Hakuto-日記

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長谷川潔のメゾチント 【八甲田その3】

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奥入瀬 (リバーサルフィルムをデジカメで複写)

 

奥入瀬渓流を歩いて十和田湖に出る。

湖畔のキャンプ場に泊まるが夕方から雨。

翌日、酸ヶ湯のキャンプ場に戻ると夕方から激しい風雨。

ところが前夜の嵐が去っても天気は良くならなかった。

けれど、そのおかげで感動的な美しい作品と出会うことができた。

計画通りにいかないのが旅。

だからこそ旅はおもしろい。

 

さて、八甲田の旅も最終日となります。 

 

前回の旅はこちら

challe.info

 

りんご市場

朝になると風は少し弱まったが雨は降っていた。今日は撮影はあきらめて観光旅行に切り替えることにする。


酸ヶ湯を8時20分発の青森行きのバスに乗る。雨にけぶる森の中の道を進んでいくと、おととい登った八甲田山のうちの大岳とは別の、田茂萢岳(たもやちだけ)に登るロープウェイの駅前を通る。それからバスはだんだんと坂を下って行く。

 

しばらく進むと平地になり、見覚えのある家々が見え始める。たった3日前なのに青森の町が懐かしく感じる。

 

青森駅には9時15分に着いた。なんと1時間もかかっていない。行きは1時間半もかかったのに。それだけ標高の高い場所にいたということだ。

 

青森駅で弘前行きの時刻表を確認する。今日は弘前まで行ってみることにした。

 

奥羽本線の急行か普通で探してみると、今から一番早いのは10時32分発の普通列車であることがわかる。

 

出発までたっぷり1時間ある。大きな荷物を預け、そこからまず向かったのはりんご市場だ。当時は道路脇におばちゃんたちが店を出し、りんご箱(木箱)に入れて売っていた。その時買ったのは「つがる」で、18個入りが2,500円だった。それを2,300円に負けてもらい、さらに1個おまけにもらう。そのおまけの1個はその場で食べた。うまい。

 

りんごはこの旅行中にいくつか食べていた。「つがる」と並んでうまかったのは「あかね」という品種。そのつぎにうまかったのは「ネロ」。「レッドゴールド」はいまいちだった。

 

この動画にりんご市場が登場します(少し時代は古いけど)。

www.youtube.com

 

長谷川潔展で感動

11時20分、弘前に到着。駅から歩いて弘前城へ行く。途中、青森銀行の歴史的な建造物があったりして、なかなか趣のある町だと思った。そんな町の雰囲気のある喫茶店に入り昼を食べた。

 

弘前城は公園になっていて堀と石垣が美しい。堀の両側に桜が植えられていて、桜が咲くころは華やかな景色が眺められることで有名だ。しかし桜が咲いていなくとも、もともと美しいところだということだ。

 

このとき、たまたま公園内で版画家の長谷川潔展を開催していたので、見て行くことにする。名前は知っていたが、作品を見るのは初めてだった。黒から白のグラデーションが美しく、心に沁みてくる素晴らしい作品だった。

 

長谷川潔の版画はメゾチントといわれる凹版の技法が有名だ。メゾチントは銅板などに全体的に傷をつけ、そのささくれ立った部分を削って絵を描く。そこにインクをつけてから拭いとると、傷の部分にだけインクが溜まる。すると傷の部分は黒く、削った部分が白く印刷される。

 

じつは小学6年生の時、授業でエッチングという技法で自画像を描き、それが選ればれて横浜市の展覧会に出品されたことがある。5年生の時にはドライポイントというのをやった。

 

これらとは違う技法ではあるが、よく似た技法であるメゾチントにもなんとなく親しみを感じていたのである。メゾチントは中間調が出せるので繊細な表現ができるところに特徴がある。

 

長谷川潔の版画はこの特徴が生かされ、階調が豊かで素晴らしかった。

 

十分に版画を堪能したあと弘前駅に戻り、15時15分発の列車で青森に戻る。16時12分、青森駅に着く。そしてこのあと、17時50分発の急行八甲田に乗って上野に戻る予定だ。

 

列車が出るまで時間があるので海を見に港へ行った。するとちょうど連絡船が着くところだった。しばらく風に吹かれてぼーっと海を眺めていた。

 

そのあと商店街をぶらりとしてから駅で荷物を受け取って列車に乗った。

 

こちらで作品の一部を見ることができます。

www.suiha.co.jp

 

まとめ

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この年2月に訪れた時の青森港(プリントをデジカメで複写)

 

以上で八甲田の旅は終わりである。

 

今回の旅を振り返ると、天気には恵まれなかったが、おかげでテントが風にも雨にも強いことが証明された(眠れなかったけど)。

 

夏に出会ったライダーとの再会があったり、たまたま入った美術展にも感動した。そして八甲田山の湿原と周りの紅葉は素晴らしかった。

 

それなのに、青森港を歩くときなぜか寂しさを感じた。連絡船もなぜか寂しいのだ。
その後も何回か青森を訪れたが、やはり寂しさを感じてしまう。

 

いったいなぜだろう。

 

関東からみると青森は北の果ての町というイメージがある。さらには石川さゆりの歌った「津軽海峡冬景色」という曲も寂しくて悲しい歌だ。加えて初めて訪れた2月に乗った連絡船からみた青森港のどんよりとした空の思い出も重なる。

 

www.youtube.com

 

おそらくそんなことで作られたイメージだろう。

しかし、それだけにとても旅情を感じるのだ。

 

一昨年、自転車日本一周のときに訪れた青森も雨だった。

そしてリンゴを売っていたおばちゃんたちはもういない。みんなビルの中に入ってしまった。旅情は感じるけど、昔ほどではなくなってしまった。今はそんなことも寂しい。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

では、このへんで

 

 

森県産 りんご 5kg箱 訳あり サンふじ 林檎

 

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