前々回は自転車トラブルとその備えについて書きました。
そして、前回は事故の予防と怪我について触れました。
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さて、今回が最後になりますが、自転車で旅をしているときに起こるかもしれない、体に関するトラブルについてお話ししようと思います。
また、その他に気をつけることをいくつかお伝えします。
事前の対策に役立てていただけたらうれしいです。
【目次】
体に関するトラブルと予防策
体のトラブルについては、人それぞれだと思いますが、ここでは多くの人に起こり得るトラブルについて考えてみようと思います。
はじめに、自転車ならではの体のトラブルから見ていきたいと思います。
筋肉痛
これまで、ほとんど自転車に乗らないで、これから自転車旅を始めようとした場合は、おそらくだれでも筋肉痛を経験することになるでしょう。
普段、自転車に乗っていても、重い荷物を積んだ自転車の旅となると、最初はふらふらして肩や首に力が入り、その周辺の筋肉が凝ってくるでしょう。
また、坂道で力一杯に漕いだ場合にも脚やお尻の筋肉が筋肉痛になるかもしれません。
何れにしても、筋肉痛は筋肉が発達している証拠です。古い細胞が壊れて強くて新しい細胞が生まれている過程なのです。
つまり、体が鍛えられてそのうち筋肉痛を感じなくなるということですから、前向きに捉えましょう。
けれど、あまりひどいと辛いですよね。
そうならないためには、一つの筋肉を酷使しないことが重要です。体の筋肉を総動員して負担を分散しましょう。
回復の方法は、熱を持つほどの激しい痛みにはアイシングして炎症を押さえましょう。それが治ったら、ゆっくり温泉にでも入って筋肉をマッサージして体を休めるのがよさそうです。
そして、やはり効果があるのは睡眠です。食事で栄養をしっかり摂ることも大切です。
こちらのOMRONの記事が参考になります。
筋肉痛を早く治す、簡単にできる予防と対策法|スポーツによる慢性の痛み|痛みwith
膝痛・腰痛
膝痛・腰痛も続くと辛いですよね。
痛みの原因は様々な要素があると思います。 ここでは、ポジショニングとペダリングについて触れたいと思います。
膝や腰が痛くなる原因のひとつは、あなたに合ったポジショニングがとれていない、特にサドルの高さが合っていないというところが大きいと思います。レースをやられる方は1ミリ単位で調整をするそうです。
自転車旅をする上ではそこまで厳密な調整を行わなくても大丈夫ですが、サドルが高すぎても低すぎてもよくありません。
それは、脚に負担がかからないペダリングが行えないからです。できるだけ大きな力を使わないようにし、体を使ったペダリングをすれば、楽ですし筋肉痛にもならなくて済みます。
大きな力を使わないとは、いきなりスピードを上げたりしないこと。坂道で重いギアのまま踏ん張ってペダルを踏まないことです。
こういった膝や腰に負担がかからない走り方をすれば、痛みが起こりにくいと思います。
どうすればあなたに合ったポジショニングが行えるのかは、ぜひ専門家の記事等を調べていただくか、専門のショップに相談していただきたいと思います。そうやって、サドルの位置やハンドルの高さなど少しずつ変えて走ってみて、自分にあった位置を探すのがよいと思います。
体を使った楽なペダリングについては、以前に書いた以下の記事を参考にしてください。
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尻痛
これも上の記事の中で触れていますが、
1 尻当てパッドをつかう(厚ければいいというものでもない。レーサーパンツがおすすめ)
2 信号では必ずサドルから腰をあげる(効果絶大)
3 適度に休憩を取る(同上)
4 軽すぎるギアをつかわない(ペダルに体重が分散できない)
5 サドルを変えてみる(またはクッションのついたサドルカバーをつかう)
旅の途中でサドルを変えるのは難しいので、旅に出る前に試しておくことも大切ですね。 なお、私は旅の後半にはあまり痛みを感じなくなってきたので、おそらく大臀筋の発達により痛みが発生しにくくなったのではないかと思っています。
目のトラブル
