9日、根室から厚床に向かう途中で翌日の宿泊場所を確保するため電話すると、なんともう今年は閉めたという。わかりましたと電話を切って数分後、電話が鳴る。
「今どこにいるの。今日はどこ泊まるの」
と聞かれ、それに答えると
「いいよ、開けてやる」
ラッキー。ついでに食事もお願いしました。そこの夕食は安宿に泊まるものとしては少々高いのですが、ともかく内容が凄いとライダーたちに評判なのです。
厚床に着く手前で黄色い服を着たライダーが追い越しざま手を上げて挨拶してくれました。そしてその先のコンビニに。同じくバイクの隣に自転車を停め、少し話をしました。
彼は大阪からずっと走って青森から北海道に渡ったとのことで日本一周の旅63日目でした。
強風の根室半島で自転車を押している時に一度すれ違っていました。可愛らしい人でもっと話をしていたかったのですが、キャンプ地に日暮れ前に着きたかったので写真を撮って別れました。
さて、私の自転車にはスマホが取り付けられるようになっていて、スマホには自転車ナビタイムのアプリがインストールされています。
そのナビに従って、途中から脇道に入りました。未舗装路なので心配しましたが、途中から舗装されていたので安心しました。
これなら受付終了時間までにぎりぎり間に合うかも。
そう思って快調に飛ばしていたら、なんとあと3キロのところで工事のため通行止め。自転車ならいけるかと少し進んでみると、目の前にでっかい穴が。
諦めて少し戻ると迂回路の矢印。辺りはどんどん暗くなっていきます。
その道に入ると、30数年前にオフロードバイクで走ったような道が。ライトをつけて転ばないように慎重に坂道を下りました。
ところがナビは道のないところを走っています。
キャンプ場に着いた時にはもう辺りは真っ暗でした。
それでも炊事場には明かりがついていたので助かりました。トイレも隣にありました。
そのトイレの入り口近くに時間外の利用申込書と利用料を入れる封筒がついていました。料金は330円。細かい。持ち合わせがあってよかった。
ところがその横に熊注意の張り紙が。広いキャンプ場に自分のほか誰もいません。
テントの中に入ると当然外は見られません。実は食後、疲れて3時間くらいぐっすり眠っていました。しかしそのあと目が覚めてから、外で何か物音が。
熊が辺りを歩いているような気がして心臓がドクドクしています。
しばらくしても襲われないのなら大丈夫だろうと覚悟を決め、ナイフを抱いて眠りました。ナイフはもし生き残っていた時テントから脱出するためです。
翌朝目が覚めた時
「あー、生きてる」
というのが素直な実感です。
滅多に人を襲うことはないそうですが、本当に最近よく出没しているというのを後から聞きました。
きっと物音は風が植木を揺する音だったのでしょう。
そんな中、釧路目指して出発しました。途中厚岸の牡蠣祭りに立ち寄り、牡蠣飯と帆立のバター焼きをいただきました。
もうオホーツクとはお別れして太平洋が見えます。
なんとなく太平洋には馴染みがあるためか、気持ちがホッとします。
そして峠を一つ越えると釧路です。豪華な夕食が待っています。
では、このへんで。
【データ】
あっけし牡蠣祭り 2019年10月5日(土)〜10月14日(月)