Hakuto-日記

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こぬか雨降る 【会津駒ヶ岳】その2

 

こぬか雨降る会津駒ヶ岳を登ると、たっぷりの水を含ませた湿原が現れた。

ほどよい靄があたりを幻想的にしてくれる。

ただ、足元は荒れていて下を見ていないと危険である。

ところどころに高山植物の花が咲いていた。

 

challe.info

 

山上の湿原を歩く

 

水場から1時間半。11時5分前に駒ノ小屋に到着する。ここから右に行けば駒ヶ岳だ。この分岐地点にちょうどよくテーブルとベンチが設置されていたのでここで昼飯にする。

 

山頂近くの湿原地帯に入ってから風が出てきて気温も低くなってきた。ベンチにつくとまずはポンチョを脱いでレインウェアに着替えた。ポンチョを脱いてみるとその暖かさがよくわかる。これならツェルトの代わりになると思われる。

 

さっきから細かい雨が降っている。ポンチョをタープのように段差のあるベンチに引っ掛けようかとも思ったが、風邪で飛ばされそうだし面倒なのでレインウェアのままベンチに座る。

 

ザックからポットとモンベルのリゾットを取り出し、ポットのお湯を注ぐ。今朝、お湯を沸かしてポットに入れてきたのである。こうすればお湯を沸かす時間を節約できる。

 

ポットは350mlの小さいやつだが、いっぱいに入っていれば長時間熱いままであることを先日使ってみてわかった。それで、これならフリーズドライやアルファ米に使えることに気がついたというわけである。

 

11時半、駒ノ小屋の分岐を出発する。木道はしっかり整備されていて鉄の滑り止めが付けられている。これなら安心だ。

 

整備された木道

ところがしばらく行くと古い木道に変わった。「これより木道◯◯がひどく」という丁寧な注意書きまである。〇〇のところは草で読めなかったが、ともかくひどく腐って荒れていた。さらに濡れているので滑る。二、三度滑って転びそうになった。しかし植生を守るため木道から外れないようにする。

 



 

 

 

 

 

11時45分駒ヶ岳山頂に到着する。残念ながら見えるのは周りの木々だけだ。ここは展望がよいとうことだが今日は全く見えない。案内板の山の名を見てそこに見えるであろう景色を想像する。記念写真を撮って12時ちょうどに中門岳に向かって出発した。

 

木道の脇には池がたくさんある。こんな山の上に湿原と池があるなんて不思議な気がする。

 

雨に濡れた草の葉はイキイキとして輝いている。前後には誰も見えない。木道は細かい雨の中に真っ直ぐ輝いて伸び、霞んだ景色の中にに消えていく。こうしているとどこか別の世界に迷い込んだような気になる。

 

すると、その先に黒く大きな柱が立っているのがみえた。そこには大きな池があり、中門岳の標柱があった。山頂の湿原にある大きな池なんてなかなかに珍しい。そして誰もおらずとても静かだ。

 

 

 

 

 

 

 



深田久弥は『日本百名山』のなかで『六月半ばの快晴の日、ただ一人この山に在るという幸福感が私を恍惚とさせた』とあるが、こちらは「9月半ばの秋雨の日、ただ一人この山の異空間に私を引きずりこんだ」。

 

なお、深田氏はこのあと残雪の沢に迷い込んで遭難しかけたと書いている。

 

中門岳のピークはもう少し先らしいのだが、この辺り一帯が中門岳であるようなのでここから引き返すことにした。

 

帰りは、会津駒ヶ岳山頂を迂回するコースを通る。するとそこに「帰りも怖すぎる木道    必ずすべります」という注意書きがあった。

 

危なそうなところで一度立ち止まり、気を入れて右足を一歩を踏み出す。するとあっという間にずるっと滑った。つづいて左足も滑る。本日初めての転倒。さらに手をついたところが滑り、そのまま木道の下まで落ちた。這い上がろうと手を伸ばすが、腐って濡れた木の上で再び手が滑り、這い上がるのが大変だ。

 

 

その後は滑りそうなところは木道と木道との間を踏んで事なきを得た。

 

そうして駒ノ小屋の分岐地点に戻り、少し先の小屋まで行ってみた。すると愛嬌のある人形が置かれていて小屋主の心遣いがよくわかる。また、そこに書かれている文字もあの注意書きの文字も同じだった。なかなか味のあるユニークな文字でこちらも愛嬌がある。

 

 

 

 

 

 

 

小屋近くの分岐

雨は湿原を過ぎたあたりで止んだ。その後も何度か滑り、そのうち1回手をついた。

 

下るほどに暖かくなり、時々日も差したのでレインウェアを脱ぐ。ただし、尻餅をつくとズボンが汚れるので下は履いたままにした。

 

特に急いだわけではないが、水場まで1時間のところ50分、さらに登山口までこちらも1時間のところ50分で、15時20分に下山した。

 

 

駒の湯

桧枝岐村役場

登山口の階段を降りると目の前にベンチが置かれていた。そこで少し休憩をする。

 

そのあと駐車場のスーパーカブに乗って下り始める。ここはそうとうにくねくねとした九十九折なので、滑らないように慎重にくだる。

 

もうこの時間上ってくるものはないと思っていたら、1台の乗用車がライトをつけて上ってきた。これから何をしにいくのだろう。

 

途中、アングラーが車のところにいるのが見えた。この辺りはフライフィッシャーが多いように見受けられる。

 

国道まで降りると、キャンプ場とは反対に右折する。駒の湯温泉に行くためだ。スタンプラリーのキャンペーンがあるとかで、スタンプを3つ押して貰えば抽選ができるという。もうすでにキャンプ場で一つ押してもらっている。次は駒の湯で押してもらおうという考えである。

 

駒の湯は役場の隣にあり、スーパーも隣だ。入り口で靴の泥を落としていたら地元のおばあさんが二人出てきた。お互いに気持ちがよかったねと言いあっていた。

 

ちなみに通常600円のところ、キャンプ場で入浴券を400円で買うことができた。

 

中に入り入浴券とスタンプのハガキを差し出す。スタンプは後ひとつ、500円以上の食事か土産を買えばいい。今晩は道の駅で夕食を食べようと考えている。

 

温泉は古く鄙びたところを想像していたが、新しい施設であった。そこはちょっと残念だった。また、外で涼むスペースはあるが露天風呂はない。それも残念。

 

しかし、気持ちのいい湯で外で涼みながらのんびり疲れを癒した。

 

ゆっくり温泉に浸かり、のんびりとキャンプ場に向かう。道の駅はすぐ近くなのでバイクを停めて歩いていくことにした。

 

道の駅の隣にあるレストランに行ってみると閉まっていた。なんと午後5時閉店である。時計はわずかに5時を回っていた。

 

近くの店もことごとく閉まっている。仕方なくテントに戻りアルファ米にレトルトカレーの夕食とした。

 

スタンプラリーもあとひとつスタンプが足りなかった。

 

 

最後に

会津駒ヶ岳はほぼ平らな山頂であった。

それが湿原となっている面白い山である。

その姿はその山に登っていてはよくわからない。

明日は燧ヶ岳。

そこからの会津駒ヶ岳は深田久弥を魅了した。

 

雨も上がり、檜枝岐の夜は暑くも寒くもなく、キャンプにうってつけの夜だった。

 

では、このへんで

 

 

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