「忙しくて睡眠時間がとれない」
「朝起きるのが辛い」
今回は、そんな方に知っておきたい睡眠の話をまとめました。
今日の内容は、
以上についてです。
わたしも勤めているときは、ついつい夜更かしをして、睡眠不足で出勤ということがよくありました。
良くないとは思いながら、残業もあるし、付き合いもあるしでこれがなかなか直せない。
ちゃんと睡眠に関する本も読み、体内リズムやメラトニンという脳内物質のことも勉強したのに全く役に立てていませんでした。
今思えば、睡眠について軽く見ていたのだと思います。
仕事を辞めてたっぷり眠れるようになった今わかることがあります。
それは、睡眠不足の時はあきらかにその日の調子が悪い。ちゃんと睡眠を取れているからこそ、そのことが良くわかるようになりました。パフォーマンスが落ちることがはっきりとわかるのです。
働いている頃は寝不足が慢性的に続いていてそのことに気づけませんでした。
ですから、これを読んでくれているあなたがそのことに気づいてくれたら嬉しいと思います。
何としても睡眠時間を確保する
人はなぜ、「寝る」のでしょうか。
それは、健康で、自分が幸せであると実感できる毎日を送るためではないでしょうか。
そんな、幸せを実感できる毎日を送るためにはどうしたら良いのでしょう。
それは、人間のリズムで生活することです。
人間のリズムとはどういうことでしょうか。
朝、お腹が空いて目覚め、ご飯を食べたらトイレに行きたくなる。昼は目一杯活動し、夜には疲れてコトンと寝る。そして次の朝元気に目覚める。
こうした人間のリズムに従っていれば健康になり、幸せになります。
でも、どうしてそうなるのでしょう。
それは、人間が動物だからです。そして太陽が出ているときに活動をする「昼行動物」でもあるからです。
意識してコントロールすることが難しい呼吸や食欲、自律神経など、人間が生命を維持していくために必要なことは昔からの脳が司っています。
記憶や思考、言語など高度な心や感情はより進化し発達した新しい脳が司っています。
「朝起きるのが辛い。けれど起きて仕事に行かなくちゃ」「夜になかなか寝付けなくて」などということは、新しい脳と昔からの脳が一致していない状態、人間のリズムが狂ってしまっているということです。
人間には体内時計というものがあります。それはほぼ25時間の周期で動いています。少しだけ長いため、毎日修正する必要があります。修正する方法は簡単。それは太陽を浴びることです。
では、どのくらいの睡眠時間をとればいいのでしょうか。
それは、7〜8時間です。
脳が疲れを感じ眠りに入ってから、脳が十分に回復して覚醒するのには7時間はかかるといわれています。1980年代にアメリカで調査したデータでは、最も死亡率の低かったのは6.5時間〜7.4時間の睡眠をとっているということがわかりました。
だから最低でも7時間睡眠は死守した方が良いということです。
質の良い睡眠をとる
人は眠らないと死にます。
眠れないということは、昔からの脳に異常をきたしていること。生命の危機に向かっているということです。
眠れない理由、それは不安だから。すると眠っていてもすぐに目が覚めてしまう。だから、不安を取り除くことが必要になります。
けれどそれはなかなか難しいことですね。
それではせめて、眠りをよくする努力をしましょう。そうすることにより状況が良くなる可能性があります。
途中で目覚めてしまうのは、眠りが浅いためです。
質の良い睡眠を取るためにはソファでのうたた寝は厳禁。睡眠は7時間基準と決めて、脳に覚えさせること、そういった習慣を作ることが大切なのです。
つまり、人間としての本来のリズムを取り戻すこと、生活リズムを立て直すことが先決です。
ところで、人が眠くなる仕組みを知っていますか。
眠くなる現象は、メラトニンという物質が昔からの脳から分泌され、体の深部体温が低下することにより起こります。
朝、光を浴びると体内時計がリセットされてメラトニンの分泌が止まります。
ですから、質の良い睡眠をとるためには、メラトニンがしっかり分泌される必要があります。さらにメラトニンにはアンチエイジングという抗酸化作用があり、体の免疫細胞を活性化させます。
このメラトニンがきちんと分泌されるためには、セロトニンが分泌されなければなりません。メラトニンはセロトニンを原料としているからです。
セロトニンとは、別名、幸せホルモンと呼ばれ、感情を安定させたり、頭の回転を良くしたりする脳内物質です。ストレスをやわらげる効果があり、精神安定剤の働きをします。心をコントロールしたり、痛みを和らげる働きもあります。
セロトニンが不足すると、「慢性的なストレスや疲労」「イライラ」「やる気の低下」「うつ症状」「不眠」などといった症状が現れます。
なお、男性は女性に比べてこのセロトニンを生成する能力が高いことが知られています。女性は男性の2倍うつ病になりやすいのはこのためだと言われています。
