昨日、TAの研修講座があった。理事長コラボというありがたーい講座。
日本交流分析学会の芦原睦理事長と我が日本交流分析協会の下平久美子理事長が講師なのである。
午前は「心療内科における交流分析の実践」と言うテーマで芦原先生。午後は「成長に生かすポジティブなTA」と題して下平先生。
今回受けた講座について簡単にまとめました。
心療内科の話
「心療内科」という言葉はわりとポピュラーになっている。
この心療内科とはどんな人を見るところなのか知っていますか。
そして、心療内科の専門医は日本にどのくらいいると思いますか。
では、最初に専門医の方から。
実は専門医は日本に100人ほどしかいないそうだ。
心療内科専門医になるためには、まずは内科の認定医になる必要があり、それには5,6年かかる。それから心身医学の知識を習得しなければ心療内科専門医にはなれないという、なかなかに大変なものらしいのだ。
日本心療内科学会のホームページで調べると、ぼくの住む神奈川県にはたったの6人。その中のお一人は日本交流分析学会の前理事長だった。
次に心療内科が行う診療の範囲はというと、神経症、心身症、身体病にまたがる範囲。
神経症とはノイローゼ。心身症とは身体疾患があり、それが心理社会的な要因が密接に関与して形態的あるいは機能的に障害がある状態(これはあくまでも筆者の理解に基づく定義)。
いずれにせよ身体に発生するなんらかの障害の原因が心理的なものからくるということである。
人間の体って不思議なものだ。
実例として写真を(もちろん個人を特定できないようにして)見せてもらったが、首が斜めに傾いたり、横を向いてしまって真っ直ぐにならなくなったりすることが実際に起こる。
回復して元の状態になった写真も見せてもらったが、治療には3つのアプローチがあり、どれが向いているかは人それぞれだという。
その3つとは、
- 交流分析による療法・・・これは感情に焦点を当てたもの
- 自律訓練法・・・これは体をリラックスさせて、これにより心もリラックスできるようにするもので、行動に焦点を当てたもの
- 認知行動療法・・・問題を克服するために簡単なものから段階的に難易度を上げていくもの(系統的脱感作)で、思考に焦点を当てたもの
以上の3本柱で治療を進めていくそうである。
ちなみにTAでは感情、思考、行動の総合体を心と定義している。
もちろん薬も併用し、症状が軽くなるとともに薬(向精神薬)を減らし、漢方を処方していくという芦原先生のお話だった。
雑談として面白かったのが、よく誤発信による電話がかかってくるというところである。
最近のスマホは触れるとすぐに電話がかかってしまうので、特に「あ」で始まる名前の人に誤発信されることが多いということだった。
それもどうやらスマホに慣れていないご高齢の方に多いようなので、発信前確認のアプリを入れてほしいと言っていた。
調べてみると、Android 10及び11に対応する次のようなアプリがある。(残念ながら古い機種には対応していないようだ)
なお、IPhoneにはこのようなアプリは見当たらない。
だから、少なくともポケットに入れておいて誤発信してしまわないように、画面をオフにしてからポケットに入れるなどの工夫が必要である。
芦原先生はとても楽しい方でお話がとても面白かった。聞いているこちらを大いに楽しませてくれた。
ポジティブなTA
心理療法に使われるTA(交流分析)。その場合は当然ネガティブな面に焦点が当てられることになる。
心療内科にかかるような病気にならないために、生活そして人生を豊かにするためにもTAを使うことはできる。
短所といわれるものは、必ず反対の側面から見ると長所になる。
たとえば、優柔不断な人は思慮深いとか慎重さがあるとかだ。
こう言った長所、強みに焦点を当てていこうというのが今回のテーマのポジティブなTAである。
人は快になるストロークをもらえると行動的になり心が活性化する。ストロークとはあなたの存在を認めているという言葉がけやふれあいのことである。
この快のストロークで心が満たされた状態が自律した大人であるということだ。
自分自身をこの快のストロークでいっぱいにすると、周りのひとにもプラスのエネルギーが伝わっていく。
だからまずは自分が幸せになることが先決だ。
TAでは、自分が決めた人生を生きることを勝利者の人生を生きるという。
これを邪魔するのが、親のしつけや期待を受けてきた中で、とくに自分の心の呪縛となっているものである。
たとえば、親からいつも「ちゃんとしなさい」とか、テストで80点を取ってきたら「今度は100点ね」などと言われると、完璧でなければならないと思い込んでしまい、それが大人になっても心を縛っていることがある。
こうした心を呪縛するしつけは全世界共通で、それを整理してみると5つに分類される。
それは、
- 完璧であれ
- 強くあれ
- 一生懸命やれ
- 他人を喜ばせよ
- 急げ
以上の5つで、これをTAでは「ドライバー」(かり立てるもの)という。
このドライバーに気づいて、セルフコントロールできれば、逆に強みというワーキングスタイルにできる。
職場では、関係する人たちのワーキングスタイルをも理解できれば、お互いの強みを生かすこともできる。
午後はこう言った内容の話であった。
下平先生は長年企業研修の講師を務めてきており、大学の非常勤講師として学生にも教えてきたカリスマ講師である。加えて舞台女優でもあり、話がつまらないわけがない。
午後も楽しく学ぶことができた。
最後に
芦原先生の話。
あるとき100くらいの不安持っているという患者が訪れたそうだ。
そこで、それをノートに書き出してもらったところ、20くらいしか書き出せなかったということである。
それに人は大抵5つか6つくらいしか覚えていられないらしく、重要性の低いものは下位になって忘れていくものだそうである。
A(アダルト)という成人の論理的な考える力を養うには日記が効果があるともお話しされていた。
「書く」という行為はこうした効果がある。まずは紙に書き出してみるというのが良さそうだ。
今回は受講者側にいたTAの講師の方からこういう話もあった。
「FC(自由な子供)を高めるには、感じたことを言葉に出してみる」といいそうだ。
晴天の空を見上げて「本当に真っ青な空だ」とか「空気が美味しい」とか言葉に出してみるのだ。
言葉の力って大きいなあ。
では、このへんで
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