。
あらためて「春の予感」が流れる資生堂のCMを探して見てみたが、やっぱり見た記憶がない。
このCMを見て視線がいったのは、当然モデルさん。美しい人である。
そして前にあるカメラだった。
カメラはどこのものかはっきりしないが、たぶんローライの二眼レフだろう。
この頃はもうクラシックの部類に入っているのではないだろうか。
ローライとかハッセルというカメラは金属でできていて、なにかオーラを発している。美しいカメラである。
この頃はまだそれほど写真に興味はなくて、修学旅行の前に親に買ってもらったオリンパスEDというコンパクトカメラ(当時はバカチョンカメラといっていた)のを使っていた。
これで自分達のコンサートの写真を撮ったりしていた。
資生堂のCMにバカチョンカメラでさまにならない。
さて、「春の予感」は尾崎亜美もセルフカバーしている。
聞き覚えがあるような気がしたのは、あとになってから尾崎亜美の歌っているのを聴いたのかもしれない。
そういえば杏里の歌った「オリビアを聴きながら」も尾崎亜美の曲だ。
最後に、尾崎亜美の「春の予感」をどうぞ。
最後に
「春の予感」から様々なことが思い浮かび、昔のことを思い出したり新しい発見をしたり、楽しい時間を過ごした。
「春の予感」は「恋の予感」と読み替えても通じるだろうか。おんな心は男にはよくわからない。
南沙織は職場の同僚が大好きで、休日出勤したときにラジカセで流しがら仕事をしていた。その同僚は早くして亡くなってしまった。そんなことも思い出した。
ぼくが好きな南沙織の曲は「潮風のメロディ」。「17才」の次に出た曲だ。
記憶というものはちゃんと残っているものだなあと思う。
普段は忘れているのに何かのきっかけで吹き出てくる。
その記憶一つひとつがこれまで生きてきた証だ。
オリビア・ニュートン・ジョンは昨年ガンで亡くなった。
病いと闘うことは厳しかったかもしれないが、多くの人に"mellow"を与えた。
その人生で本当に多くの記憶を刻み、その記憶をもって天国に旅立った。
Have you been mellow?
では、このへんで
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