では、セロトニンを増やすにはどうしたら良いのでしょう。
1太陽の光を浴びる
視覚神経で光を感じる。
2リズム運動
1日15分〜30分の軽い運動をする。
ウォーキング、食事での咀嚼運動、意識的な呼吸などをする。
3グルーミング
人との触れ合い、タッピングタッチ(リズミカルに軽く肩などに触れる)をする。
なお、精神科専門医の長谷川大輔氏によれば、なんと、体内のセロトニンの90%が消化管に存在しているそうです。腸は「第2の脳」とも言われています。腸のはたらきは自律神経によってコントロールされており、精神状態と大きな関係があるということです。
ですから、バランスの良い食事を摂ることや食生活を不摂生にしないことも良い睡眠を取るためには必要であるということです。
睡眠を活用して学習効果を上げる
眠りにつく前の読書は、自然な眠りを妨げないので良いそうです。
これは、学習効果を上げることにもつながります。
睡眠には、覚えたことをしっかりと保つ効果があります。覚えたら忘れないうちに寝ると眠っている間に記憶が定着し学習効果が上がります。
この場合、光を発するスマホやタブレットなどではなく紙の本が良いです。
それは、光を目に当てていると、網膜で取り込んだ光は脳の後頭葉で認識してしまい、覚醒に向かってしまうからです。
ですから、覚えたいことは寝る前に紙の本やノートで読んで、眠気を覚えたらすぐに寝ると学習効果が高まります。
記憶が定着する仕組みは、次のようになっています。
ご存知かとは思いますが、人の眠りには、ノンレム睡眠と、レム睡眠があり、1時間半くらいでこれを繰り返しています。
ノンレム睡眠とは脳が休息しているときで、レム睡眠とは体が休息しているときです。
暗記などの記憶は意味記憶と呼ばれるもので、このノンレム睡眠とレム睡眠により定着します。レム睡眠時には、かつて記憶したことや経験と関連づけて、記憶を想起しやすくすることを行なっています。
また、睡眠直後の深いノンレム睡眠には、昼間に経験した嫌な出来事の記憶を忘れさせる働きがあり、朝方の浅いノンレム睡眠には手続き記憶を定着させる働きとともに、昼間経験した記憶と過去の記憶とを結びつける働きもあります。
手続き記憶とは、自転車の乗り方とか、スポーツで学習したことの記憶です。
このことから、短時間睡眠では,浅いノンレム睡眠が無くなって、昼間に学習したスポーツのコツなどを忘れてしまい、過去に学習したこととの関連性も身につけられなくなります。
更に,朝方の長いレム睡眠がないので,記憶の定着やすぐに思い出せないということが起こります。
短時間の睡眠は人間のリズムを乱すだけでなく、記憶にもよくないということですね。
(参考文献)
『「睡眠第一!」ですべてうまくいく』成田奈緒子 著)
「睡眠第一! 」ですべてうまくいく | 成田 奈緒子 |本 | 通販 | Amazon
『セロトニン睡眠法』有田秀穂 著
「脳ストレス」に強くなる セロトニン睡眠法 | 有田 秀穂 |本 | 通販 | Amazon
『受験脳の作り方』池谷裕二 著
受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫) | 裕二, 池谷 |本 | 通販 | Amazon
セロトニンの増加が心身に及ぼす効果 | 医療法人社団 平成医会(精神科専門医 長谷川大輔)
第1回 睡眠と記憶について|知っていますか?「勉強に効果てきめんな睡眠」の手に入れ方(甲南大学 知能情報学部 准教授 前田多彰)
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
睡眠時間は7時間を死守しましょう。
そして質の良い睡眠をとるためには生活リズムを整え、朝日を浴びたり、軽いリズム運動を行いましょう。家族と触れ合うのも大切です。
寝る前には本を読んでリラックスし、眠りに入る体制を整えましょう。寝る前に読んだ本の記憶は寝ている間に定着して記憶に残りやすくなります。知識も得られて一石二鳥ということです。
定年を迎えて一番幸せに感じていることは、眠いのに無理に起きなくて良いことです。
もう眠っていられなくて(体が痛くて)布団から出ることの幸せ。ところが、だんだんと寝る時間が遅くなり、それに伴って起きる時間も遅くなってきました。
これではまずいと考えて、睡眠についてもう一度見直そうと思いました。
人生は1日1日の積み重ねです。
その1日を活動的で笑顔で過ごせたら幸せですよね。毎日が幸せならそれは幸せな人生を過ごしたことになる。
だから、ここに書いたことを私もしっかりと実践していこうと思います。
では、このへんで
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