Hakuto-日記

定年後を楽しく、生きたい人生を生きる!

「7日間ブックカバーチャレンジ」がまわってきたので(5)

ブックカバーチャレンジ5日目

書名 : 文章読本
著者 : 三島由紀夫
 
数ある『文章読本』の中からの一冊。
初めて買った中公文庫。なんだか格調高い装幀。だからこの本の内容も格調高く思われたことを思い出します。
中公文庫ってカバーをはずしても思わず眺めてしまうくらいいいですし、手に持っていても酔いしれるほど気持ちが高揚するんです。
さらに同書のなかで三島氏は、「文章の格調」というものを重んじており、まさにぴったりな本でした。
 
三島由紀夫については、あの市ヶ谷の自決事件のため、どうも近づきがたい印象があり、そして今もそんな気持ちを持っています。そのためか、小説は『金閣寺』くらいしか読んでいません。
 
しかしながら、有名な谷崎潤一郎文章読本に対抗して書こうとしたことは何なのか、そしてなによりも文庫本なのに装幀が美しいことに惹かれて読んでみました。たぶん高校3年ころだと思います。
 
この本には、三島由紀夫にとって小説とはこういうものだという考えが詰まっていて、どちらかというと小説の読み方を説く本でした。そして、この本は小説の魅力を私にたくさん教えてくれました。だから、「私の小説の読み方」という方が適切な気がします。井上ひさしの本が「自家版」と銘打っているように。
なお、文章の書き方(文学的な)という点からみれば丸谷才一のそれのほうが優れているように思います。というかわかりやすい。
 
この本に出会ったあと、モーパッサンの『脂肪の塊』とかアンドレ・ジッドの『狭き門』、スタンダールの『赤と黒』などの名作を読みました。しかし、いつかは読みたいと思いながら、マルセル・プルーストの長編『失われた時を求めて』には未だに手をつけていません。これを機会に挑戦してみようかな。