前回は長衛小屋に到着し、翌日に駒津峰まで登ったところまでを書いた。
沢沿いの道から岩をぶちまけたような場所の裾野を通って仙水峠、そしてそこからの樹林帯の急登。
こうした変化に富んだ登山道を進んでいった。
あいにくの天気で眺めは良くなかったが、この変化のおかげでそれなりに楽しめた。
今回はさらに違った道を進んでいく。
駒津峰から甲斐駒ヶ岳
岩稜のやせ尾根を登り下りしながら駒ヶ岳に向かう。ここからは北沢峠からの別ルートから登ってきた登山者と合流して混雑し、渋滞することもしばしば。
六方石という大きな岩を過ぎてから駒ヶ岳への登りが始まる。少し進むと直登コースとトラバースコースとに分かれていたのでトラバースを選ぶ。なるほど、地形図で道が分かれていたのはそういうことだったのか。
進んでいくと花崗岩のまあるい岩が現れはじめ、登山道は砂地になって歩きづらい。多くの登山者が途中でしゃがみ込んで休んでいた。
一旦登ってからトラバースする道を行くと、摩利支天への道が分かれている。さらに進んで行くと摩利支天がどんどん近づいていく。あれ、道を間違えたのかなと思っていると道は左に大きく曲がり、駒ヶ岳の白い砂と岩の山頂を見上げるようになる。
急な斜面をルートの目印を頼りに登っていく。けれど、これがなかなかにわかりにくい。あとで他の登山者が話しているのが聞こえたが、この下りで大きく道を間違えてしまい、だいぶ戻ってきたということだった。
頂上付近はさらに急になり、大きな岩場を何度か乗り越える。この岩場を乗り越える時はスリルがあり緊張した。
午前10時32分、 駒ヶ岳に登頂。
頂上には祠があり、扉に吊るされた草鞋に駒ヶ岳神社のお札が貼ってあった。古来から信仰の対象としていたことが窺い知れる。
山頂はわりと広く、みなが思い思いに昼食をとり始めている。
ここでぼくも昼食。花崗岩の岩陰でお湯を沸かす。ところがアブや小さな羽虫が飛び回り、すぐになんにでもとまってくる。鍋に水を入れたらすぐに小さな虫が落っこちた。虫を払いながらモンベルのリゾッタを食べる。
遠くの山々には残念ながら雲がかかっていた。少しずつ晴れてきているようには思えるが雲が流れてもすぐにまた雲がかかってしまう。
午前11時半、下山を開始する。
下山は登りとは違う道、まっすぐ下る(登る時直登と書かれていた)道をいく。こちらの道は登る人も下る人も少なく、静かだった。ただ、道と言っても道らしい道は少なく、あとは赤い丸印を頼りに砂地や岩場を進んでいく。
しばらくして、男性が大きな岩の間を抜けてきたので道を譲ろうと脇によけた。ところが、その男性がちっともこちらへやってこない。「どうぞ」と声をかけたら「二人なので」という。後ろに人がいるとのことだ。
すると別の男性が足を置く位置などを指導している声が聞こえた。だんだん様子がわかってくる。どうやら初心者の女性がいるようだ。かなり手こずっている。それにもう一人女性がいる。
後ろに3人いたわけである。おまけにその難所を通過してもなかなか動かず、こちらを見ても一言もないのでいらいらしてしまった。こうして10分以上待たされたうえ、やっと横を通る時に簡単に挨拶されたきりであった。
そのあとそこを通ってみると、そこはあの直登とトラバースの分岐点を過ぎたばかりのところだった。あのような初心者であれば、引き返してトラバースのコースを行くべきであったのにと思った。
12時40分、駒津峰に戻ってきた。少し休んでこの後は双児山方面に向かう。
下り始めはハイマツの明るい道をいく。なだらかだった道が少しずつまっすぐ下に向かって下っていく。その道がざれ場になったかと思うと樹林帯に入った。
樹林帯の下りも急斜面で道がジグザグになっている。もう後少しで北沢峠というところで膝が痛み出す。そこから30分ほどゆっくり下っていく。
北沢峠には14:40に着いた。
目の前にバスが停まっていて、もう既に大勢乗り込んでいた。
数人が到着したばかりのようで、トイレに行ったりして出発を待ってもらっている。
長衛小屋テント場には15時丁度に着いた。
最後に
今回は、しっかりと準備したつもりが2つの忘れ物をした。
まず一つが帽子。
帽子は頭の保護のためにあったほうがいい。保護というのは木の枝などにぶつかった時の衝撃を和らげるということ。また、虫などが髪の毛の中に入り込まないようにする目的もある。
以前職場で、海外登山から帰ってきた後輩の女性の頭の中に寄生虫が入り込んでいたことがあった。
もう一つの忘れ物が100均の桐のまな板。これはストーブでお湯を沸かす時の下に敷くものとして使っていて、下に石を置くと一段高いテーブルになる。
初めは白木のまま使っていたが、今は塗装をして水濡れにもオーケーだ。塗装する時にサンドペーパーで磨いたので通常より10グラムほど軽くなっている。
今回は、ガスストーブ用のアルミが貼られたシートを入れたのでつい忘れてしまった。このシートではあまり熱を防げないので、テント内の入り口で使用したら、シートの下に敷いていた厚さ2ミリの銀のテントマットにわずかながら影響が出た。
しかし、忘れたおかげで、この2つ有用性に改めて気がつくことができた。
さて、次は翌日に登った仙丈ヶ岳につづく。
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