ステイホーム
2020年4月、新型コロナウイルスの感染対策として緊急事態宣言が政府より発せられました。しばらくすると、「ステイホーム」という掛け声により、家に閉じこもっていましょう、みんなで耐えましょう、というようなことがメディアで喧伝されはじめます。テレビは毎日のようにコロナで何人亡くなったというニュースを流し、事実の報道というより人々の不安を煽っているように感じます。
もともと、定年退職後に自転車で日本一周し、帰ってきてからも働きに出ていない自分にとっては、ステイホームと言われなくとも毎日家で過ごすことになります。でも、自転車をフレッシュアップしたり、日本一周の旅をブログにアップすることに忙しく、多少自転車に乗ることは控えてはいるもののそれほどストレスは感じずに過ごしています。
7日間ブックカバーチャレンジ
世の中がそんな状況の中、フェイスブックをみていると、「7日間ブックカバーチャレンジ」というものをたくさん目にするようになりました。これは「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジ」で、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿するというものだそうです。本についての説明なしに表紙だけの画像をアップし、毎日1人のFB友達をこのチャレンジに招待することになっています。中には、スルーしたりパスを回さなくてもOKとなっているものもありました。
これらを見ていて、若干素直になれない自分がいました。それは、第一に「読書文化の普及に貢献するため」ということです。なんだかりっぱな大義名分ですが、好きな本を紹介することが読書文化の普及になるのかという疑問。それに読書文化って一体何? 個人的には本を読むことは好きだけれど、人に読めと言われた本は読みたくありません。まあ、そこまで言われてはいませんけど興味がわかない本は読む気になれません。
次に疑問なのは誰が言っているのかわからないことです。そこがスッキリしません。気持ちがよくありません。ちゃんと発案者の名前を載せてもらいたいです。そして最後に、毎回一人のFB友達を招待することにも抵抗があります。1日目は1人が1人を、2日目は2人が2人を、3日目は4人が4人を・・・7日目は64人が64人を8日目は一人減って127人が127人を・・・そうやって増えていくことになります。もしも最初に大勢の人にメッセージを送っていたらいったいどうなるのでしょう。
当事者になる
そんなことを考えていたら私にも回ってきました。他人事ではなくなったのです。まずはネットで検索してみました。するとそのことが話題になっています。チェーンメールと同じだけど特に害があるわけではないし、という意見が載っていました。ざっと見たところ誰が始めたのかはわかりません。そこで、どうするか自分なりに考えてみます。
1.読書文化の普及とは関係なく、あの人はそういう本が好きなんだ、ということが分かると面白い。
2.自分に影響を与えた本を振り返ってみるのにいいチャンスだ。
3.次の人を招待する苦労を味わいたくないし、招待された人が同じように感じることがあるかもしれない。
そこでマイルールを作り、そのうえで楽しみながらフェイスブックに投稿することにしました。マイルールその1、人生に影響を与えた本を7冊、毎日1冊づつ紹介する。マイルールその2、その本に対してコメントを書き添える。マイルールその3、次の人を招待しない。よって、投稿する際には、読書の普及云々ということや招待するというルールには触れないというか書かない。
以上を踏まえて7日間ブックカバーチャレンジで7冊の本をFBで紹介しました。
このブログでは、コメントを大幅に加筆修正してご紹介します。おそらくあなたにも自分に影響を与えた本があるのではないでしょうか。それを考えるきっかけになってくれたらうれしいです。
今回は長くなったので、1日目(1冊)だけ紹介します。以後、順次紹介していきます。
ブックカバーチャレンジ1日目
書名 : 愛と死
著者 : 武者小路実篤
武者小路実篤は中学生の時にハマりました。大正時代の白樺派の中心的な作家です。ほかには名文家で有名な志賀直哉や有島武郎がいます。でもわたしは武者小路実篤が一番好きです。理想主義的ではあるけれども純粋な心を失わないで作品を書き続け、自身もそんな生き方を目指した方です。時代が変わろうとも人間として失ってはならないものだと思います。
武者小路実篤は画家でもあり、短文を添えた色紙絵が有名です。そして詩人として詩集も出しています。
実は、一番初めに武者小路作品を読んだのは詩集でした。そのなかに「俺は、俺は」というタイトルの短い詩があり、この詩がとても気に入りました。
俺は、俺はと云うと気がひける
春の日。
これだけです。今思うと俳句みたいですね。今俳句をやっているのはそのせいかも。また、この詩集に出会ってから様々な詩人の詩集も読むようになりました。ランボーとかね。私の原点はこの辺にあるようです。
この作品はスペイン風邪が流行った頃に出会った恋人との回想の物語です。
ただ、いまのようにSNSやメールが使えたらこの小説は成立しなかったでしょう。