目の保護は大切です。走っている時に枝の先などが目に当たる場合があります。そして、下り坂などでスピードが上がり風が目に入ると、涙のため前が見えなくなってしまいます。私は普通のメガネと普通のサングラスをもっていきましたが、これでは、メガネの下から風が入ってきました。やはり、スポーツグラスをお勧めします。
旅を終えた現在は、サングラスの内側にレンズをはめられるスポーツグラスを使っています。風を巻き込まずとてもいいです。
度付き対応スポーツサングラスAVENTURAというやつです。
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さて、次は病気について考えましょう。
風邪・頭痛
風邪をひく原因は、たいてい後から思い当たることがあると思います。私も冬場に汗をかいてそのままにしていたことが原因と思われる風邪をひいたことがありました。
頭痛がすることもあるかもしれません。鎮痛剤を持っていると安心です。鎮痛剤は頭痛だけでなく、怪我の痛みにも効果があります。
薬選びにはこちらの記事を参考に。
薬に慎重な方はこちらの記事を参考にしてみてはどうでしょうか。
熱中症
熱中症予防には水分補給と、塩分補給が良いとされています。
年をとると体温調整機能が低下するので特に注意しなければなりません。喉が渇いていなくてもこまめに水分をとるようにしましょう。
頭から水をかぶったり、ウェアに水をかけるとかなり涼しくなるそうです。
幸い私は、真夏の暑い時期は骨折の療養のため自宅にいたので、本当に暑い時期は走っていません。でも中断する前の暑い日は、無理をしないでちょこちょこ休憩をとっていました。
腹痛・下痢
旅の途中で腹痛を起こすのは、なかなかやっかいです。生ものに気をつけたりしていても起こることがあります。
トイレのないところでの下痢になると一大事です。私は途中で引き返して一軒だけあった食堂に駆け込み、お願いしてトイレを拝借したことがありました。
暑いからといって、疲れた体で冷たいものを摂りすぎるとお腹をこわす原因となりますので注意しましょう。特に冷たい飲み物は胃腸を冷やします。
自分にあった整腸剤などを準備しておくとよいと思います。それでも腹痛が治まらなかったり、下痢が続く場合は病院に行ったほうが良いでしょう。
急性胃腸炎
長い間旅をしていると、思いがけない病気になったりもします。
私は、なぜか急性胃炎になり苦しみました。
朝から胃のあたりが痛くなり、とうとう雨の降る峠の上で動けなくなりました。一休みして坂を下っていたらパンク。チューブ交換をしていたら一台の車が止まり、親切にも宿まで乗せて行ってくれました。地獄に仏とはまさにこのことです。けれど夜明け前、我慢できずに宿のオーナーに救急車を呼んでもらうことに。病院で点滴を打ってもらったところ、痛みはふっと治まりました。
その日のことはここに書きました。
次は、気をつけさえすればあまり問題にはならないと思われるものです。
日焼け
若い人はTシャツに短パンで走っているのを何度か見かけました。けれど、日に焼けると体力も奪われますので注意が必要です。
私は年を取ってから日光に当たると赤い発疹ができるようになり、日焼けしないように気をつけました。
対策としては、顔には日焼け止めクリーム、腕には腕カバー、脚には脚カバー、そしてグローブをしていました。それなのに手の甲は結構日焼けしていて驚きました。
しもやけ・あかぎれ
冬場に走る場合は、どうしても末端が冷えて血液が上手く循環してくれません。体質にもよるでしょうが、手や足にあかぎれやしもやけができる場合があります。
私は手にはあかぎれ、足の指にはしもやけができました。当初、冬場に走ることは想定していなかったので、サンダルだけで出発しました。寒くなってきて足の指先を見ると、紫色になり、かゆみを通り越して痛みが出ていたため途中で靴を買い、軟膏を塗りました。飲み薬は高価なので唐辛子を食べて体を温めました。
あかぎれも水に沁みて嫌なものです。あかぎれができてからハンドクリームで油分を補いました。
虫刺され
虫刺されもやっかいですね。暖かい時期はすぐに寄ってきます。寒くなると虫は少ないのでとても楽です。
