ブックカバーチャレンジ7日目
書名 : 禅とオートバイ修理技術
著者 : ロバート・M・パーシング
ブックカバーチャレンジのラストを締めくくるのは、ものすごく強烈に印象に残っている本。
図書館で借りて読んだ本で、タイトルもうろ覚えでした。今回この機会にあらためて読み直したいと思い、「息子と一緒にアメリカ大陸をバイクで旅をしながら思索を重ねる哲学書のような本」という記憶をたよりに検索してようやく判明。本の紹介文を読んで、これだ! と思いました。
当時、不思議な力に引き寄せられるようにして読みました。
私がオートバイの免許をとったのは24歳のとき。だから、おそらくその後に読んだのだと思います(翻訳本の初版は1990年でした)。この本を読んで、いつかはアメリカ大陸をバイクで走ってみたいと思いました。
バイクの免許を取ったのは、北海道を旅したかったからです。どんな旅が面白いだろうかと考えてみたら、絶対オートバイがいい、と思ってしまったわけです。免許取り立てで出かけたので危なっかしくもありました。このときのバイクはヤマハのオフロードで、林道のコースガイドの本を見ながらダートを探して走りました。砂利道に前輪がハマって転けたり、止まって足を着こうとしたら轍で足が届かず立ち転けしたり。ダートではバイクを起こすのが本当に大変でした。というか必死でした。
今年達成した自転車日本一周の旅は、このときの経験が役に立ちました。
さて、この不思議で難解な本を今また読み始めています。
少し読んでみて、オートバイのメンテナンスについて科学的、哲学的に考察しているのがとても面白いです。例えば修理工の(やる気のない)態度や(散らかった)工具の配置などから、予測されたとおりの結果となって、結局自分で直さなければならなくなってしまったことを冷静に考察したり、オートバイの問題(たとえばエンジンがかからない)の原因を見つけるのに帰納法と演繹法を組み合わせて仮説を立て、それを研究ノートに書き留めて一つずつ実験をして、さらにその結果を書き留めていき、そうやって仮説をひとつひとつ検証していく作業をする必要がある。だから修理工は肉体労働ばかりしているように見えても実はこうした精神活動を行なっている。修理工が作業中に無口になるのはそのせいである、などということが語られている。こういったところがすこぶる面白い。アメリカでベストセラーになったようですが、こうした変わった本を面白いと思ったのが自分だけではないと思うとちょっと嬉しい。
この本の解説は、こちらをご覧ください。
ただし、旅をしたのはパーシングと息子のクリス、そして友人のジョンとその妻シルヴィアなので念のため。