対策は、当たり前だけれどできるだけ肌を出さないこと、そして虫除けスプレー等を塗っておくことですかね。
テント泊の場合、テントの中にいかに虫を入れないようにするか、それが重要になってきます。テントの中で蚊が飛んでいるとゆっくり眠ることができません。
もし、刺された場合、水で洗って抗ヒスタミン薬などを塗って、ひっかくのを我慢するのが良いそうです。痒みをこらえられるかの戦いです。
やけど
ガスバーナーで自炊をすると、うっかりして熱い鍋を素手で触ってしまうことがあります。するとやけどをしてしまいますね。
私は、革の手袋を片手にはめて料理を作っていました。
また、シェラカップは鍋とカップを兼ねているので便利ですが、お湯を沸かしたすぐ後では、まだ飲み口が冷めていないので唇を火傷する恐れがあります。注意してください。
爪剥がれ
これは、私の場合だけかもしれませんが、私の手の爪は、乾癬のために半分くらいしかちゃんとついていません。だからちょっと何かに引っかかるとひどく痛い思いをします。その引っ掛かりがちょっとひどかった時に親指の爪の半分くらいのところから割れて剥がれてしまいました。しばらくは絆創膏を二重にしてしのいでいました。
股ずれ、衣ずれ
他のロードバイク乗りの方のブログなどで、たまに股ずれの記事を見かけます。私はなったことがないのですが、衣ずれ同様の痛みだと思います。
私の場合は、暖かい時期には直にレーサーパンツを履いていたので問題なかったのですが、冬場になって洗濯を減らそうと、下着のパンツを履いてからレーサーバンツを履くことにしました。次の日は下着のパンツを脱いで直にレーサーパンツを履きます。そうすればレーサーパンツは2日履くことができるというわけです。
ところが、この下着のパンツがよじれると当たっている皮膚がひりひりちくちくしてきます。放っておくと傷ができて自転車に乗るのに支障が出ます。だから、すこしでも違和感を感じたら、コンビニのトイレでよじれを直していました。女性用にはシームレスのものがあるらしいので、男性用にも欲しいものです。
ささいなことのようですが、サドルにあたる部分が痛いと旅を続けるのがむずかしくなるのでとても重要です。
その他に気をつけること
盗難対策
盗難についても、コンビニに停めている時にバックが無くなっていたとかいう話を、宿に泊まり合わせた方や宿のオーナーなどから聞きました。
自転車用のパニアバックは簡単に外すことができるので、注意が必要です。
私も停めておく場所を目立つ場所にしたり、長時間自転車から離れないようにして気をつけていました。
もちろん、人のいる場所で自転車から離れるときには鍵をかけましょう。完全な鍵はありませんが、出来心の盗難を防ぐことはできます。
宿に泊まった時も、盗難があるといやな気持ちになりますよね。ロッカーを使うとか、充電したままその場を離れないとか、必要のないものはバッグから出さないようにして気をつけましょう。私は貴重品(財布、手帳、スマホ)はウエストバックに入れ、いつも身につけておきました。おかげさまで盗難にはあわずに旅を終えることができました。
雨によるトラブル
雨というのもトラブルを招きやすいです。
当然、スリップも起きやすくなります。
対策としては、スピードを出しすぎない。そして、コーナーリングで傾けすぎない、フロントブレーキを強くかけないです。
このほか、レインパンツのお尻部分にシームテープがあれば、剥がれることがありますし、いくらゴアテックスであっても擦れれば水が染み込んでくることもあります。
それに自分のかいた汗で濡れてしまいます。ですから、暖かい時期は、レインパンツはいらないかもしれません。でも、レインジャケットはあったほうがいいと思います。濡れた体で風を受けると意外と冷えます。
靴もびしょ濡れだと気持ち悪いですよね。とくに翌朝に濡れている靴を履くのは嫌なものです。
私はサンダルでしたので、濡れても構いませんでしたし、ソックスにネオプレーンのものをもっていったので、濡れても冷えることはありませんでした。といってもそれは秋の初めまでのことですが。
寒くなってきてしもやけがひどくなってきたので、米子でゴアテックスの靴を買いました。けれどショートカットだったため、シューズカバーをしても靴下が濡れてしまいました。最終的に見つけた方法は、ビニール袋の底をカットして、足に通し、上の部分を輪ゴムで止めるというものでした。コツはぴったりとさせないで、ふわっとスカートのようにすることです。すると足首から汗がうまく蒸発してくれました。
それ以外に雨の日に困ることは、バックへの浸水でしょう。幸い私が使っていたオルトリーブのパニアバッグは完全防水なので、水は入ってきません。ただし、雨の中で度々バッグを開けていると、開けたところから雨が入ってきます。そして完全防水であるため、その後いくら晴れても水はバッグの中に止まったままとなります。
あと、気をつけなければならないのが電子機器の取り扱いです。防水対策が施されていればいいのですが、そうでない場合は雨に濡らせません。私の場合は、スマホ、タブレット、ソーラー充電器、モバイルバッテリーなどでした。
けれどスマホでルート検索をしていたので、苦労しました。TIGRAのスマホホルダーを使っていてこれには雨カバーが付いてきます。ところが、これを装着するとなぜか画面が暗くなってしまうのです。
だから、雨の日はルートを見ながら走ることはできなくて、時々止まってルートを確認していました。TOGRAのスマホホルダーは脱着が簡単で、しかも転倒しても外れることがなかったのでとても優れものだと思います。スマホが防水仕様ならいうことなしでした。
トラブルが起きたときの心構え
これまで想定されるトラブルとその対処法についてお話ししてきました。
ここからは、万一トラブルが発生した時の心構えについてお話しします。
トラブルが起きた時に大切なのは、慌てないことです。
これが非常に大事です。私はトラブルに対処するときは、「ゆっくり、ゆっくり」と自分に言い聞かせていました。
そうして、動作もできるだけゆっくりやるように心がけました。
そうすることにより、余裕が生まれますし、アドレナリンが出て鼓動が早くなっている時などは、ゆっくりすぎるくらいで丁度いいものです。
もう一つ、心構えとして大切なのは、起きてしまったことを受け入れるということです。
誰かのせいにしてもイライラが募るばかりです。
トラブルを予測し未然に防げなかったこと、トラブルを予測できたけれど対策を取らなかったこと、トラブルの兆候をとらえていたのに軽く考えていたこと、そうしたことでトラブルが発生したのです。そのことを受け入れましょう。
もちろんこれは、心構えとして覚えておけばいいことで、もし事故にあったときは、当然過失割合が客観的に判断されることになります。
死なない限り、こうしたトラブルは人生の良い教訓となります。
更に言えば、こうしたトラブルが生じた時にどのように対処するか、冷静に対処できたら自己効力感が増すことでしょう。
トラブルの発生を予測して未然に防ぐことができたらうれしいですよね、そんなときはちゃんと自分を褒めてあげましょう。
うまく対処できなかったとしても、同じ過ちはしないと思うでしょうし、そうなっても今度は冷静に対処できるでしょう。
だから、トラブルを忌み嫌い、起きてしまったことを嘆くより、これからどうすべきかを考えることのほうが現実的ですし、それが前向きに生きることにつながると思います。
最後に
最後まで読んでいただきありがとうございます。
いかがでしたか。
この記事があなたの役に立ってくれたらうれしいです。
おしまいにこれまでの3回の記事をまとめてみます。
自転車のトラブルで気をつけたいことは、適正な空気圧、ネジの緩み、消耗品の消耗または劣化、無理なシフトチェンジをしないことでした。
事故に合わないため、転倒して怪我をしないためには、体調管理をしっかりしていつでも冷静な判断ができる状態で危険予測をすること、自転車保険に加入すること、怪我をした時はRICE、傷は水で洗う、転倒の練習をしよう、でした。
体に関するトラブルで気をつけたいことは、筋肉痛、膝痛・腰痛、尻痛、目のトラブル、風邪・頭痛、熱中症、腹痛・下痢、急性胃腸炎、日焼け、しもやけ・あかぎれ、やけど、爪剥がれ、股ずれ・衣ずれなどでした。盗難や雨の対策もしっかりと。
このほか、持病がある方などはそれなりの注意が必要になると思います。
以上です。
なんでも楽しむ気持ちで旅を、人生を、エンジョイしましょう。
では、良い旅を。